天狗と骨董屋

吉良鳥一

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河童の手のミイラ(下)

第五話

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 そんな眷属の狐に真尋は触りたそうに見ていた。

「お前マジ何なんだよ」

 マイペース。
 こちらの事はあまり良く思って無いだろうと考えていたが、案外馴れ馴れしいと言うか、利音のように好き嫌いを明確に線引きしないかのような態度は栗郷を戸惑わせる。

 あんまりに狐を見てくるので仕方無しに少しだけ触らせる事にした。
 最初こそ物凄く嫌がっていた狐もいつの間にか気持ち良さそうに撫でられていた。
 そんな様子に唖然とする栗郷を他所に、真尋は犬も可愛いけど狐も可愛いとご満悦だった。

 滅多に人に懐かない狐が何故懐いているのか……
 狐曰く、何故か手懐けられるとの事。
 理由は分からないらしい。

「天狗………
狗って付くからイヌ科の動物に好かれるんじゃない?」

 なんて利音が適当な事を言う。
 しかし案外的を射てるのかもしれないとも栗郷は思う。

 天狗の中の木の葉天狗と言う種がいる。
 一般的に鳥の姿をしていると言われるが、その中には白狼はくろうと言う狼の姿をしている種もいる。
 それらは狼の長でもある。
 彼がもし白狼の血を引くのなら彼に従っていてもおかしくはない。

 そしてもう一種、天狗の中でも最上位の大天狗は全ての天狗の長であるため、犬神のネコや狐も従っている可能性もある。
 さて、彼は一体どんな天狗の血を引くのやら………

 そう言えば先程興味深い話をしていた。
 天狗なのは高祖父だと……
 途中で利音が話を遮ったが、どうもこの青年は普通では無いらしい。
 知りたいがきっとその秘密を喋る事は無さそうだと思う。

「もう狐はいいだろ。
さっさと行くぞ」

 ずっと狐を触っている真尋に、これ以上は日が暮れると出発を促す。
 そして一行は神社から出る。
 すると真尋は今まで感じていた身体を縛られるような違和感が消えた。
 やはり神社の結界は真尋にとっては居心地は良くない。

 利音と真尋は栗郷とここで別れ、人気の無い場所へ移動した。 
 ここで大蝦蟇迎え撃ち、二人が応戦している間に栗郷が術者を捕らえる。

 しかしそう簡単に作戦が成功するとも考えていない。
 何せ利音は大蝦蟇が近くにいると呪いが発動し、痛みで戦えなくなる。
 頼りになるのは真尋とネコだけ。
 なんとか自分が痛みを堪え、やるしかないと利音は覚悟する。
 
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