天狗と骨董屋

吉良鳥一

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片割れは傍らに在り(上)

第十話

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 高祖父が天狗で親戚含め、現在真尋だけがその能力を継いでいる意外あまり知らない。

「真尋は……」

「……はい?」

「力の使い方とか妖の知識は誰に教えてもらったの?」

 周りに知識がある者がいなければ彼一人では能力の使い方も分からない筈だ。

「ああ、曽祖父です。
ひいお祖父ちゃん」

「曽祖父?
半妖?」

「はい」

 天狗と人のハーフである曽祖父。
 真尋は彼に色々な知識を得たのだと言う。

「利音さんのとこ来る前まで一緒に暮らしてました」

「暮らしてた?
家族には天狗の力を持つ者はいないって言ってなかった?」

 確か彼は家族や親戚には天狗の力を持った者はいないと言っていた、そう記憶していたので、彼の発言には矛盾が生じる。

「ああ、えっと……
天狗の力が発現してからなので、それ以前は会ったことも無かったです」

「そう言うこと……」

 矛盾は解消されたが、疑問は色々湧いてくる。

「そのひいお祖父さんはどんな人?」

「う~ん……
優しいですよ。
マナーとか言葉遣いとかにはちょっと厳しいですけど、いい人です」

 そう笑顔で話す真尋を見て、曽祖父の人柄が伺える。
 すると真尋はそうそうとスマホを見せてきた。

「今日の朝もメッセージやり取りしてました。
ただあの人昔の人なんで、文章が長いんですよね~」

 曽祖父と言うことで大分年配であろうにスマホを使うんだと利音はそこに感心する。
 メッセージを見せてもらうと確かに長々と書かれている。

『お早うございます。
今朝は風が強く窓がガタガタと言う音に目が覚めました。
まだ朝は肌寒い故、寝るときは暖かくして眠って下さいね。
やはり真尋がいないと寂しく感じますね。
呉々もお体に気を付けて今日も仕事に励んで下さい。』

 文章を見てもひ孫を気遣う優しいお祖父ちゃんと言う印象を受ける。
 真尋はそれにどう返信したのだろうと下をスワイプする。

 そこにあったのはスタンプが一つだけだった。

「君酷くない?」
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