天狗と骨董屋

吉良鳥一

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緋色の罪

第七話

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 利音の攻撃を女は触れたら消されると、ギリギリで避けた。
 これでは完全に不利だと思った女は一先ず逃げようと試みる。
 
「逃がさないよ」

 踵を返し隙を見て逃げようとする女を逃すまいと術を繰り出す。

「縛」

 地面から延び出た霊力の塊の白く光る縄は女の四肢に巻き付き、動きを完全に封じる。

「うちに不法侵入したからにはただで済むと思うなよ」

「………っ」

 身動きが取れない中でもがくもびくともせず、じりじりと詰め寄る利音に震える。

「ちょ、ちょっと待って!!」

「何?邪魔なんだけど……」

 彼女に詰め寄る利音を真尋は止めに入った。
 
「いや、何する気ですか?
一般人を傷付けちゃダメでしょ!!」

  彼が何をする気なのかは知らないが彼女はただの人で、傷付けるなど絶対にあってはならない。
 だが利音は「いいから退いて」と巨大化したネコに真尋を離させると女に向かって呪文を唱える。

「六根清浄 急急如律令」

 その瞬間女は呻き声を上げ、苦悶に顔が歪む。
 そして何か弾き飛ばされるように女の身体から別の女が現れた。

「え………」

 何が起こったのか真尋は驚きを隠せない。

「ぅ………」

 後ろに弾かれ、尻餅をついた女は赤い着物に赤い花の髪飾りをつけた長い黒髪を胸の前で一つに括ったとても美しいひとだった。

「利音さんこれは……」

「中に憑いた妖を外に出した」

「え、あ……
そう言うこと……
それならそうと早く言ってくださいよ。
勘違いしたじゃないですか……」

 そう、弾き飛ばされた女は彼女に憑いた妖だった。
 最初から女性に憑いた妖を引き剥がすつもりで捕らえようとしていただけなのだが、言葉が足りない利音に真尋はすっかり彼女を傷付けるのではと勘違いしてしまっていた。

 現に拘束されていた女性は縄が解かれ地面に倒れて気を失っている。

「ネコ、その人を病院の前に置いてきて」

 ネコは命令に従い、倒れている女性を咥え運んでいった。
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