ギャペラ～獣の世界に落ちて～

追われる身

第四話

 ケイの名を呼ぶその声に恐る恐る振り返ると、数メートル先には黒髪に黒い耳、黒い尾のイケメンがいる。
 紛れもない、ノイルだ。

｢ノイル……｣

｢ケイ、無事でヨカッタ。
探したんだぞ……｣

 そう言って一歩二歩とこちらへ歩を進めてくるのをケイは後退る。

｢来るな!!｣

｢……ケイ？｣

｢俺を捕まえに来たんだろ？
研究所に売りやがって!!｣

 ノイルが部下へケイを捕まえ、研究所に引き渡せと命じたのだと思っている為警戒し、距離を取る。

｢ケイ、チガう。
お前は勘違いをしている｣

｢何がだよ？
俺を騙したんだろ？｣

｢だからチガう!!
俺は……｣

｢ケイ!!｣

 ノイルが何か言いかけたその時、漸くシルヴァが追いかけて来た。

｢シルヴァ……｣

｢******……｣

 するとノイルがシルヴァを見て何故と言うような驚いた表情を見せた。

 そしてシルヴァとノイルが一言、二言会話を交わすとノイルが膝を折り、頭を下げた

｢ノイル？｣

 どんな会話がなされたのかも、どう言うことなのかも理解出来ていないケイは戸惑うしかない。

 けれどノイルが跪いて頭を下げたと言うことは、このシルヴァと言う男は位が高い存在なんだろうかと推測する。

｢おいノイル、この状況は何だよ？
そいつ一体……｣

｢この方はこの国の……
ケルティマ王国の王子、シルヴァ=クレヴィス･ケルティネス様だ。｣