ギャペラ～獣の世界に落ちて～

未知

第五話

 ケイを肩に担ぎながら耳許でギャーギャー騒いでいるのを無視し一本道を進むシルヴァは家がポツンポツンと見え始めた所で漸くケイを降ろした。

 その頃には既にケイは諦めたように大人しくなっていた。
 暴れても無意味だと悟ったようだ。

 それからまた少し歩くと建物が増えてきて町の中へと入ったみたいだ。

 ここへ来る前の街よりも大分小さい。
 それに中々ギャペラに会うこともない。

 漸く一人の壮年の男性が向かい側から歩いてくるとシルヴァが話し掛ける。

 何かを尋ねるているような仕草で話している。
 そして話し終えると男性は去っていき、シルヴァもまた歩を進めた。

 その後ろをついていくと一軒の建物の中へと入っていく。
 中はカウンターがありその奥にある椅子に一人の男性が座っている。

 シルヴァはその男性と会話を交わし、お金を払うと男性から鍵を渡され、二階へ上がる階段を登っていく。
 階段を登ると二つの扉があり、その上にはなにやら文字が書かれている。

 その一方の部屋にシルヴァは鍵を使って中へ入る。
 部屋は狭いがベッドは小さいながらも二つあ、窓際には小さい丸いテーブルと椅子がある。

｢宿？｣

 どうやら彼はここに泊まるつもりのようだ。

 正直助かった。
 これ以上歩き回るなんてとてもケイには無理だった。
 現に足は痛いし、頭はくらくらする。

 早速ケイはベッドへ倒れ込み、よほど疲れていたのかあっという間に深い眠りへと誘われて行った。