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ノ104 覚えのある

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 などと隊長の夜倶盧がナルシスト云々話しはさておき。

 亜孔雀が退魔の鎧を鎖で巻いた理由は云わずもがな、悪魔が素肌で触れようものならたちまちどうなるのやら。

 無言で無言でそっぽを向き、立ち去ろうとする亜孔雀であった。が、これでは格好がつかぬとばかりに夜倶盧が「そっぽ」の方へ立ち塞がりせを取り出す。

「おっとっと!君ね~、分かってないないなぁ。絶世の美男子を前にガン無視は良くない。うん、ちっとも良くないよぉ。神が与えもうた折角の出会いだ。是非ともこの素晴らしい仙器の威力を味わってもらえないものかねぇ?」

「ん?その武器はもしや...」

「ふ~ん、君は何か知っている風だねぇ。昨日さぁ、二人の老仙人が何者かに殺されてしまったんだけれど、ひょっとして関係のある人だったりするのかなぁ?」

 夜倶盧が取り出したる仙器、それは亡き者となった老仙人の怒涛混府刹那(どとうこんふせつな)が所有していた天祥棍であった。

 亜孔雀は府刹那と短時間に一戦交えただけだが、天祥棍による強烈な打撃を受け腕を破壊された経験から、天祥棍の姿形や威力は身に染みて覚えている。
 ゆえに、目の前に出された天祥棍を見て僅かながら動揺したものであるけれど、何が可笑しいのか不気味な笑みを浮かべたのだった。
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