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ノ87 最期

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「....雅綾爺...」

 雅綾の覚悟の言葉を受けた府刹那が何か言おうとして止め、一考した老仙人は雅綾に聴こえるかどうかという大きさの声で言う。

「お主が倒れたあとのことは任せておけ」

 府刹那は何百年と付き合ってきた雅綾のそばを離れ、羅賦麻を押し潰そうとする重力仙術の領域ギリギリのところまで近づく。

 この時、雅綾は口角を微かに上げ笑ったように見えた。己を無理を止めることなく、意志を汲んでくれた友の言葉が嬉しかったのであろう。

「ズゥオオオオオオッゴゴゴゴゴゴ....」

「ぬぅふぎぐぐぎぎ...」

 雅綾の放ち続ける百倍重力を耐える羅賦麻が歯軋りし口から血が滲み出て、未だに全く身動きの取れない身体の細胞がブチブチと音を立てて破壊されていく。

 一方、移動した府刹那は天祥棍を居合いの形で構え、雅綾が倒れたあとのことを想定し、己の仙術の力を最大限引き出し天祥棍に伝導させ始めた。

「...ふん、流石は我が友よ...さぁて、府刹那爺の備えが無駄になるよう最期にもう一絞りしてやるかのう」

 既に限界を遥かに越えた仙術によって雅綾の身体は悲鳴をあげてボロボロになっていた。
 危険極まりない状態で雅綾が最期の力を振り絞る。

「千年も生きれば十分じゃ!人生の顛末に魔王を道連れにできるとは幸せなことよ!喰らうがいい!重力二百倍!!!」
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