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第106話 キノコ
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「助手よ、たったの一日で乙女の恥じらいという希少なものを惜しげもなく捨て去ってしまったようだな」
僕は決して、土鍋の牛肉がごっそり無くなっていることに怒っているのではない。いや、少しくらいは怒っているのかも知れないけれど、嫌みを言わなくては気持ちが収まりそうになかったのである。あ、やっぱり僕は彼女に対してかなりの怒りを覚えているようだ...
「ほべ~ん、ほばはばぶびふびへひゃばばっははばぁ」
お前はどこの世界の言葉で喋っているのだ。
というか。
「ったく、口に食べ物を詰め込んで喋らんでいい。何を言っているのかさっぱりわからん。いいか、僕が今から鍋に投入する肉に手を出すんじゃないぞ」
未桜はブンブン頭を立てに降り無言で了承し、僕は皿に乗った追加の牛肉を思い切って半分ほど一気に箸でつまみ、スープが飛ばないよう気を付け厳かに鍋へと入れ込んだ。
すき焼きの主役は牛肉をおいて他には存在しないのだけれど、野菜や豆腐、糸こんにゃくなどの脇役たちもそれぞれ個性を光らせているわけで...
「最初の一口は...うむ、これに決まりだな」
独り言を呟きながら選んだ最初の一品は、すき焼きには欠かせないキノコの椎茸であった。
たまに「そこが嫌いだ」という人も居るのだが、僕は椎茸の食感と、噛めば旨味が滲みの出る瞬間がたまらなく好きなのである。
僕は決して、土鍋の牛肉がごっそり無くなっていることに怒っているのではない。いや、少しくらいは怒っているのかも知れないけれど、嫌みを言わなくては気持ちが収まりそうになかったのである。あ、やっぱり僕は彼女に対してかなりの怒りを覚えているようだ...
「ほべ~ん、ほばはばぶびふびへひゃばばっははばぁ」
お前はどこの世界の言葉で喋っているのだ。
というか。
「ったく、口に食べ物を詰め込んで喋らんでいい。何を言っているのかさっぱりわからん。いいか、僕が今から鍋に投入する肉に手を出すんじゃないぞ」
未桜はブンブン頭を立てに降り無言で了承し、僕は皿に乗った追加の牛肉を思い切って半分ほど一気に箸でつまみ、スープが飛ばないよう気を付け厳かに鍋へと入れ込んだ。
すき焼きの主役は牛肉をおいて他には存在しないのだけれど、野菜や豆腐、糸こんにゃくなどの脇役たちもそれぞれ個性を光らせているわけで...
「最初の一口は...うむ、これに決まりだな」
独り言を呟きながら選んだ最初の一品は、すき焼きには欠かせないキノコの椎茸であった。
たまに「そこが嫌いだ」という人も居るのだが、僕は椎茸の食感と、噛めば旨味が滲みの出る瞬間がたまらなく好きなのである。
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