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第102話 腹の虫
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自分たちの部屋へ鍵を開けて入ると、シチュエーション的にお決まりの事態が待ち受けていた。
そう、最初に入った時には木製のテーブルが置いてあった場所に、真っ白なカバーに包まれた清潔そうな布団が二組、びったりとくっつけて並べられていたのである。
僕は頭を掻きながら何でもない風を装て未桜に話し掛ける。
「やれやれ、がちがちのありがちなパターンだな、どれ、少しばかり離しておこう」
「ありゃぁりゃぁ、そんなのいいよぉ。だって一輪が万が一その気になれば布団の距離なんか無意味ってもんじゃない?」
万が一にも彼女に手を出そうなどという不埒な心はこれっぽっちも持ち合わせてはいないけれど、なるほど、彼女にしては珍しく核心を突いた意見だ。
このケースにおいては、密室の空間に若い男女の二人が居合わせいるとういう事実が最大の問題なのであり、それに比べれ二組の布団が1m離れていようが、完全にくっついていようが全くもってどうでも良い話しなのである。
「そうだな。億が一にも何かが起こる筈もないし、起こす気もないわけだからこのままにしておくか...」
「億が一もないのかぁ、それだとちょっと女としての自信を喪失しそうなのですが?」
睨みつけるように目を細めて未桜が拗ねる。
丁度その時、二人の減りに減った腹部から、古くから伝わる「ぐ~」っといった腹の虫がほぼ同時に鳴き、僕達は互いに相槌を交わして一階へと降りて行った。
そう、最初に入った時には木製のテーブルが置いてあった場所に、真っ白なカバーに包まれた清潔そうな布団が二組、びったりとくっつけて並べられていたのである。
僕は頭を掻きながら何でもない風を装て未桜に話し掛ける。
「やれやれ、がちがちのありがちなパターンだな、どれ、少しばかり離しておこう」
「ありゃぁりゃぁ、そんなのいいよぉ。だって一輪が万が一その気になれば布団の距離なんか無意味ってもんじゃない?」
万が一にも彼女に手を出そうなどという不埒な心はこれっぽっちも持ち合わせてはいないけれど、なるほど、彼女にしては珍しく核心を突いた意見だ。
このケースにおいては、密室の空間に若い男女の二人が居合わせいるとういう事実が最大の問題なのであり、それに比べれ二組の布団が1m離れていようが、完全にくっついていようが全くもってどうでも良い話しなのである。
「そうだな。億が一にも何かが起こる筈もないし、起こす気もないわけだからこのままにしておくか...」
「億が一もないのかぁ、それだとちょっと女としての自信を喪失しそうなのですが?」
睨みつけるように目を細めて未桜が拗ねる。
丁度その時、二人の減りに減った腹部から、古くから伝わる「ぐ~」っといった腹の虫がほぼ同時に鳴き、僕達は互いに相槌を交わして一階へと降りて行った。
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