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第84話 たられば
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たらればの話しをしても仕方がないのはわかっちゃいるが、生きて普通に生活していれば選択肢がとめどなく現れるわけで、僕達は奇しくもそんな世界の住人なのだから、「たられば」の話を持ち出してしまうことは人として当然の行為であろう。
故にもしも、老婆の霊が声を出すことができたなら、淀鴛さんのご両親を殺害した犯人の名前も教えてもらうことができたかも知れない。
或いは声を発っせずとも、僕達が村人達の名前を少しでも把握してさえいれば、かなり確率の低い絵空ごとだったとしても、全くもって犯人像が掴めていない現状からして、瞬時に犯人を確定できればどれほど効率が良く有益なことだろうか...まぁ、こんな展開の物語なぞおもしろみも味気も無いに決まっているのだが...
などとどうでも良いアホなことばかり考えているあいだに、事を終えて?満足したのか否かは知れないけれど、老婆の姿は僕達の前から忽然と消えてしまったのだった...
ふと気付けばさっきまで降っていた雨もいつの間にやら収まっており、空を見上げれば雨雲の間に薄らとした月が見える。
僕と未桜は意思疎通したかの如く互いに視線を合わせると、何故だか自然と笑みが溢れた。
「助手よ、事件の情報を手に入れた事だし腹も減ったしおまけに服が濡れて気持ちが悪い。そこで提案なのだが、民宿までジョギングして帰るっていうのはどうだろうか?」
「良いねぇそれ、手放しで大賛成ってものだわ!♪」
手放しと言っておきながら、さほど長くはない濡れた髪を両手絞りながら未桜は応えたのだった...
故にもしも、老婆の霊が声を出すことができたなら、淀鴛さんのご両親を殺害した犯人の名前も教えてもらうことができたかも知れない。
或いは声を発っせずとも、僕達が村人達の名前を少しでも把握してさえいれば、かなり確率の低い絵空ごとだったとしても、全くもって犯人像が掴めていない現状からして、瞬時に犯人を確定できればどれほど効率が良く有益なことだろうか...まぁ、こんな展開の物語なぞおもしろみも味気も無いに決まっているのだが...
などとどうでも良いアホなことばかり考えているあいだに、事を終えて?満足したのか否かは知れないけれど、老婆の姿は僕達の前から忽然と消えてしまったのだった...
ふと気付けばさっきまで降っていた雨もいつの間にやら収まっており、空を見上げれば雨雲の間に薄らとした月が見える。
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