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第15話 チャーシューメン

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 ラーメン屋でチャーシューメンを食す時、貴方ならどのタイミングでチャーシューを頬張るだろうか?

 真っ先に食べる派、中間で食べる派、最後までとっとく派、満遍なく食べる派、そもそも頼まない派、などなど選択肢は多数あるけれど、結局のところ人によって好みは分かれることだろう。

 或いはその日の体調や気分で変わるかも知れない。

 僕は敢えて声高々に言わせてもらうが、誰に何を言われようともチャーシューは真っ先に食べてしまう「鬼畜」派だ。

 いや、勢いで自らを「鬼畜」呼ばわりしてしまったことは置いておくとして、僕がチャーシューをいの一番に片付けてしまう理由は食の効率を考えてのことである。

 つまり僕は食事を効率良く済ませるためだけに、下手をすれば、否、下手をしなくても主役の麺を超えるキャパを秘めた美味いチャーシューを先に食べてしまうのだ。

「ぬふぅ!このチャーシュー柔らかくて美味しいねぇ!麺とスープも最高!」

「あぁ、トロトロだな。噛まずとも口の中で勝手に溶けていく感じだ」

 未桜がとんこつ味のスープをレンゲで掬って一口呑み、麺を啜りチャーシューまで食べたあと満面の笑みを浮かべて賞賛した。

 余計な思考で出遅れた僕も、麺とスープを食したのだが想像を超えた美味しさに驚いている。

 さっき道端で出会った幼児の件で未桜を叱ってしまったけれど、このラーメン屋のことを正直なところ僕は舐めていたかも知れない。

 僻地の小さな村の一角にある古びたラーメン屋を侮るなかれ、である。

 腹がかなり減っていたことも手伝って、僕と未桜はあっという間にチャーシュメン、ライス、餃子を平らげてしまった。

「これなら『食べログ』で五つ星を付けても良いんじゃないか、未桜」

「うん、そうかもぉ。でも、まずは登録されてるかどうかが微妙なんだけどねぇ...」

 そう言って未桜がスマホを使い早速検索してみたのだが...

「あちゃ~、やっぱこの店知られてないみたいだよ。なんだか勿体ないなぁ」

「そっか、なら仕方ないな。じゃぁ、明日の昼飯はここで食べて事務所へ帰ることにしよう」

「おっ!良いねぇ、明日は別メニュー食べようっと♪」

 僕達は食べ終えた食器をテーブルの隅に寄せて席を立ち、いつの間にか客が数人増えて忙しくしている店主に声をかける。

「ご馳走様でした。すごく美味しかったです。お会計を、ここに丁度置いておきますね」

 僕はサイフから金を取り出しカウンターへ置いた。

 店を出る前に気掛かりだった古過ぎる漫画雑誌を新しい物になぜ変えないのか訊きたかったけれど、一人で忙しく切り盛りしている店主の姿を見て諦めた。
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