プロメテウスの神託

流川おるたな

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序章

33話目 予想以上

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 超能力者とは、普通の人間の力では不可能とされるようなことができる超自然的な能力を持つ能力者達の事を指してこう呼ばれる。 テレパシー・透視・予知・念力などを使える人物がこれに該当し、
サイコキネシス( psychokinesis)とは、超能力の一種で意思の力だけで物体を動かす能力のこと。念動力(ねんどうりょく)、観念動力(かんねんどうりょく)とも言う。英語の略称を使いPK(ピーケー)と呼ぶこともあるらしい...

 桐生要がAIプロメテウスの身体の媒体として、ルーナ・レノンという女性のクローン体を選択した理由の一つは、彼女が強力なサイキッカーだったことに他ならない。
 しかし、サイコキネシスを披露してくれと言われたプロメテウスが初めて困った顔を見せた。

「...少々お待ちください...まだわたしはこの身体を使ってサイコキネシスを発動させたことがございません。ご期待に添えるかどうか不安ではございますが...そのペプシの空き缶で試させていただきます」

 プロメテウスは健気にもそう言い、2mほど離れたテーブルの上に乗る空き缶を指差した。

「ははは、無理を言って悪いねプロメ。でもその身体がどれほどのものか一応実験したいしさ。それにもし失敗しても全然構わない、だから気軽にやってくれ」

 要が美しい少女の困り顔を見て柄にもなく気を使った。

「お気遣いありがとうございます要様。では...」

 彼女はそう言って右腕を上げ、空き缶に向けて人差し指を突き出しじっと見つめ始める。
 要は少女と空き缶の両方が視界に入る位置に移動しゴクリと固唾を飲んだ。
 研究室の中に緊張の空気が張り詰める数秒後...誰も触れないペプシの空き缶が突然「グシャリ!」と音を立て、真ん中から一瞬で潰れた。

 実のところ、空き缶が少しでも動けば合格点をあげようと考えていた要が驚愕する。

「おっ!?おおおぉ!これは予想以上だプロメ!」

 声を掛けられたプロメテウスは最初にとった姿勢を崩さず集中を解かない。

「未だです要様。もう少し...」

 少女が念を込め眉間に皺を寄せた瞬間!

「グシュッ!!」

 嫌な音がしたと同時に空き缶が原型を留めるどころか一瞬にしてビー玉大の鉄の塊とかした!!

「凄い!凄いぞプロメーーツ!!!!」

 現実とは思えない超現象を目の当たりにした要がプロメテウスに歓喜のハグしようと飛びつく!

「スカッ!?」

「ぐえっ!?」

 ダイビングハグを軽やかに避けられた要が、勢いそのままに壁へ激突し醜い悲鳴をあげた。

 

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