プロメテウスの神託

流川おるたな

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序章

15話目 プロメテウスの証明

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 地下シェルターが初見だった二人は、プロメテウスを待つあいだ簡易なテーブルとのセットで置かれているパイプ椅子に座り、室内をキョロキョロと見渡す。

「わたし喉がカラカラだよぉ、なんか飲み物ないのかなぁ、ここ」

「私も同じくカラカラです。ん?あそこに冷蔵庫らしきモノが置かれてますね。ちょっと見てみましょう、何か飲み物があるかもしれませんよ」

 黒川はそう言うと椅子から立ち上がり、冷蔵庫らしきモノへと歩みよりドアを開けた。

「おお、環奈さん、どうやら正解だったようです。飲み物はお茶と水、それにペプシが大量にありますがどれにしますか?」

「ペプシねぇ...あ、わたしは水でいいや」

 「ペプシ」で連想されるのはやはり今は亡き主人の大好物だったということである。環奈と黒川の二人は互いに思うところはあったが敢えて口に出すことはなかった。
 彼らの持つ桐生要に対するイメージは、「変わり者であるが善人である」という認識で概ね一致している。主従関係については黒川が15年ほど、環奈は3年ほどと黒川に比べてかなり短かったが、仲の良さでいえば黒川よりも大いに親ししい間柄であった。
 二人がガラス張りの保存機体の中央に浮かぶ首から上だけの姿を見て俯く。

 とそこへ、如何にも十代の女の子が好みそうな衣服を着たプロメテウスが顕れた。

「お二人とも、そう気を落とさなくても大丈夫ですよ。先ほども申し上げました通り計画の第一段階は無事に完了しておりますから」

 人が人の言葉を信用する度合いというのは、相手の人間性をどれだけ知っているか、地位や年齢、容姿などが関連しているが、目の前のニーソ姿の似合う少女プロメテウスに対して二人が彼女の言葉を信じる要素は今のところ微塵もない。

 普段の可愛らしい顔から一変して、殺し屋らしい鋭い目つきをして環奈が言う。

「そうねぇ、さっきからあんたがさっきから言っている計画とやらの説明はもちろんだけれど、まずはあんたが本当にAIのプロメテウスであるという証明をして欲しいわねぇ」

「...もちろんでございます。では、諸星環奈様の血液型はAB型、生年月日は西暦1999年1月23日でございますね?」

「うん、まぁそうだけど...」

 この流れはもしやあらぬ方向に展開していくのでは?などと環奈の頭に不安がよぎった。
 そんなことを知ってか知らずか淡々とお構いなしに少女は続ける。

「好きな食べ物は手頃な牛丼。スリーサイズは上から80、60、80...まぁまぁでございますね」

「当たってるけど感想はいらないよぉ...」
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