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幸福感

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 あらかた報告が終わり「源九郎ありがとう」とみくるはお礼を言って帰って行った。その際に俺は勇足しないよう付け加えて注意喚起しておくのを忘れない。
「みくるちゃん理解してくれたかなぁ?」
ミーコが心配そうに話しかける。
「理解してくれてるはずだ。心配なのは想いが募って一人歩きする可能性があるという事。まぁそうならないようにしなきゃな」
 相手が相手だけに無策で挑むのは絶対に賢明ではない。
「それはそうと、無限覚醒以外で強くなる方法も考えなきゃな」
「この前覚えた魔法を鍛えるってのはどうかな。泉音ちゃんを修行相手に誘ってみたらいいんじゃない?」
「それは良いアイディアだな。でも魔法の修行は場所がかなり限定されてしまう...」
「こっちの世界で魔法は存在しないもんねぇ」
 だがここで我ながら素晴らしい発想が出て来た。
 泉音を誘ってキャンプに行こう!山奥に行けば修行し易い場所があるはずだ。
 素早くスマホを取り出し泉音に連絡する。
 今度の土曜日から日曜日にかけてキャンプに誘うと二つ返事でOKをくれた。ヒャッホーと心で歓喜していると、「じゃあみんなにも声をかけてみるね」と言って通話終了。どのみち異世界者付きで二人きりは無いので良しとする。
 展開早すぎだろというツッコミは不要だけれど、その日から土曜日まで、毎日ミーコと一緒に天気予報を気にしてテレビを観た。ついでだが毎日観てると自然にお天気姉さんの名前も覚える。
 当日は朝の7時に駅で待ち合わせ。駅に着くと泉音は勿論、みくると治志も予想通り来ていた。
「おはようみんな!」
「おはよう」「おはようございます」
異世界者を含めて合計6人から挨拶を返される。
「電車に乗ったら4人はどうする?」
「私たちは電車の上に乗車するので大丈夫ですよ」
 シルフのリアーネがそう答えた。リアーネ、ルカリ、ミーコの3人は人間として振る舞えるだろうけど、グレムリンのミニョルはどう足掻いても無理だろう。3人の心遣いが見えて微笑ましいな。
 心配していたみくるも笑顔を見せているのでホッとする。
 電車の中ではUNOを楽しむ。治志が無双すると言っていいほど強かった。武道に通じてるから駆け引きが重要なゲームは得意なのかも知れない。
 和気藹々と楽しんでいたのだが...
「あれ!?何で泣いてるの源九郎?」
「え!?ああ、ゴミが入っみたいだ。目薬差さなきゃな」
 泉音が声をかけるまで自分の涙に気付かなかった。
 みんなが笑顔で遊んでるのを見たり、その中に俺も居る幸せを感じていつの間にか勝手に流れてたんだな。
 朝から幸福感で涙とは...
 この1ヶ月ちょっとで多くの異色な経験をして、人生が大きく変わったからか...
 何処かの記事で読んだけど年齢を重ねて涙もろくなるのは、感情移入しやすくなったのでも、感受性が豊かになったのでもなく、大脳の中枢の機能低下が原因らしい。  
 見た目は若返った俺だけれど、脳の機能には影響が無かったようで。
 リュックから目薬を取り出し、目に差して誤魔化す俺であった。
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