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覚醒屋

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「また泣いてるのか?ミーコ」
「今度は嬉し涙だよぉぉ」
ずっと後ろで聞いていたのだろう、子供の姿に戻ったミーコは泣いていた。
「俺さぁ、手に入れた“無限覚醒“使って仕事にしようと考えてるんだけどどうかな?」
ミーコは涙を拭きつつ、
「良いアイディアだけど、どんなお仕事にするの?」
「ストレートに人助けの”覚醒屋“」
「ダメだね!」
「え!?何で?」
まさか否定されるとは思わなかった。
「あのね、源九郎のスキルはS級で、しかも”ユニーク“が付く特別すぎるものなの」
「特別なのは分かった。でもだからこそなんだが」
「分かってないなぁ、特別すぎるスキルは利用価値が高い。だから存在が人間を含めた幾多の種族に知れ渡ったら、源九郎が狙われて命の危険性もかなり高くなるという事なの」
「ああ、なるほどね。リスキーなのも分かった。なら、スキルの存在を知られないようにすれば良いんだな?」
「そうだけど、何か考えでもあるの?」
「表向きは“人生相談所“って事にして、分からないようにスキルを使った覚醒屋をやるってのはどうだ?」
「”人生相談所“ねぇ...」
「どうかな?」
俺はミーコの顔を覗き込む。
「まぁ源九郎も働かないといけないしなぁ。でもバレないように気を付けてね!」
「よし決まり!」
ミーコと出会ってから手に職まで付いてしまった。疲れたけど何て素晴らしい日なのだろう!
「備えあれば憂いなし!今日のうちに源九郎自身の覚醒をしよっか~」
「お、OK!どうしたらいいんだ?」
「自分の頭に手を添えて、後のやり方は同じだよ」
 早速とりかかる。”身体能力UP“、”知力UP“、”妖刀村正“の3つが出て来た。
 “妖刀村正”にも惹かれたが、やはり現状で一番自信の無い身体能力の補填のため、“身体能力UP”を選択した。
「ウェイク!」
間違いなく俺の身体に変化が現れた。全身が筋肉質となり、今までに感じたことのないエネルギー的なものが溢れるようだ。
「クックックッ、今の俺なら野生の熊にも負ける気がしないなぁ!」
などと漫画的なことを言ってみた。
「ついでに説明しとくと、このスキルはいくらでも重ねがけが可能なの!ここが“無限”たる所以だよ」
俺の言葉をスルーしてミーコは続ける。
「でもでも次のスキルは何が出るか分からないし、同じ相手を覚醒するには最低1週間の期間をおかないとダメだから注意してね!」
「了解!」
 スキルを使用して数分後、またずっしりと身体が重くなり疲れを感じた。これがスキル使用の負荷ってやつか。
 俺とミーコは当然(残念ながら)別々に
風呂に入り寝る事にした。ミーコが風呂に入った時に叫び声を上げて風呂場に駆けつけたが、その話しはいずれ語るかも知れないし語らないかも知れない。
 ベッドに横たわり、ミーコが言っていた「使い方によっては神の能力に匹敵する」という言葉を思い出していた。
「明日は“運動能力測定”でもやってみるか...」
話しかけたが、ミーコは俺の寝ている上に丸まってスヤスヤと眠っていた。
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