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生姜焼き

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 マンション自室の鍵を開け、俺達は部屋に入る。
 部屋に入ってすぐに身体が重くなるのを感じた。今までに経験した事の無いことばかりあったおかげで、俺はかなり疲れているようだ。そのままリビングの床にうつ伏せに倒れ込む。
「お疲れ様~源九郎、今日は頑張ったねぇ」
「お、おう」
どうやらミーコは俺を労ってくれているようだ。
 ミーコへの質問を山ほど準備していたはずだが疲れからか頭が回らず出てこない。
「まずは腹ごしらえといきますか...
あれ!?ケット・シーって食事をとったりするのか!?」
「人間みたいに一日三食的な習慣は無いけど食事はとってるよ~」
「一応聞くが好物ってなんだ?」
「ん~やっぱりネズミの丸焼きかなぁ、カリッと焼いたのが特に好き~」
やはり人間とは違う、ほぼ予想通りの返答だった。
「逆に嫌いな食べ物は無いか?」
「特に無いよ~」
「OK、飯を作るからちょっと待ってろ」
「あ~い♡」
俺は冷蔵庫から食材、棚から必要な調味料を取り出し料理を始める。
 一人暮らしが長いおかけで、料理の腕前にはちょっと自信があるのだ。
 ミーコは部屋を見回して何やら物色している。
 20分ほどで料理は終わった。
「ミーコ出来たぞ~取りに来てくれ」
「あ~い♡」
まるで家族にでも呼びかけるように言葉が出る。俺ってこんな順応性高かったっけ?
「ほれ、豚の生姜焼きって言うんだ!」
「良い匂い~♡生姜焼き美味しそ~♡」
出来た料理を二人でテーブルに運ぶ。
「いただきまーす!」
妖精系のケット・シーが箸を使うとは全く思っていなかったが、案の定勢いよく手掴みで食べ始めた。
「な、な、なんじゃこりゃ~っ!?美味しすぎる~っ!」
ミーコは目をキラキラ輝かせて引くほど旨そうに食べている。
「喜んで貰えて嬉しいよ」
と言ってる間にミーコは食べ終えてしまっていた。
「ぷは~っ!ごちそうさま~っ!ネズミの丸焼きの10倍は美味しかった~♡」
満面の笑顔でこれだけ褒められると、作り手としては感無量と言わざるを得ない。
 俺も程なく食べ終わり、食器を洗って片付けて椅子に腰掛ける。
 腹も満腹になり、落ち着いたところで猫娘から色々聞き出さなければならない。
 ミーコは昭和に初めてTVを見た人類のように、いや、それ以上に興味津々でTVに魅入っていた。
「ミーコ~夢中になってるところ悪いんだが、こっちに来て俺と話しをしてくれないか?」
 妖精の猫の娘は、かなり口惜しそうにしながらトボトボと歩き俺の膝に上にチョコンと乗っかって来たのだった。

 
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