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第7話 操られる肉体

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「お前ほど聞き分けのない奴は初めてだ。けどそれでこそ屈服させ甲斐があるってものだなぁ」

「黙れ! 気色の悪いことしやがって…許さないからな」

「馬鹿な奴だな。――命令だ。『両腕を頭の後ろで組んでそこのベッドで寝転べ。その状態で、俺に向けて両足を開け』」

「っ貴様!! あっ、うぅ……!」

 調教師の命令にカッとしたアルフだったが、身体は命令通りに動いていた。言われた通りに両腕を頭の後ろで組みながらベッドに横たわり、さらには自ら両足を大きく開脚する。精神は明け渡していないというのに、調教師に肉体の服従を誓う恥ずかしい格好に、アルフはプライドを傷つけられる。

「良い眺めじゃねえか。いつもこれくらい従順なら可愛いんだがなぁ」

「く、見るな……! 」

「さて、特別調教の時間だ。誰が上か、物分りの悪い生意気な雌にしっかりと分からせてやらないとな。089」

 舌なめずりをした男は、楽しそうにあえて時間をかけて服を暴いていった。
 アルフでは下ろせなかったジッパーを、調教師は難なく下まで引き下ろす。すると、小ぶりな胸がこぼれ落ちた。ニンマリと微笑んだ調教師は、乱暴な手つきと反してその胸を優しく一撫でする。

「うっ……!」

「休憩時間にこのスーツに、調教してもらったんだろ? 知っての通り、こいつはただのスーツじゃねえからなぁ……」

 あの時の辱めを思い出し、アルフの顔が赤く染まる。

「その様子だと、しっかり自分の立場を教えられたようだな」

 どうしてか、身体の自由は全く効かない。
 いくら殴り飛ばそうとしても、腕も足も一ミリたりとも動かなかった。調教師が付けている首輪が原因なのは、明瞭だ。
 原因は理解しつつも、どうにも自分の体だと言うのに動かないことが口惜しい。

(この身体が、女になってさえ居なければ……!)

 男だった時の筋力と力があれば、こんな男など一撃で首を跳ね飛ばせるというのにと悔しがる。

「くぅっ、あぁっ……!!」

 調教師の指が、アルフの桜色の乳首を摘む。何度か指と指の間ですり潰すように捏ねれば、小さな乳首は少しずつ膨らみ始めた。

「うぁ、それっ……」

「こっちは正直みたいだなぁ」

 スーツにより乳首での刺激でも達したことを体は覚えており、そこを性感帯として認識していた。
 甘い吐息が漏れてしまい、素直に感じる己の体を呪った。
 前日にスーツに雌の悦楽を覚えさせられていたこともあり、身体はすんなりと快感を拾い始めてしまう。

「どうした? 声が上がってるぞ」

「だ、黙れぇっ……!!」

 唯一、自由な声で抗うアルフだが、その声音には甘やかな色が混じっている。調教師はニヤニヤと笑みを深めて、空いた片手でアルフの腹を撫でた。大きく無骨な手のひらがさらに下がっていき、股の間へと到着する。

「んんっ!」

 意図的に指がクリトリスを掠め、アルフは喉を震わせた。

「くっ、ふっ……! うぅっ!」

 ぬるぬるともう濡れかけている膣口を、ねっとりと指で辿られる。

「んんっ! 」

 直に指を二本挿入され、アルフは思わず肩を揺らした。

「どうした? そんな耐えるような素振りを見せて。気持ち良いんだろうが、ほら。結局は俺には敵わないんだろう? ほら、雌らしく声を出してみろよ。我慢しなくてもいいんだ。これは命令では無いからな」

 ついこの間、女にされたばかりだと言うのに、男である心を押し退け、スーツでの調教を皮切りに着実に雌の快楽はアルフの肉体に定着していた。

(……はぁっ、またこの感覚っ……! くそっ、流されてたまるものか…!! 私は男だ……!)

 調教師の指も単なる抜き差しではなく、ねっとりとあくまでアルフに快感を拾わせる律動でいやらしく責め立ててくる。腟内の勝手を知り尽くした動きだった。

(うっ、こ、こいつっ……)

 男の指が入ってくるのはこれが初めてだというのに、縮しながら根元まで指を受け入れてしまう。すぐに腟内は熱くなり始め、アルフの意思と反して濡れていった。

「ふーっ、ふーっ……」

 味わったことの無い甘い電流が、体の芯から響いてくる。快楽がさざ波となって押し寄せてきて、喘ぎかけたアルフは慌てて唇を閉ざした。

「んっ……はっ、ふっ……!」

「嬉しそうに締め付けてきやがる。それにもう濡れてきたぞ。こんなに濡らして期待しているのか。いやらしい雌だな、お前は」

「うっ、うるさい……黙れ、そんなことある訳が無いだろうっ……!」

「どの口が言うんだか。そんな雌顔晒して言われても説得力ねえよ」

「くぅうっ! ふ、むぅう……!!」

 ジュプッ、ジュプッとわざと音を立てて膣内をビストンされ、咄嗟に唇を噛んでいなければ感じ入った声を上げてしまいそうだった。

(耐えろ、耐えろっ……憎いアウライ人に隙を見せるくらいならば、死んだ方がマシだ……!!)

 スーツにまさぐられた時も耐え難い快感だったが、人間の手となるとその質は全く違うものだった。何より調教師もその名の通り、調教に関して人並外れた手技を有している。決して乱暴に動いて痛みを与えてくることはせず、くるくると一纏めにした二本の指で秘部を撫で摩りながら、浅瀬をなぞる。

「くふぅうっ!」

「ほら、もうぐちゃぐちゃ音が鳴り始めた。最初から俺にこうされたくて反抗したのか?」

「んっ、は……そんな戯言っ……」

「お前はメスなんだ、メスじゃなきゃここで感じるか? 心の底から拒んでるなら、善がり狂わねえだろうか? そんな虚勢を張っても意味ねえよ」

「ちがっ、違うっ……!!」

 それでもアルフは負けじと耐え忍び、調教師を罵倒する。

「この変態野郎がっ……逆らえないようにした相手にしか、偉ぶることしか出来ないのか? 随分と悪趣味なことだな……!」

「チッ……黙れ、奴隷が俺に楯突くな。殴られたいのか? 」

 責める指を止めぬまま、調教師は額に青筋を立てる。

「笑わせるな、こんな捕虜一人好きに出来ないとは軟弱な奴だな」

「――命令だ。『俺を全肯定しろ。気持ち良い時は隠さずにしっかり喘げ。我慢は禁止だ。』良いな?」

「は…!? っぁああっ!?」

 煽るような笑みを浮かべたアルフだったが、舌打ち交じりの調教師の声に表情を一変させた。
 心臓がドクリと波打ち、急速に肉体が変化を遂げていく。

「声がっ、ぁくっ! んぁあっ、ふぁああぁあっ!?」

 命令が効いていることを確認するように、調教師はグチュグチュと太く長い三本目の指を突き立てる。

「ひうぅうっ!! やぁっ……あふぁああっ!!」

 愛液を巻き込みながら、腟内の襞を余すことなく愛撫する。途端に先程歯を食いしばっていたことが嘘のように、アルフは耐えることはせずに甲高い声で嬌声を上げた。

「素直になったじゃねえか」

「んっ、やぅううっ……!」

 嗜虐的に笑った調教師は、弱い所を指で擦る。
 親指でクリトリスに優しく爪を立てられるだけで、先程まで喉奥に押し込んでいた喘ぎ声が強制的に引きずり出された。

「あっ、はっ……はひうぅっ!」

「だらしねえ顔しやがって、もっとして欲しいんだろ? ん? 」

「やめ――もっ、もっとくださいぃ……」

 やめろと叫ぼうとしたアルフだったが、自分の意思とは全く違う言葉がひとりでに出て歯の音を震わせる。

(……め、命令か……!!)

 全肯定という男の命令が、自分の言葉に直接作用しているのだ。心では不本意とはいえ肯定するアルフに、調教師も満足したように耳元で囁く。

「ほう。結局はお前も抗えないんだなぁ。とんだ淫らな雌だ」

「ひ、あ……そ、そうです……ん、気持ち良いです……っ!」

(くそっ、くそっ、くそぉおっ……卑怯者が……!)

 自分の口から言いたくもない言葉を強制的に引きずり出され、アルフは憎悪に駆られる。

「可愛い声で喘ぐようになったな。」

「気持ち良くて、腰が止まらないですぅ……ひゃうっ! 」

 肉体が悦くなってしまっているのは事実で、顔を真っ赤にして悔しがる。

「それなら聞いてやらないことはないなぁ。こうやって浅瀬を指でグリグリされんのも好きなんだろ?ん?」

「ぁはあぁっ! 好きですっ、グリグリ好きですっ!」

(やめっ、やめろぉお…!! 触るなっ、)

 人並み外れた男の手技に、凄まじい快悦で浮き上がった腰がビクビクと跳ねる。

「反省する気になったか? 淫らな雌だと自覚したか」

(くそっ、下衆がぁ…! 今すぐに死ね……っ! )

 矜恃を徹底的に痛めつけ、侮辱する内容にアルフは男を激情で滾らせた瞳で睥睨した。

「好きっ、好きです」

 だが死ねと紡いだはずの唇は、命令によって勝手に愛の言葉へとすり変わる。

(くぅうう……! )

 殺したいほど憎い相手に不本意とはいえ好きだと言わされ、怒りのあまり腸が煮えくり返りそうだった。
 親指でクリトリスを潰され、さらには上下左右に動かして捏ね回す。スーツとは比較対象にすらならない、巧みすぎる男の指先に善がらされる。

「いい反応だ、特にここがイイんだろ?」

「ひんっ!?」

 バラバラと挿入した指を腟内で撹乱されて、背中を反り返らせた。

「はいぃっ! ひゃひぃいいっ! すきっ、好きですっ! ひぐぅっ! 気持ちいいですッッ! ふぁああっ! 」

 グニグニとクリトリスを円を描くように揉まれて、舌を突き出す。

(声が止められない……! ここまで屈辱を感じたのは、初めてだ……!!)

 こんな男に感じる姿を見せたくはないと思うも、刷り込みを受けた肉体は男が喜ぶ反応を見せる。矯正された言葉を吐き出した。

「ひゃぁああっ! そこっ、そこ擦るの、ひゃううんっ! き、気持ちよすぎて壊れちゃいます……っ!」

「良いぜ、好きなだけ初めてでこれだけ感じるとは雌の才能があったんだなぁ」

 あえてアルフのプライドを傷付けながら、指で濡れた腟内を掻き回す。また指は増やされており、実に四本もの指が我が物顔でアルフの秘部を暴き立てていた。

「んっ、く、ふぅう……っ! 」

 ジュポッ、ジュポッと大きくなった水音が耳元で響いて
 このままでは本当に雌にされてしまう。雌に作り替えられる。

(それは何としてでも阻止しなければ……!)

 だが腹奥のざらついたところを指で撫でられ、アルフはひっと顔色を変える。

「わかりやすい反応しやがって。隠しても無駄だぜ? ココがイイんだろう。あえて避けてやってたんだよ」

「ひぅううっ! あぁあっ! んはぁああっっ!」
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