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第三章 暴風のコロッセオ
第195話 アルフェの特訓
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完成したレギオン改めホム専用機アルタードの設計図をアイザックとロメオに託して、今日は解散とした。
これで明日は装甲をアイザックとロメオに託して、僕は噴射推進装置を搭載するバックパック周りの再検討に集中出来るな。
ひとまず、プロフェッサーに提出するレポートのこともあるし、メルアに相談に行ってみようとアトリエに向かうと、メルアが驚いた様子で僕を迎えた。
「あれ!? ししょー、今日は早いね!?」
「え……?」
早いと言われて思わずアトリエの時計を見たが、時刻は既に七時を回っている。
「って、思ったけどもう七時じゃん~! やばやばっ! アルフェちゃん、今日のところはこれでお終いにしよ~!」
多層術式の特訓に使われていたらしい円形のシャーレ状の容器の中には、ミニチュアの機兵が二体置かれていて、まるで小さな大闘技場のようだ。
どうやらこれを使って、機兵を動かしつつ、多層術式を素早く発動する訓練を積んでいるようだ。実際、機兵に乗って戦う際にはエーテル増幅器がある訳だし、多層術式の正確で素早い発動と制御に主眼を置くのは、実に効率的なやり方だな。
「ししょー、どしたの? これ、気になる?」
「いや、やはりメルアにアルフェの魔法の先生をお願いして良かったと思ってね」
「ええっ!? これ、見ただけでなにかわかっちゃう感じ!? パッと見おままごとのお人形遊びみたいじゃん?」
メルアが冗談めかして聞いてくるが、僕は大真面目に首を縦に振った。
「必要最低限の魔力を使って、多層術式の発動と制御を行いながら、このミニチュアの機兵を動かすんだろう? 相当な集中力を要するけど、成功体験を積みやすい。俯瞰して全体を見られるから、自分がどう動くべきかもイメージ出来るだろうからね」
「ひゃー! うちのししょー、ヤバ過ぎ! なんでそんなにわかっちゃうの~!」
「えへへっ。リーフは昔からすごいんだよ。ワタシもどうしてわかっちゃうのって、思うことたくさんあったもん」
頭を抱えて悶えているメルアに、アルフェが嬉しそうに補足している。赤ん坊の頃からずっと一緒のアルフェは、いちいち驚くことはなかったように思うけれど、それなりに驚いてはいたようだ。
「アルフェに関しては、生まれた頃からずっと一緒だったからね。大体のことはわかっているつもりだよ」
「じゃあ、じゃあさ! この仮想大闘技場の状況から、どっちが勝ったとかわかる?」
「そうだな……」
メルアの問いかけに、僕は改めてメルアが作った仮想大闘技場を眺めた。機兵はアルフェとメルアの二機、どちらも同じモデルなので見た目の区別は特にない。だが、良く見るとそれぞれの機兵には戦いの痕がそれぞれ刻まれていた。
片方は火炎魔法と土魔法によるもの、そしてもう片方は水魔法と雷魔法によるものだ。
アルフェが得意とするのは水魔法、多層術式で使うとすれば、雷鳴瞬動で何度も使ったことのある雷魔法から始めるのが順当だろう。
「こっちの、焦げが目立った機体はメルアのものだね?」
「うっそー! マジで当たっちゃった! しかも、うちの機体を当てたってことは、アルフェちゃんの攻撃方法を把握してるってことだよねぇ!? ねぇ!?」
メルアがぴょんぴょんと飛び跳ねながら、僕の顔を覗き込んでくる。
「アルフェが得意な魔法はわかっているからね。今度の武侠宴舞で勝とうと思えば、得意魔法にさらに磨きを掛けた方が効率的だ」
「さっすがー! アルフェちゃんさ、すっごく覚えがいいし、呑み込みも早いんだよ。もう、うちが本気でやらないとなかなかマズいところまで来てるんだ」
このまま負けるとは思っていないメルアは、そう言いながらもまだ余裕そうだ。
「そうか。それはなにより」
「リーフのためにも、メルア先輩に勝たなくちゃならないもんね」
「うちは先生でライバルか~。ひゃー、厳しいことになってきちゃったな」
元々僕に錬金術の師を頼むぐらいだ。師弟関係というよりは、先生と生徒のようなメルアとアルフェの関係でも、メルアなりに強い誇りを持ってアルフェを教えていることが、その表情から伝わってくる。
僕も、彼女に師匠と呼ばれても恥じることのない存在でいなくてはな。そのために何をどう教えるかを、今回の機兵の製造が終わったら考えなくては。
これで明日は装甲をアイザックとロメオに託して、僕は噴射推進装置を搭載するバックパック周りの再検討に集中出来るな。
ひとまず、プロフェッサーに提出するレポートのこともあるし、メルアに相談に行ってみようとアトリエに向かうと、メルアが驚いた様子で僕を迎えた。
「あれ!? ししょー、今日は早いね!?」
「え……?」
早いと言われて思わずアトリエの時計を見たが、時刻は既に七時を回っている。
「って、思ったけどもう七時じゃん~! やばやばっ! アルフェちゃん、今日のところはこれでお終いにしよ~!」
多層術式の特訓に使われていたらしい円形のシャーレ状の容器の中には、ミニチュアの機兵が二体置かれていて、まるで小さな大闘技場のようだ。
どうやらこれを使って、機兵を動かしつつ、多層術式を素早く発動する訓練を積んでいるようだ。実際、機兵に乗って戦う際にはエーテル増幅器がある訳だし、多層術式の正確で素早い発動と制御に主眼を置くのは、実に効率的なやり方だな。
「ししょー、どしたの? これ、気になる?」
「いや、やはりメルアにアルフェの魔法の先生をお願いして良かったと思ってね」
「ええっ!? これ、見ただけでなにかわかっちゃう感じ!? パッと見おままごとのお人形遊びみたいじゃん?」
メルアが冗談めかして聞いてくるが、僕は大真面目に首を縦に振った。
「必要最低限の魔力を使って、多層術式の発動と制御を行いながら、このミニチュアの機兵を動かすんだろう? 相当な集中力を要するけど、成功体験を積みやすい。俯瞰して全体を見られるから、自分がどう動くべきかもイメージ出来るだろうからね」
「ひゃー! うちのししょー、ヤバ過ぎ! なんでそんなにわかっちゃうの~!」
「えへへっ。リーフは昔からすごいんだよ。ワタシもどうしてわかっちゃうのって、思うことたくさんあったもん」
頭を抱えて悶えているメルアに、アルフェが嬉しそうに補足している。赤ん坊の頃からずっと一緒のアルフェは、いちいち驚くことはなかったように思うけれど、それなりに驚いてはいたようだ。
「アルフェに関しては、生まれた頃からずっと一緒だったからね。大体のことはわかっているつもりだよ」
「じゃあ、じゃあさ! この仮想大闘技場の状況から、どっちが勝ったとかわかる?」
「そうだな……」
メルアの問いかけに、僕は改めてメルアが作った仮想大闘技場を眺めた。機兵はアルフェとメルアの二機、どちらも同じモデルなので見た目の区別は特にない。だが、良く見るとそれぞれの機兵には戦いの痕がそれぞれ刻まれていた。
片方は火炎魔法と土魔法によるもの、そしてもう片方は水魔法と雷魔法によるものだ。
アルフェが得意とするのは水魔法、多層術式で使うとすれば、雷鳴瞬動で何度も使ったことのある雷魔法から始めるのが順当だろう。
「こっちの、焦げが目立った機体はメルアのものだね?」
「うっそー! マジで当たっちゃった! しかも、うちの機体を当てたってことは、アルフェちゃんの攻撃方法を把握してるってことだよねぇ!? ねぇ!?」
メルアがぴょんぴょんと飛び跳ねながら、僕の顔を覗き込んでくる。
「アルフェが得意な魔法はわかっているからね。今度の武侠宴舞で勝とうと思えば、得意魔法にさらに磨きを掛けた方が効率的だ」
「さっすがー! アルフェちゃんさ、すっごく覚えがいいし、呑み込みも早いんだよ。もう、うちが本気でやらないとなかなかマズいところまで来てるんだ」
このまま負けるとは思っていないメルアは、そう言いながらもまだ余裕そうだ。
「そうか。それはなにより」
「リーフのためにも、メルア先輩に勝たなくちゃならないもんね」
「うちは先生でライバルか~。ひゃー、厳しいことになってきちゃったな」
元々僕に錬金術の師を頼むぐらいだ。師弟関係というよりは、先生と生徒のようなメルアとアルフェの関係でも、メルアなりに強い誇りを持ってアルフェを教えていることが、その表情から伝わってくる。
僕も、彼女に師匠と呼ばれても恥じることのない存在でいなくてはな。そのために何をどう教えるかを、今回の機兵の製造が終わったら考えなくては。
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