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第三章 暴風のコロッセオ
第194話 アルタード
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噴射推進装置を搭載するバックパックの問題が新たに出たものの、ホム機の完成目処も一応見えて来た。作業場の後片付けをアイザックとロメオが引き受けてくれたので、明日取り付けるべき装甲のデザインと設計図を仕上げてしまうことにした。
そうすれば、明日以降の主な装甲周りの作業は金型の製作からアイザックとロメオに託すことが出来るので、僕はバックパックの問題に注力出来るからだ。
機体の装甲材は、レギオンとレーヴェの装甲を溶かして合金にすれば再利用が可能だし、ナイルからレーヴェを譲ってもらえたおかげで、材料も全て揃っているのが有り難い。
「リーフ殿、片付けが終わったでござるよ」
「ああ、こっちはもう少しかかりそうだから先に戻って――」
「うおおおお、滅茶苦茶恰好いいでござるよぉおおおおおおおっ!!」
僕が言い終わらないうちに、背後から設計図を見たアイザックが歓喜の悲鳴を上げる。
「猛禽類のような顏に、ホムの服装を彷彿とさせる装甲……。これはすごくクールだね!」
「ありがとう。ホムの専用機だと一目でわかるようにしたくてね」
考えごとを続けていたのもあるけれど、もともとデザインを考えるのは好きな方だ。白を基調として、関節部は合金の元の色となる黒を活かして塗装による影響を極限まで排除した。バックパックを取り付ける背部のデザインは仮のものだが、それ以外の部分を組み上げてしまえば、後付けでも問題ないだろう。
機動力と攻撃力を上げるために、爪先と拳の部分に鉤爪状の装甲を配置し、全体のアクセントとなるように黄色の塗装を施すことにした。
「この装甲はロメオとアイザックの腕があってのデザインだからね。ホムの反応が今から楽しみだよ」
「それだけ僕たちを頼りにしてくれるのは嬉しいし、きっとホムも喜ぶはずだよ」
ロメオが声を弾ませる隣で、アイザックもしきりに頷いている。
「腕によりをかけて装甲を造るでござるよ~!」
なんにせよ、二人のモチベーションが高まったようで何よりだ。
「ところで、機体の名前は決まっているのでござるか?」
「ああ、機体名は『アルタード』にしようと思っているんだ。どうかな?」
「アルタードって、変異体って意味だよね?」
僕の問いかけにロメオが問い返してくる。
「その通り。この機体はもうレギオンでもレーヴェでもない。ホムのための唯一無二の機体だからね」
「では、この猛禽類のような顔もでござるか?」
「うん。これは、鷲をイメージしてデザインしてみたんだ。高みを目指しているホムが、望むままどこまでも高く飛んでいけるようにね」
「……なんと……。親心でござるなぁ……」
僕が答える間、なにかを考えるように設計図と骨格を組み上げたばかりのアルタードを見上げていたアイザックが、目許を拭いながらぽつりと呟いた。
「考えてみれば、リーフはホムの生みの親なんだもんね……」
アイザックの呟きに、ロメオも感じ入ったように目を潤ませている。ああ、そういえばロメオは小人族だし、アイザックはロメオと長い付き合いらしいから、僕がこんな姿でも素直に母性のようなものを感じてくれるのかもしれないな。
「そうだね。子がもっとも輝けるような環境を用意するのは、僕が思う親としての務めだからね」
それは僕が生まれてから今日まで、両親から受けてきた愛情のバトンに他ならない。少し形は違うけれど、僕はホムンクルスであるホムの生みの親として、惜しまず愛情を注ぎ、これからも大切に育まなければならないのだ。
そうすれば、明日以降の主な装甲周りの作業は金型の製作からアイザックとロメオに託すことが出来るので、僕はバックパックの問題に注力出来るからだ。
機体の装甲材は、レギオンとレーヴェの装甲を溶かして合金にすれば再利用が可能だし、ナイルからレーヴェを譲ってもらえたおかげで、材料も全て揃っているのが有り難い。
「リーフ殿、片付けが終わったでござるよ」
「ああ、こっちはもう少しかかりそうだから先に戻って――」
「うおおおお、滅茶苦茶恰好いいでござるよぉおおおおおおおっ!!」
僕が言い終わらないうちに、背後から設計図を見たアイザックが歓喜の悲鳴を上げる。
「猛禽類のような顏に、ホムの服装を彷彿とさせる装甲……。これはすごくクールだね!」
「ありがとう。ホムの専用機だと一目でわかるようにしたくてね」
考えごとを続けていたのもあるけれど、もともとデザインを考えるのは好きな方だ。白を基調として、関節部は合金の元の色となる黒を活かして塗装による影響を極限まで排除した。バックパックを取り付ける背部のデザインは仮のものだが、それ以外の部分を組み上げてしまえば、後付けでも問題ないだろう。
機動力と攻撃力を上げるために、爪先と拳の部分に鉤爪状の装甲を配置し、全体のアクセントとなるように黄色の塗装を施すことにした。
「この装甲はロメオとアイザックの腕があってのデザインだからね。ホムの反応が今から楽しみだよ」
「それだけ僕たちを頼りにしてくれるのは嬉しいし、きっとホムも喜ぶはずだよ」
ロメオが声を弾ませる隣で、アイザックもしきりに頷いている。
「腕によりをかけて装甲を造るでござるよ~!」
なんにせよ、二人のモチベーションが高まったようで何よりだ。
「ところで、機体の名前は決まっているのでござるか?」
「ああ、機体名は『アルタード』にしようと思っているんだ。どうかな?」
「アルタードって、変異体って意味だよね?」
僕の問いかけにロメオが問い返してくる。
「その通り。この機体はもうレギオンでもレーヴェでもない。ホムのための唯一無二の機体だからね」
「では、この猛禽類のような顔もでござるか?」
「うん。これは、鷲をイメージしてデザインしてみたんだ。高みを目指しているホムが、望むままどこまでも高く飛んでいけるようにね」
「……なんと……。親心でござるなぁ……」
僕が答える間、なにかを考えるように設計図と骨格を組み上げたばかりのアルタードを見上げていたアイザックが、目許を拭いながらぽつりと呟いた。
「考えてみれば、リーフはホムの生みの親なんだもんね……」
アイザックの呟きに、ロメオも感じ入ったように目を潤ませている。ああ、そういえばロメオは小人族だし、アイザックはロメオと長い付き合いらしいから、僕がこんな姿でも素直に母性のようなものを感じてくれるのかもしれないな。
「そうだね。子がもっとも輝けるような環境を用意するのは、僕が思う親としての務めだからね」
それは僕が生まれてから今日まで、両親から受けてきた愛情のバトンに他ならない。少し形は違うけれど、僕はホムンクルスであるホムの生みの親として、惜しまず愛情を注ぎ、これからも大切に育まなければならないのだ。
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