守るためなら命賭けろ

月蛍縁

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一の刻

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俺は女という自分が嫌いだ
女だからと言われることも
女だからとか言われるのも
反吐が出る
力が弱いだの
女々しいだの
そんなの自分が鍛えてもないからだ
俺はそういうのがうざくて嫌い
力が無ぇなら鍛えろや
精神も体力もつく
「真琴!」
道場で組み手をしていると親父に呼ばれる
「あ?」
俺は息を整え、親父を見た
親父は赤馬理樹、格闘技全部制覇した男
そして
極道一家の大黒柱
「また大会に優勝したらしいな!おめでとう」
よしよしと俺の頭を撫でる
俺はその手を受け入れつつも溜息を吐く
「あんなん誰でも優勝する」
そう
俺がそう言えば必ず親父は
「そんな事無いぞ!」
と言う
「そろそろ、時間だ」
俺がそう言えば親父も真剣な顔をした
これから俺達は戦うのだ
会議と言う名のもので
「風呂入ってくる」
俺は親父から離れ、風呂場へと向かう
親父は笑いながら
「あい分かった」
と言った
俺はシャワーを浴びようと服を脱ぐ
背中には
狼と月、そして竜が彫られている
「ふぅ」
溜息を吐くとカタンと音がした
俺はギロリと睨みシャワーを浴びて外に出ると
タオルが畳まれていた
どうやら用意してくれていたのだろう
俺は人より六感全てが優れている
それは
体術も精神も高めすぎたことによるだろう
「親父、会議の書類は」
髪の毛を拭きながらソファに座る
親父は笑いながら
「拭いてやる!」
などと言って俺からタオルを奪い取り俺の髪の毛を拭く
俺は親父のそう言うところが嫌いになれねぇ
お袋が入ってきた
お袋は羨ましそうにこちらを見ている
「お袋が嫉妬してんぞ」
俺の言葉にお袋はむすっとした
何故だ
「私もしたいわ!」
そっちかよ
親バカな二人だ
そりゃそうかと納得した
親父は笑いながらお袋にタオルを渡す
俺は大人しくお袋から髪の毛を乾かしてもらった
「あんがとな」
俺は親父とお袋に頭を下げる
「いえいえ!」
「うむ!」
俺は護りたいものが家族しかない
だから
家族を傷付けたら俺は狂うだろう
「そういえばマコちゃん」
お袋は俺のことをマコちゃんと言う
俺は書類から目を離しお袋を見た
「何だ?」
書類は一通り目を通して覚えた
「学校までにまだ時間あるじゃない?私が送るわ!」
学校?
あー、そう言えばあったな
「めんど………「駄目ですわ!ちゃんと行かなくては!」………おう」
俺はお袋の言葉に頷き、書類を親父に返す
「ここ脱字が多い」
俺はそれだけ言いお袋と一緒に部屋から出る
親父は笑いながら
「あい分かった!」
と言っていた
俺は制服を着て朝食をとりひとしきりの支度を終えた
「行くですわ!」
「おう」
俺の一日がこれから始まる
そして
俺の心が変わっていく
光の日だ
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