番犬は甘い愛に浸かる

月蛍縁

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俺は誰を愛すればいい
俺は
もう
生きたくない
そう願うのは一人の愛する人を亡くした男の話
「界」
そう呼ぶ彼はもう居ない
そう思い友達のバーに行くと一人の男が飲んでいた
俺は誰でもいい話し相手になって欲しいと思い声を掛ける
「少しお話いいですか?」
「あ?いいよ」
一見怖そうだが優しかった
俺が恋の話をすると彼の目が変わった気がする
「好きな人いないのか?」
「亡くしたので」
静かに涙を流していると
バーの店長が部屋を貸してくれる
酒に酔った俺はそのまま寝ようとした

さっき話をした男が俺のところに来る
「俺と付き合え」
「は?何いって」
きょとんとする俺
「俺は極道」
わー極道かー
ん?
「ご、!?」
「証拠が欲しいならくれてやる」
「刺青で分かるから」
「そうか」
彼はそっと俺の体を抱きしめる
それが心地よくて目を閉じた
「明日から覚えとけ」
それは
聞きたくないなぁ
なんて
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