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魔王は怪我する

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両親が寝ている
その間に我は外に出た
魔力は高いが今は人の身
持つものも持たない
「一の式,烈火」
掌を上にして炎を出す
それはまだ小さく弱々しい
「二の式,極火」
弱々しい炎は強く燃え上がる
「三の式,舞火」
その炎は燃え舞う様に我の周りを一周した

掌が熱く痛かったため炎が消える
火傷らしいものはないがジンジンした
「………我は弱い」
己の弱さを噛み締めて後ろを振り返る
シェルフがニコニコとしていた
「伊織様,イメージですよ」
「イメージか」
発想一からのと魔力も一から鍛えなければならない
まだ誕生日が近いが五歳の身
我は強き瞳でシェルフを見つめた
「シェルフ,我を強くしろ」
「御意」
シェルフは我に膝まづき一礼した
我は変わらなければならない
十字,杏,壮太達を守るために
この世界から悪をなくすために
我は強くならなければならないのだ
「伊織様」
「ん,おはよう」
朝になり我は着替えを一人でした
朝食はシェルフが作ってくれたのだろうか両親の分もある
我はもそもそと食べ学校へと向かう
シェルフは残念そうに目を伏せつつも見送ってくれた
「はよ!」
後ろからにこやかに笑う十字
「おはよう十字」
我は微笑みつつ挨拶する
「おはよう………」
「おはよう杏」
我は杏を見つめた
「何か,あったのか?」
「こいつはほっとこうぜ!」
十字に手を引かれる

我はその手を優しく離す
「杏が何かしたのか言え」
我の目はギラリと光った
もうすぐ二年生になる
我はそう弱くもない
十字は困った様に顔をしかめ説明した
「こいつ,俺のこと下に見てたからだよ!」
下に見ていた?
何をどうしてだ?
「見てないよ!十………「うっせー!」!?」
杏の言葉を遮り睨む十字
「おいおい,二人共伊織困ってるよ?」
我の肩に手を置き壮太が笑っていた
我は内心ほっとしたものの不安だった
「壮太!!行こーぜ!」
「我は杏といる」
我は壮太の手を優しく離し微笑む
十字は苛立ったのか我の肩を強く引く
ぐらつく視界
「お前はこっち!」
かかとがガクッとなる
視界が回る
「危ないよ!十字!!」
壮太が我に手を出す
「え?っ!?」
階段から落ちた我は意識は辛うじてある
ただ
頭が痛い
「おい!しっかりしろ!伊織!」
「何してんだよ!十字!!貸せや!」
十字の顔に似ている人が我を抱き上げる
「だ,れ?」
「あ?大人しくしてろや!十字!!あとで裏な!」
我の痛みを減らす様に歩き出す男性
我は目を閉じて息をする
男性は我をじっと見つめ
「あと何年だ?俺五年だろ?」
などと言っていた
我は保健室で手当てされ意識もしっかりする
我は男性の所へ行く
「我は伊織!お前は?」
お前呼びにびっくりしていたのか男性は笑う
「は,俺は十字の兄の楼だ」
楼!!
「楼,ありがとうだ!」
そのまま歩き去ろうとすると楼に抱っこされる
「?」
「伊織,俺は卒業するが狙うからな」
そう言いながら歩き出す
狙う?
「ん?んー?」
それはなんでだ?よく分からん
「絶対落とす!」
何故落とす?
「落とすな!痛い!」
我は勘違いをしていた
この時は
そう思ってしがみついた
「馬鹿なのか賢いのかわかんねーな」
それでも嬉しそうにしていた楼である
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