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其の口付けから数日後
私の電話に一通の連絡
彼の………終わりを告げたものだった
寝ているかのように見えた彼はとても綺麗だった
桜の花弁が外では舞っている
幻想的な姿
其の手には私との写真が握られていて
すごく愛しかった
「………来栖」
貴方に伝えたいことがあるの
まだ貴方にしたいことがあるの
ねぇ、
いつもみたいに
笑ってよ
ねぇ、
いつもみたいに
私の頭を撫でてくれないの?
ねぇ、どうして
私に謝ったの?
「来栖の馬鹿!!」
私は泣きながらそう言った
両腕の拳が痛いほど
それが現実だと知らされる
痛いほどわかる
でも
でもね?
来栖の微笑んだ顔を見たらそんなことさえ許してしまうの
葬式は静かに行われた
友達も何人かで
家族と私と其の人たちで行われた
彼のいない世界には
色がない
彼の存在があまりにも大きくて
苦しかった
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