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人気者の彼が図書館にって私は思った
だけど
彼は彼で一生懸命本を読んでいる
(あ、あの人)
私は笑いを堪えつつ彼の方に少し触れた
彼は勢いよくこちらを向く
「貴方、其の本はこうするの」
私は人に対して上からの物言いになる癖があった
だから嫌な気をしても気にはしていない
彼はキョトンとする
そしてにまりと笑うと
「あんがと!」
と言ったのだ
私に対しての笑みに私も微笑んだ
「いえ、お構いなく」
私は本を片付け、歩き去ろうとする
すると
彼が声を掛けてくれたの
何で?
「お前!好きだ!」
いきなり告白をかましたから吃驚してしまったわ
それからの彼は凄かった
いきなり現れてはいきなり去る
まるで嵐の様な人
だけど決して嫌じゃなかった
いつしか私は彼を目で追う様になる
そして彼もまた私の其の視線に気が付いた
それからは
付き合うことが最初からだったみたいになる何て思いもしなかった
大切な人
愛してる人
そういうことに疎くても私はそう感じた
運命だと
思ったの
だけど
彼には秘密がある
それを知らなかった
ある朝、救急車が学校に来ている
私は泣いていた
何故?
彼が倒れたからだ
私も救急車に乗り彼の状態を見る医者が言った言葉
それは
「彼には心臓に重い物を持ってる」
其の言葉の重みが私の心にのしかかった
彼が目覚めないことが苦しいと
初めて感じたの………
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