狼くんと羊ちゃん

月蛍縁

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4 好きと嫌い

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好きとか
嫌いとか
よく分からない
俺は凪沙のことが好きだった
なのに
あいつ、瑠衣のことが頭から離れない
まるで凪沙が私のことは忘れろと言うように
夢の中に来ないはずの凪沙が来た
「何でだよ」
俺はそんなことばかり口に出る
素直になれよ
好きだよって
「私のことは忘れて、その子の事を愛してあげて?」
ふざけんなよ
なのに
どうしようもなく分かってしまう
忘れるべきだと
大切にするべきなのは決まっている
「凪沙、好きだったよ」
ずっと
ずっとーーーー
「えぇ、私もよ」
ありがとう
凪沙………………
「…………ん」
目を覚ますとそこは瑠衣の部屋だった
俺はゆっくりと涙を拭く
「起きた?」
ふわりと甘い匂いがする
瑠衣
瑠衣………
俺はゆっくりと瑠衣の頬に触れる
「朧?」
「瑠衣」
俺は瑠衣の目を見た
瑠衣はその意図をわかったように微笑んでいる
俺は黙り込む
「………俺は」
「ゆっくりでいいの」
瑠衣、聞いてくれ
瑠衣、どうか
俺を受け入れて
「俺はきっと恋が怖い」
目を伏せる
「うん」
瑠衣も決心したようだ
「だから諦めてた」
瑠衣を見る
「え」
瑠衣はキョトンとする
「俺、瑠衣の事好きだよ」
「っぇ、本、気?」
俺は瑠衣の唇に吸い寄せられるようにキスをした
「本気」
もう一度
「ん」
「だから、信じて」
もう一度
「っ、分かった、から」
真っ赤な瑠衣が可愛くて笑ってしまう
俺はきっと凪沙に仕掛けられたのだろうか?
「吹っ切れるなんてな」
「ふふ、当たり前でしょ?」
ーーーーやっと気がついたか、このおバカ
「!」
俺は目を見開く
凪沙の声がした
俺は涙を堪える
瑠衣があまりにも眩しいのは
お前がそばにいたからか
消えてく凪沙に俺は素直に
「ありがとう」
そう言った
消える直前の凪沙はとても良い笑顔だった
俺は両親の許可を得て、俺は瑠衣と結婚を前提に付き合うことになった
「朧」
「瑠衣?どした」
まぁ、自分を受け入れるのは嫌だが
瑠衣との子供が欲しいために、手術はしないことにした
男の心を持つ俺と
女の子の心を持つ瑠衣
俺たちは
今も幸せです
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