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本編
第三十二話 ストーカーはどっち(遭遇編)
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望ちゃんは掃除と洗濯は出来る人だったけれど、
料理はちょっぴり下手で、大雑把な人だった。
ご飯はおこげが付いてたり、料理の味付けは濃かったりして。
でもそんなご飯も望ちゃんの魅力の一つで。
私が『美味しいね』と言うと、望ちゃんは決まってこう言うの。
「そりゃそうよ、自慢のお父さん譲りの味だからね!」
って、誇らしそうに笑うんだ。
◇◇◇
「よーし虚!準備は良いか!」
「出来てなくても無理矢理連れてくだろお前は」
「当たり前だろ、志摩様の一大事だぞ」
「透の一大事なだけで、志摩さんにとっては一大事じゃないだろ」
腕をブンブンと回す佐々木に対し、
うんざりした顔をしながら虚は透に目線を逸らした。
「さて、まずは志摩様から見つけないとな……
この時間なら……商店街か」
「行動時間把握してるのこわっ
というか志摩さんに会いたいだけだろお前」
「当たり前だろ!!!せっかく生の志摩様に
会えるチャンスなのに、おめおめ会わずに帰れるか!」
「あっちょ、急に走るなってお前!って早っ!
志摩さん絡みだと脚力上がるの何なんだよ!」
商店街に向かって走り出した佐々木を追って、
虚は走り出したのであった……
◇◇◇
商店街に辿り着くと、佐々木はベンチに座り込んで、
項垂れてぐったりとしていた。
一方、佐々木に追い付いた虚は息切れもせずに、
座り込んでいる佐々木に話しかける。
「はぁ……はぁ……調子のって走りすぎた……ギブ……」
「透お前、体力ないんだから走るなって……」
「何で……ぜぇ……お前は……はぁ……平気、なんだよ……」
「そりゃあ俺は、普段から縁壊の仕事もしてるからな
遠方への出張とかザラだし」
「この体力お化けがよぉ……」
「志摩さんを探しに行くんじゃなかったのか?」
「ちょっと待ってて……少し休んだら探すから……」
「ならそこらの自販機でジュース買うけど、
佐々木は何が良い?」
「リンゴジュース……」
「分かった、リンゴジュースな」
「わりぃ、ありがとな虚……
持つべきモノは友だな……」
「お前昨日は持つべきモノは彼女とか言ってたけどな」
「その彼女がいないから、今は友が優先されんだよ……」
「俺は二番目なのな……まあ良いけど
俺がジュース買ってる間、そこで息整えとけよ」
「ああ、ありがとな虚……
しばらくここで休んでるわ」
ジュースを買いにいった虚を見送ると、
佐々木は頭と背中をベンチに預け、青空を見つめる。
今日は雨が降る様子もなく、気持ちの良い晴天だ。
「この平和を、虚みてえな縁壊が守ってるんだよな……」
青空を眺めながら、佐々木は物思いに耽る。
この世にはマガイモノという怪物が蔓延っていること。
その怪物を人知れず斬り、あの世に還している存在がいること。
佐々木は特別な家系でも何でもない、ただの一般人だ。
縁壊がいることだって、虚に会うまでは、
信じていなかった処か、存在すら知らなかったくらいには。
「俺、将来は何になるのかな……」
俺は虚みたいに縁壊の才能なんてねえし、
ましてや入る度胸だってない。
適度に女の子と遊びたいし、怪我なんて無縁の生活を送りたい。
だから、虚のことはスゲーと思う。
それと同時に、俺にゃ無理だなって思う。
俺はどうしたって、普通の人間なのだから。
「俺、今を生きるのに必死で、何にも決まってねえんだな……」
自分で自分を鼻で笑う。
俺は虚と比べれば、きっとちっぽけで空っぽな人間に見えるだろう。
「空見つめて何してんだよ透」
そんな俺に、リンゴジュースとコーヒーを片手に、
虚が俺を見下ろしながら語りかける。
いつの間にか帰ってきてたのか。
「ブラックコーヒーなんて良く飲めんな
苦すぎて俺は無理だわ」
虚からリンゴジュースを受け取ると、
うえっとした顔をして虚に語りかける。
「別に俺が何飲もうが良いだろ
それに、コーヒーはブラックが一番美味いんだよ」
「それはお前の主観だろ」
「例え主観でも、本人が美味いと思って飲んでるんだから、
それが全てだろ?」
「まあ、それもそうか……」
確かにそうだと納得して、リンゴジュースを飲む。
ガキっぽいと言われようが、俺はこれが一番好きだ。
「さて、体力も回復したことだし、
志摩様を探しにいくか!」
「はいはい、付き合うよ」
◇◇◇
「あー!見つけたぁ!ストーカー女!」
「失礼ですわねあなた!私はストーカーでは……」
「え、あの子がそうなのか?」
商店街で志摩さんを探していると、
ちょうどストーカーらしき女の子と出会う。
その後佐々木と言い合いをしている女の子を見るに、
確かに特徴は透が言っていたのと一致するが……
隣にいるのはミリーと碧生じゃないか?
「あ、虚さん、お久しぶりです」
「ああ、久しぶり……じゃなくて!
何でミリーと碧生くんがいるんだよ!」
「何でも何も……僕達九十九さんと同級生なので」
「そうなの!九十九ちゃんの恋を応援してるんだよ!」
「そうなのか……それで、どうして一緒に?」
「実乃里に押しきられまして……」
「九十九ちゃんが志摩のおじちゃんに想いを伝えられるよう、
私達がサポートしようと思ったの!」
「それでこんなことになったのか……」
で、まだ佐々木と九十九とやらはまだ
言い争いが続いてるようだが、一体何を話しているんだ?
「だから、これ以上志摩様に迷惑をかけるなって言ってんだよ!」
「それを言うならあなたも似たようなものではありませんか!
私知ってますわよ!普段から志摩様をつけ回してるあなたを!」
「つけ回してない!!!あれは見守ってるだけだ!」
「それなら私も見守っていますわ!
志摩様がこれからも平穏無事に過ごすために、
見守っていますの私は!邪魔をしないでくれます!?」
思ったよりくだらん喧嘩だった。
どうすんだ?こんなに声がでかけりゃ、本人に聞こえ……
「おう何だ、誰かと思えば、虚の坊主じゃねえか
こんな時間に買い出しか?」
来ちゃったよ本人……
「ああいや、買い出しというよりは……お守りかな」
そう言いながら言い争ってる二人を見る。
どうやら二人はまだ志摩さんに気がついていないらしい。
「ああ、透の坊主と奏の嬢ちゃんか
すまねぇな、二人が迷惑かけて
あの嬢ちゃんが最近付けてきてるのは知ってんだけどよ
危害加えるわけじゃなさそうだから、そのままにしてたんだ」
只でさえ透が厄介ストーカーなのに、
あのムカデの女の子も受け入れるとは……
流石志摩さんは懐がデカイな。
「「志摩様の気配!!!」」
突然二人がこちらに向き直ると、
二人は志摩さんに向かって神でも崇めるかのように拝み始めた。
透は泣きながら膝まづいて合掌してるし、
奏という女の子に対しては、恋する乙女のような顔をしていた。
あの人、妖怪も虜にするんだな……
「こうしてちゃんと会うのは久しぶりか?
まだこの村に来たばかりで慣れねえこともあるだろうが、
困った事があれば、遠慮なく俺に頼ってくれや
可能な限りは力になるからよ」
そう言って志摩さんは九十九さんに手を差し出す。
九十九さんは涙ぐみながら志摩さんと握手をし、
その横で佐々木は『ズルいぞ!』と野次を飛ばしていた。
一体何がズルいのだろう。
「お久しぶりです、志摩のおっちゃん」
「おう、碧生の坊主も久しぶりだな!
マガツサマとは仲良くやってるか?」
「はい、この前熱々の鍋を素手で掴んだらしくて、
起きたら手が火傷してましたけどね」
「はっはっはっ!元気そうで安心したよ!
どうやら上手くやってるみてえだな!」
「志摩のおじちゃーん!頭撫でてー!」
「実乃里ちゃんも大きくなったなぁ!
前よりも背が伸びたんじゃねえか?」
そう言って志摩さんはミリーの頭をガシガシと撫でる。
その横で『ズルい!俺も!』と佐々木がうるさいが、
一旦見なかった事にする。
その後佐々木もガシガシと頭を撫でられ、
とても嬉しそうにこっちに帰ってきた。
「もう一生頭洗わねぇ」
「いや洗え」
真顔でそんなこと言われたら怖いわ。
「ところで、志摩さんがどうして商店街に?」
「ああ、それはな……
暦に飯を作ってやろうと思ってな
食材を買い込んでたんだ
暦には美味いもんを食わせたいからな」
「ああ、それでレキが今日夕飯いらないって……」
「え、志摩様の手料理!?羨ましい!」
「おおそうだ、お前達も食べに来るか?
虚の坊主と違って、ガサツな料理だけどよ」
「食べます!!!」
「透お前、ちょっとは遠慮しろよ」
佐々木がこれでもかとデカイ声で手を上げる。
あまりの勢いにドン引きしてると、
志摩さんは豪快に笑った。
「はははっ!ガキはこれくらい元気でねえとな!
遠慮なんてすんな、人が多けりゃ多い程、
賑やかになって良いからな!」
「でも、ご迷惑じゃありませんか?」
「迷惑?そんなことねえよ!
お前らが飯を美味そうに食ってくれるだけで、
俺は満足だからな!」
「じゃあ、せっかくだから僕も、
お言葉に甘えて食べていこうかな」
「わーい!久しぶりの志摩のおじちゃんのごはんだー!」
「志摩様の手料理を!?こ、これは是非とも頂かねば……
私も同席して宜しいでしょうか?」
「ああ、構わねえよ
さっきも言ったが飯は人数が多い程美味くなるからな!」
「せっかくのお誘いですが、俺はお断りします
夕飯の支度をしないといけないので」
「ああ、縁守の坊主か
まあそういうことなら仕方ねえわな
気にすることはねえよ、
これはただのおっさんのお節介だからな」
そう言って豪快に笑う志摩さんを背に、
俺は夕飯の支度をするために、その場を後にするのであった……
料理はちょっぴり下手で、大雑把な人だった。
ご飯はおこげが付いてたり、料理の味付けは濃かったりして。
でもそんなご飯も望ちゃんの魅力の一つで。
私が『美味しいね』と言うと、望ちゃんは決まってこう言うの。
「そりゃそうよ、自慢のお父さん譲りの味だからね!」
って、誇らしそうに笑うんだ。
◇◇◇
「よーし虚!準備は良いか!」
「出来てなくても無理矢理連れてくだろお前は」
「当たり前だろ、志摩様の一大事だぞ」
「透の一大事なだけで、志摩さんにとっては一大事じゃないだろ」
腕をブンブンと回す佐々木に対し、
うんざりした顔をしながら虚は透に目線を逸らした。
「さて、まずは志摩様から見つけないとな……
この時間なら……商店街か」
「行動時間把握してるのこわっ
というか志摩さんに会いたいだけだろお前」
「当たり前だろ!!!せっかく生の志摩様に
会えるチャンスなのに、おめおめ会わずに帰れるか!」
「あっちょ、急に走るなってお前!って早っ!
志摩さん絡みだと脚力上がるの何なんだよ!」
商店街に向かって走り出した佐々木を追って、
虚は走り出したのであった……
◇◇◇
商店街に辿り着くと、佐々木はベンチに座り込んで、
項垂れてぐったりとしていた。
一方、佐々木に追い付いた虚は息切れもせずに、
座り込んでいる佐々木に話しかける。
「はぁ……はぁ……調子のって走りすぎた……ギブ……」
「透お前、体力ないんだから走るなって……」
「何で……ぜぇ……お前は……はぁ……平気、なんだよ……」
「そりゃあ俺は、普段から縁壊の仕事もしてるからな
遠方への出張とかザラだし」
「この体力お化けがよぉ……」
「志摩さんを探しに行くんじゃなかったのか?」
「ちょっと待ってて……少し休んだら探すから……」
「ならそこらの自販機でジュース買うけど、
佐々木は何が良い?」
「リンゴジュース……」
「分かった、リンゴジュースな」
「わりぃ、ありがとな虚……
持つべきモノは友だな……」
「お前昨日は持つべきモノは彼女とか言ってたけどな」
「その彼女がいないから、今は友が優先されんだよ……」
「俺は二番目なのな……まあ良いけど
俺がジュース買ってる間、そこで息整えとけよ」
「ああ、ありがとな虚……
しばらくここで休んでるわ」
ジュースを買いにいった虚を見送ると、
佐々木は頭と背中をベンチに預け、青空を見つめる。
今日は雨が降る様子もなく、気持ちの良い晴天だ。
「この平和を、虚みてえな縁壊が守ってるんだよな……」
青空を眺めながら、佐々木は物思いに耽る。
この世にはマガイモノという怪物が蔓延っていること。
その怪物を人知れず斬り、あの世に還している存在がいること。
佐々木は特別な家系でも何でもない、ただの一般人だ。
縁壊がいることだって、虚に会うまでは、
信じていなかった処か、存在すら知らなかったくらいには。
「俺、将来は何になるのかな……」
俺は虚みたいに縁壊の才能なんてねえし、
ましてや入る度胸だってない。
適度に女の子と遊びたいし、怪我なんて無縁の生活を送りたい。
だから、虚のことはスゲーと思う。
それと同時に、俺にゃ無理だなって思う。
俺はどうしたって、普通の人間なのだから。
「俺、今を生きるのに必死で、何にも決まってねえんだな……」
自分で自分を鼻で笑う。
俺は虚と比べれば、きっとちっぽけで空っぽな人間に見えるだろう。
「空見つめて何してんだよ透」
そんな俺に、リンゴジュースとコーヒーを片手に、
虚が俺を見下ろしながら語りかける。
いつの間にか帰ってきてたのか。
「ブラックコーヒーなんて良く飲めんな
苦すぎて俺は無理だわ」
虚からリンゴジュースを受け取ると、
うえっとした顔をして虚に語りかける。
「別に俺が何飲もうが良いだろ
それに、コーヒーはブラックが一番美味いんだよ」
「それはお前の主観だろ」
「例え主観でも、本人が美味いと思って飲んでるんだから、
それが全てだろ?」
「まあ、それもそうか……」
確かにそうだと納得して、リンゴジュースを飲む。
ガキっぽいと言われようが、俺はこれが一番好きだ。
「さて、体力も回復したことだし、
志摩様を探しにいくか!」
「はいはい、付き合うよ」
◇◇◇
「あー!見つけたぁ!ストーカー女!」
「失礼ですわねあなた!私はストーカーでは……」
「え、あの子がそうなのか?」
商店街で志摩さんを探していると、
ちょうどストーカーらしき女の子と出会う。
その後佐々木と言い合いをしている女の子を見るに、
確かに特徴は透が言っていたのと一致するが……
隣にいるのはミリーと碧生じゃないか?
「あ、虚さん、お久しぶりです」
「ああ、久しぶり……じゃなくて!
何でミリーと碧生くんがいるんだよ!」
「何でも何も……僕達九十九さんと同級生なので」
「そうなの!九十九ちゃんの恋を応援してるんだよ!」
「そうなのか……それで、どうして一緒に?」
「実乃里に押しきられまして……」
「九十九ちゃんが志摩のおじちゃんに想いを伝えられるよう、
私達がサポートしようと思ったの!」
「それでこんなことになったのか……」
で、まだ佐々木と九十九とやらはまだ
言い争いが続いてるようだが、一体何を話しているんだ?
「だから、これ以上志摩様に迷惑をかけるなって言ってんだよ!」
「それを言うならあなたも似たようなものではありませんか!
私知ってますわよ!普段から志摩様をつけ回してるあなたを!」
「つけ回してない!!!あれは見守ってるだけだ!」
「それなら私も見守っていますわ!
志摩様がこれからも平穏無事に過ごすために、
見守っていますの私は!邪魔をしないでくれます!?」
思ったよりくだらん喧嘩だった。
どうすんだ?こんなに声がでかけりゃ、本人に聞こえ……
「おう何だ、誰かと思えば、虚の坊主じゃねえか
こんな時間に買い出しか?」
来ちゃったよ本人……
「ああいや、買い出しというよりは……お守りかな」
そう言いながら言い争ってる二人を見る。
どうやら二人はまだ志摩さんに気がついていないらしい。
「ああ、透の坊主と奏の嬢ちゃんか
すまねぇな、二人が迷惑かけて
あの嬢ちゃんが最近付けてきてるのは知ってんだけどよ
危害加えるわけじゃなさそうだから、そのままにしてたんだ」
只でさえ透が厄介ストーカーなのに、
あのムカデの女の子も受け入れるとは……
流石志摩さんは懐がデカイな。
「「志摩様の気配!!!」」
突然二人がこちらに向き直ると、
二人は志摩さんに向かって神でも崇めるかのように拝み始めた。
透は泣きながら膝まづいて合掌してるし、
奏という女の子に対しては、恋する乙女のような顔をしていた。
あの人、妖怪も虜にするんだな……
「こうしてちゃんと会うのは久しぶりか?
まだこの村に来たばかりで慣れねえこともあるだろうが、
困った事があれば、遠慮なく俺に頼ってくれや
可能な限りは力になるからよ」
そう言って志摩さんは九十九さんに手を差し出す。
九十九さんは涙ぐみながら志摩さんと握手をし、
その横で佐々木は『ズルいぞ!』と野次を飛ばしていた。
一体何がズルいのだろう。
「お久しぶりです、志摩のおっちゃん」
「おう、碧生の坊主も久しぶりだな!
マガツサマとは仲良くやってるか?」
「はい、この前熱々の鍋を素手で掴んだらしくて、
起きたら手が火傷してましたけどね」
「はっはっはっ!元気そうで安心したよ!
どうやら上手くやってるみてえだな!」
「志摩のおじちゃーん!頭撫でてー!」
「実乃里ちゃんも大きくなったなぁ!
前よりも背が伸びたんじゃねえか?」
そう言って志摩さんはミリーの頭をガシガシと撫でる。
その横で『ズルい!俺も!』と佐々木がうるさいが、
一旦見なかった事にする。
その後佐々木もガシガシと頭を撫でられ、
とても嬉しそうにこっちに帰ってきた。
「もう一生頭洗わねぇ」
「いや洗え」
真顔でそんなこと言われたら怖いわ。
「ところで、志摩さんがどうして商店街に?」
「ああ、それはな……
暦に飯を作ってやろうと思ってな
食材を買い込んでたんだ
暦には美味いもんを食わせたいからな」
「ああ、それでレキが今日夕飯いらないって……」
「え、志摩様の手料理!?羨ましい!」
「おおそうだ、お前達も食べに来るか?
虚の坊主と違って、ガサツな料理だけどよ」
「食べます!!!」
「透お前、ちょっとは遠慮しろよ」
佐々木がこれでもかとデカイ声で手を上げる。
あまりの勢いにドン引きしてると、
志摩さんは豪快に笑った。
「はははっ!ガキはこれくらい元気でねえとな!
遠慮なんてすんな、人が多けりゃ多い程、
賑やかになって良いからな!」
「でも、ご迷惑じゃありませんか?」
「迷惑?そんなことねえよ!
お前らが飯を美味そうに食ってくれるだけで、
俺は満足だからな!」
「じゃあ、せっかくだから僕も、
お言葉に甘えて食べていこうかな」
「わーい!久しぶりの志摩のおじちゃんのごはんだー!」
「志摩様の手料理を!?こ、これは是非とも頂かねば……
私も同席して宜しいでしょうか?」
「ああ、構わねえよ
さっきも言ったが飯は人数が多い程美味くなるからな!」
「せっかくのお誘いですが、俺はお断りします
夕飯の支度をしないといけないので」
「ああ、縁守の坊主か
まあそういうことなら仕方ねえわな
気にすることはねえよ、
これはただのおっさんのお節介だからな」
そう言って豪快に笑う志摩さんを背に、
俺は夕飯の支度をするために、その場を後にするのであった……
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