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幕間
幕間 ホワイトの襲来
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「いい加減首を縦に振ってくれませんか?
あなたがその変なプライドを捨ててくれれば、
私もこんな暴挙はせずに済んだのですよ?」
「ならぬ、そもそもお主は我のことを
畜生だなどと見下しておったではないか
そんな輩に狼の仮面は渡せん」
「そうですか……それは残念ですね
聞き分けのない犬には……こうです!」
スパァン!
「キャイン!」
「…………何してんだアタエ」
「見ての通り交渉です
この畜生がなかなか首を縦に振らないんで困ってるんですよ
ちょっと手を貸してくれません?」
「長ネギ片手に交渉とか頭わいてんのか?」
何故かアタエは右手に長ネギを持っており、
狼姿の禍津が何かを断る度に、長ネギで顔面を叩いていた。
禍津の耳はぺしょんと垂れて、涙目になっている。
「聞いてくださいよクワイ
この畜生全く了承してくれないんですよ?
さっさとこよみんとおそろいの狼面を作ってくれれば、
私もネギビンタなんてしなかったのに……」
「いやネギビンタって何だよ
神とはいえ、動物虐待してんじゃねえよ」
「そうだそうだ!動物愛護団体に訴えてやるからな!」
狼の姿の禍津はキャンキャンと叫ぶ。
動物がそれ言うと、何か複雑な気持ちになるな。
「こっちだってやりたくてやってるんじゃないんですよ
私がこよみんとズッ友になるにはおそろいが必要なんです
『私達ズッ友だからね!』とか誓いあいたいし、
連れションとかもしてみたいんですよ」
「連れションって何?」
「さぁ?私も詳しくは分からないのですが、
恐らく連れショッピングとかそんなのでしょう
ふふっ、いつかこよみんと買い物に行ってみたいものですね
…………ショッピングモールなんて、
車でしか行けない距離にしかありませんが……」
連れショッピングとか大分無理あるだろ
とは思ったが、正解を知らないので黙ることにした。
「そ、そんな理由で我を痛め付けたのか!?」
「そんな理由とは何です?もう一回ネギビンタやりましょうか?」
「ひえっ、それはもうよい!
地味に痛いんだぞあれ!」
「アタエ、狼の面だと確か、
あのマガイモノの子も持ってなかったか?」
「………何ですって?」
「そういえば、あのマガイの子にも作ったな
レキにねだられたのを良く覚えておる」
「だから、レキとおそろいにはならないんじゃねえの?」
「…………」
アタエは長ネギを強く握りしめる。
「何で……何でもっと早く言わなかったんですか!」
スパァン!
「理不尽!」
「それが分かっていれば私もこんなことは……
ああ、ホワイトデーまで時間がありません
早くお返しの準備をしなければ……」
アタエはぶつぶつ呟いたかと思うと、
長ネギを持ったままどこかへと行ってしまった。
「その……あんたも災難だったな
碧生くんは元気か?」
「ああ、元気にしておる
今は……一時的に憑依を解いてる状態だからな
用が済んだなら、早く戻ってやらねば」
「その頬の痕……引き継がれないと良いな」
「…………そうだな」
禍津が帰ったタイミングで、
今度はカミが書物を読みながらやってきた。
「ふむふむ……ネックレスはあなたを独占したい……
テディベアは(僕だと思って)大切にしてほしい……か
ここはやはりネックレスが妥当か?」
「安定に気持ち悪いな」
「失礼だなクワイ
可愛い妹にはいつだって側にいて欲しいだろう?」
「この前お前の妹じゃないって言われただろ
まだ諦めてなかったのか?」
「レキがそう言っただけで、
本当に妹ではない証拠はないだろう?」
レキは、死んだ妹を探し続けるカミに、
自分はその妹ではないと告げた。
カミはその言葉に絶望しながらも、
一度は納得していたようだが、
やはり妹はレキだと思い込むことにしたらしい。
まあ、それも仕方のないことなのかもしれない。
カミは妹がどこかで生きてると思い込むことで、
今まで正気を保てていたのだから。
「だからと言って、前までのようにはやめとけよ?
このままじゃキモすぎる罪で通報されるぞ」
「キモすぎる罪って何さ
僕気持ち悪いこと何一つした覚えないんだけど?」
「当たり前のようにネックレス送ろうとしてんのがキモいんだよ
例え兄からでも気持ち悪いわ」
「そんなことないさ!
きっとレキは喜んでくれるよ!」
「何の話です?」
俺とカミが話をしていると、
先ほど長ネギ持ってどこかに行ったアタエが帰ってきた。
どうやら今は何も持っていないようだ。
「聞いてくれよアタエ
こいつレキにネックレス送ろうとしてんだぜ?」
「それは隣の村のおまわりさんを呼びに行くべき案件ですね」
「一刻も早く縁壊に切られて欲しい」
「失敬な!僕は妹にはいつまでも一緒にいてほしいだけだよ!」
「そもそもお前チョコ貰ってねえだろ」
先月でのバレンタイン。
カミが暦に貰ったとか言う不恰好なチョコが気になり、
後日、本人に確認してみたところ、
形が歪になってしまったチョコを、
袋にまとめて保管していたらしいのだが、
いつの間にか失くなっていたらしい。
つまり、実際は貰ってすらいなかったということだ。
「貰ったよ、愛情という名のチョコをね!」
殴りたくなってきた。
「絶妙にムカつく顔してんな」
「さっきの長ネギ持ってきた方が良いですかね?」
「是非持ってきてくれ」
「二人とももうちょっと優しくしてよ!(クソデカ大声)」
こうしてカミサマ達は、次のホワイトデーに備えて、
準備を始めたのだった……
あなたがその変なプライドを捨ててくれれば、
私もこんな暴挙はせずに済んだのですよ?」
「ならぬ、そもそもお主は我のことを
畜生だなどと見下しておったではないか
そんな輩に狼の仮面は渡せん」
「そうですか……それは残念ですね
聞き分けのない犬には……こうです!」
スパァン!
「キャイン!」
「…………何してんだアタエ」
「見ての通り交渉です
この畜生がなかなか首を縦に振らないんで困ってるんですよ
ちょっと手を貸してくれません?」
「長ネギ片手に交渉とか頭わいてんのか?」
何故かアタエは右手に長ネギを持っており、
狼姿の禍津が何かを断る度に、長ネギで顔面を叩いていた。
禍津の耳はぺしょんと垂れて、涙目になっている。
「聞いてくださいよクワイ
この畜生全く了承してくれないんですよ?
さっさとこよみんとおそろいの狼面を作ってくれれば、
私もネギビンタなんてしなかったのに……」
「いやネギビンタって何だよ
神とはいえ、動物虐待してんじゃねえよ」
「そうだそうだ!動物愛護団体に訴えてやるからな!」
狼の姿の禍津はキャンキャンと叫ぶ。
動物がそれ言うと、何か複雑な気持ちになるな。
「こっちだってやりたくてやってるんじゃないんですよ
私がこよみんとズッ友になるにはおそろいが必要なんです
『私達ズッ友だからね!』とか誓いあいたいし、
連れションとかもしてみたいんですよ」
「連れションって何?」
「さぁ?私も詳しくは分からないのですが、
恐らく連れショッピングとかそんなのでしょう
ふふっ、いつかこよみんと買い物に行ってみたいものですね
…………ショッピングモールなんて、
車でしか行けない距離にしかありませんが……」
連れショッピングとか大分無理あるだろ
とは思ったが、正解を知らないので黙ることにした。
「そ、そんな理由で我を痛め付けたのか!?」
「そんな理由とは何です?もう一回ネギビンタやりましょうか?」
「ひえっ、それはもうよい!
地味に痛いんだぞあれ!」
「アタエ、狼の面だと確か、
あのマガイモノの子も持ってなかったか?」
「………何ですって?」
「そういえば、あのマガイの子にも作ったな
レキにねだられたのを良く覚えておる」
「だから、レキとおそろいにはならないんじゃねえの?」
「…………」
アタエは長ネギを強く握りしめる。
「何で……何でもっと早く言わなかったんですか!」
スパァン!
「理不尽!」
「それが分かっていれば私もこんなことは……
ああ、ホワイトデーまで時間がありません
早くお返しの準備をしなければ……」
アタエはぶつぶつ呟いたかと思うと、
長ネギを持ったままどこかへと行ってしまった。
「その……あんたも災難だったな
碧生くんは元気か?」
「ああ、元気にしておる
今は……一時的に憑依を解いてる状態だからな
用が済んだなら、早く戻ってやらねば」
「その頬の痕……引き継がれないと良いな」
「…………そうだな」
禍津が帰ったタイミングで、
今度はカミが書物を読みながらやってきた。
「ふむふむ……ネックレスはあなたを独占したい……
テディベアは(僕だと思って)大切にしてほしい……か
ここはやはりネックレスが妥当か?」
「安定に気持ち悪いな」
「失礼だなクワイ
可愛い妹にはいつだって側にいて欲しいだろう?」
「この前お前の妹じゃないって言われただろ
まだ諦めてなかったのか?」
「レキがそう言っただけで、
本当に妹ではない証拠はないだろう?」
レキは、死んだ妹を探し続けるカミに、
自分はその妹ではないと告げた。
カミはその言葉に絶望しながらも、
一度は納得していたようだが、
やはり妹はレキだと思い込むことにしたらしい。
まあ、それも仕方のないことなのかもしれない。
カミは妹がどこかで生きてると思い込むことで、
今まで正気を保てていたのだから。
「だからと言って、前までのようにはやめとけよ?
このままじゃキモすぎる罪で通報されるぞ」
「キモすぎる罪って何さ
僕気持ち悪いこと何一つした覚えないんだけど?」
「当たり前のようにネックレス送ろうとしてんのがキモいんだよ
例え兄からでも気持ち悪いわ」
「そんなことないさ!
きっとレキは喜んでくれるよ!」
「何の話です?」
俺とカミが話をしていると、
先ほど長ネギ持ってどこかに行ったアタエが帰ってきた。
どうやら今は何も持っていないようだ。
「聞いてくれよアタエ
こいつレキにネックレス送ろうとしてんだぜ?」
「それは隣の村のおまわりさんを呼びに行くべき案件ですね」
「一刻も早く縁壊に切られて欲しい」
「失敬な!僕は妹にはいつまでも一緒にいてほしいだけだよ!」
「そもそもお前チョコ貰ってねえだろ」
先月でのバレンタイン。
カミが暦に貰ったとか言う不恰好なチョコが気になり、
後日、本人に確認してみたところ、
形が歪になってしまったチョコを、
袋にまとめて保管していたらしいのだが、
いつの間にか失くなっていたらしい。
つまり、実際は貰ってすらいなかったということだ。
「貰ったよ、愛情という名のチョコをね!」
殴りたくなってきた。
「絶妙にムカつく顔してんな」
「さっきの長ネギ持ってきた方が良いですかね?」
「是非持ってきてくれ」
「二人とももうちょっと優しくしてよ!(クソデカ大声)」
こうしてカミサマ達は、次のホワイトデーに備えて、
準備を始めたのだった……
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