10 / 12
接近注意報!!
しおりを挟む「…?何言って…」
「もー、わかってるくせに、知らないふりなんて酷いですよ!!
そのために、ボクを呼んだんでしょ?」
「…あの…本当にだな…」
「あ!それともそういうプレイですか?ふふっいいですよ!ボクもそう対応させてもらいますから!
じゃあ、初々しいサセルさんには優しくしないといけませんね…。
安心してください!怖いことなんて一つもしませんよ。」
本当にコイツはなにを言ってるんだ…?
今この会話の流れだと…いや、わからない、俺は全然なんのことかわからないぞ……
……。
ーーそういうことなのか…!?
急にそういう雰囲気になり始めたテオドアは、さっきとは別人のような鋭い目つきでこちらを見てきた。
ん…?お、おかしくないか…?
これって俺がやられるみたいな……
「じゃあ、ベッドに横になってもらえますか?」
「お、おい!テオドア!待て!本当にわからないんだって…」
「うーん…テオドアじゃなくて…
テオって愛称で呼んで欲しいです!」
そう言いながらサッと立ち上がり、枕を下に敷いてベッドに座っている俺の上半身を押し倒した。枕は現実と変わることのない慣れ親しんだ柔らかい感触だったが、俺がそのことに気づく余裕はなかった。
「ま、待て!!話を聞け…!!」
さっきからそれなりに抵抗したり声をかけているのに全く聞いてくれる様子がない。先程までは自分の思うように行動できていたのに、急に言うことを聞かなくなってしまった。
俺はあっという間に押し倒された。そしてテオドアがベッドをぎしりと鳴らして、俺の上に乗っかってきた。
普段上から見下ろされることなどあまりない俺にとってこの体勢は俺の心を乱すのには十分だった。積み重ねてきた経験からくる余裕が、今この状況に全て打ち壊されてしまった。俺の夢の中だからなのか、思考がいつまで経っても完結しない。それゆえに、冷静さが保てない。
テオドアに上から見下ろされて、その大きな瞳と目が合った。恐怖という感情は死と慣れ親しみ過ぎてしまた俺にはあまり感じないものだったが…この桃色の瞳に捉えられるとどうも萎縮してしまう。
「…テオドア!やめろ!なにしてるんだ!」
「テオって呼んでください。サセルさん…。じゃないとお話聞きませんよ?」
「…………………テオ。」
「えへへ、嬉しいです…!これからはちゃんとそう呼んでくださいね?
ーーーそれにしてもさっきからやめろやめろと言っていますけど、サセルさん全然抵抗してこないじゃないですか…。
ほらほら、抵抗しないと…どうなっちゃうんでしょうね?このまま、続けてもいいですか?」
これは…本格的にまずい…!
俺の研ぎ澄まされた勘が伝えている…
このままでは確実に喰われると
そうやって頭ではわかっているのに、なぜか体が動かない。まるで、金縛りにでもあったかのようにピクリとも動かない。
ま、まずい…このままだとまるで……
「ーーーイエスってことでいいんですね?」
「いやっ、体が動かなくてだな!」
「じゃあイエスですね!!」
テオドアは俺が動かないのをイエスと受け取ってしまったらしい。
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ…?ちゃーんと、優しくしますから。ね?サセルさん。」
テオドアが俺にぐいっと体を寄せて囁く。
きっと俺の焦りや緊張が密着されたことにより伝わってしまっていることだろう。そうやってぼんやりと心の中で思っている俺はもはや、これが夢であるということを忘れていた。
夢であるはずなのにこんなにもドギマギしている俺はさぞかし滑稽だ。それに気づいたのは夢が覚めてからであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回までサセル視点のお話でしたが、次回からはテオドア視点に戻ります。
サセルさんSランク冒険者とは思えない慌てぶりですね(笑)
まあ、異性に迫られるという経験がないので仕方がないのです。
さて、今回もお読みくださりありがとうございました。次回から加速していくかも…?
0
お気に入りに追加
263
あなたにおすすめの小説
【完結】二年間放置された妻がうっかり強力な媚薬を飲んだ堅物な夫からえっち漬けにされてしまう話
なかむ楽
恋愛
ほぼタイトルです。
結婚後二年も放置されていた公爵夫人のフェリス(20)。夫のメルヴィル(30)は、堅物で真面目な領主で仕事熱心。ずっと憧れていたメルヴィルとの結婚生活は触れ合いゼロ。夫婦別室で家庭内別居状態に。
ある日フェリスは養老院を訪問し、お婆さんから媚薬をもらう。
「十日間は欲望がすべて放たれるまでビンビンの媚薬だよ」
その小瓶(媚薬)の中身ををミニボトルウイスキーだと思ったメルヴィルが飲んでしまった!なんといううっかりだ!
それをきっかけに、堅物の夫は人が変わったように甘い言葉を囁き、フェリスと性行為を繰り返す。
「美しく成熟しようとするきみを摘み取るのを楽しみにしていた」
十日間、連続で子作り孕ませセックスで抱き潰されるフェリス。媚薬の効果が切れたら再び放置されてしまうのだろうか?
◆堅物眼鏡年上の夫が理性ぶっ壊れで→うぶで清楚系の年下妻にえっちを教えこみながら孕ませっくすするのが書きたかった作者の欲。
◇フェリス(20):14歳になった時に婚約者になった憧れのお兄さま・メルヴィルを一途に想い続けていた。推しを一生かけて愛する系。清楚で清純。
夫のえっちな命令に従順になってしまう。
金髪青眼(隠れ爆乳)
◇メルヴィル(30):カーク領公爵。24歳の時に14歳のフェリスの婚約者になる。それから結婚までとプラス2年間は右手が夜のお友達になった真面目な眼鏡男。媚薬で理性崩壊系絶倫になってしまう。
黒髪青眼+眼鏡(細マッチョ)
※作品がよかったら、ブクマや★で応援してくださると嬉しく思います!
※誤字報告ありがとうございます。誤字などは適宜修正します。
ムーンライトノベルズからの転載になります
アルファポリスで読みやすいように各話にしていますが、長かったり短かったりしていてすみません汗
異世界ヤリチン成り代わり
神居恭子
BL
目覚めると知らない空間にいた非モテの俺は、自分に成り代わって欲しいというイケメンと出会う。
元の世界に置いてきた同性の恋人(複数)の相手をして欲しいッだと!?
同性にモテても嬉しくない!(泣)
成り代わりなんて俺には無理!!
諦めないイケメンとの押し問答の末、チュートリアルとして抱かせろと迫ると意外な返答が返ってきて…。
非リア系流され男とヤリチン騎士団長(バリタチ)
との成り代わりから始まる
ヘタレ総攻めハーレムストーリー。
#注意#
最初は成り代わりのタイトルの通り、騎士団長inリョウですが 成り代わったままで終わりません。途中で元の姿になる予定。
小説家になろうに短編投稿したものを加筆、修正して連載更新していこうと思います。
世界観の説明が足りない事があると思います。全体的にフワッとした仕上がり。
プロット?何それ美味しいの?という作者なので矛盾やオカシイところは遠慮なく指摘していただけると有り難いです。
遅筆です
主人公受けな催眠もの【短編集】
霧乃ふー
BL
抹茶くず湯名義で書いたBL小説の短編をまとめたものです。
タイトルの通り、主人公受けで催眠ものを集めた短編集になっています。
催眠×近親ものが多めです。
短編まとめ
あるのーる
BL
大体10000字前後で完結する話のまとめです。こちらは比較的明るめな話をまとめています。
基本的には1タイトル(題名付き傾向~(完)の付いた話まで)で区切られていますが、同じ系統で別の話があったり続きがあったりもします。その為更新順と並び順が違う場合やあまりに話数が増えたら別作品にまとめなおす可能性があります。よろしくお願いします。
異世界行ったらボクは魔女!
ゆうきぼし/優輝星
BL
僕が魔女だって?それも精液を交換し合う事で魔力が高められる?
ある日アキトことフリーターの内泉あきとは飼い猫と一緒に異世界に転移してしまう。僕を追って目の前に現れた同級生の江戸川はこの世界の皇太子エドガーだった。猫のクロはこの世界の獣人クロードで互いに精液を交換しあうことで魔力を高めれると知る。この世界は男だけ。そして3人は伝説の勇者達の末裔であった。魔女の淫蕩さに翻弄されながらもアキトは自分の生きる道を探しだしていく。
獣人(攻)俺様皇太子(攻)無自覚美人(受) *マークがついた回には性的描写が含まれます。……なんだかちょっとコメディ風味もあり?
*攻めの二人は次第に互いを信頼しあう様になり、二人して受けを溺愛します。
お祭 ~エロが常識な世界の人気の祭~
そうな
BL
ある人気のお祭に行った「俺」がとことん「楽しみ」つくす。
備品/見世物扱いされる男性たちと、それを楽しむ客たちの話。
(乳首責め/異物挿入/失禁etc.)
※常識が通じないです
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる