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接近注意報!!

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「…?何言って…」

「もー、わかってるくせに、知らないふりなんて酷いですよ!!
そのために、ボクを呼んだんでしょ?」

「…あの…本当にだな…」

「あ!それともそういうプレイですか?ふふっいいですよ!ボクもそう対応させてもらいますから!

じゃあ、初々しいサセルさんには優しくしないといけませんね…。

安心してください!怖いことなんて一つもしませんよ。」


本当にコイツはなにを言ってるんだ…?
今この会話の流れだと…いや、わからない、俺は全然なんのことかわからないぞ……


……。


ーーそういうことなのか…!?


急にそういう雰囲気になり始めたテオドアは、さっきとは別人のような鋭い目つきでこちらを見てきた。

ん…?お、おかしくないか…?
これって俺がやられるみたいな……


「じゃあ、ベッドに横になってもらえますか?」

「お、おい!テオドア!待て!本当にわからないんだって…」

「うーん…テオドアじゃなくて…
テオって愛称で呼んで欲しいです!」


そう言いながらサッと立ち上がり、枕を下に敷いてベッドに座っている俺の上半身を押し倒した。枕は現実と変わることのない慣れ親しんだ柔らかい感触だったが、俺がそのことに気づく余裕はなかった。


「ま、待て!!話を聞け…!!」


さっきからそれなりに抵抗したり声をかけているのに全く聞いてくれる様子がない。先程までは自分の思うように行動できていたのに、急に言うことを聞かなくなってしまった。

俺はあっという間に押し倒された。そしてテオドアがベッドをぎしりと鳴らして、俺の上に乗っかってきた。

普段上から見下ろされることなどあまりない俺にとってこの体勢は俺の心を乱すのには十分だった。積み重ねてきた経験からくる余裕が、今この状況に全て打ち壊されてしまった。俺の夢の中だからなのか、思考がいつまで経っても完結しない。それゆえに、冷静さが保てない。

テオドアに上から見下ろされて、その大きな瞳と目が合った。恐怖という感情は死と慣れ親しみ過ぎてしまた俺にはあまり感じないものだったが…この桃色の瞳に捉えられるとどうも萎縮してしまう。


「…テオドア!やめろ!なにしてるんだ!」

「テオって呼んでください。サセルさん…。じゃないとお話聞きませんよ?」

「…………………テオ。」

「えへへ、嬉しいです…!これからはちゃんとそう呼んでくださいね?

ーーーそれにしてもさっきからやめろやめろと言っていますけど、サセルさん全然抵抗してこないじゃないですか…。

ほらほら、抵抗しないと…どうなっちゃうんでしょうね?このまま、続けてもいいですか?」


これは…本格的にまずい…!
俺の研ぎ澄まされた勘が伝えている…
このままでは確実に喰われると

そうやって頭ではわかっているのに、なぜか体が動かない。まるで、金縛りにでもあったかのようにピクリとも動かない。

ま、まずい…このままだとまるで……


「ーーーイエスってことでいいんですね?」

「いやっ、体が動かなくてだな!」

「じゃあイエスですね!!」


テオドアは俺が動かないのをイエスと受け取ってしまったらしい。


「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ…?ちゃーんと、優しくしますから。ね?サセルさん。」


テオドアが俺にぐいっと体を寄せて囁く。

きっと俺の焦りや緊張が密着されたことにより伝わってしまっていることだろう。そうやってぼんやりと心の中で思っている俺はもはや、これが夢であるということを忘れていた。

夢であるはずなのにこんなにもドギマギしている俺はさぞかし滑稽だ。それに気づいたのは夢が覚めてからであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回までサセル視点のお話でしたが、次回からはテオドア視点に戻ります。

サセルさんSランク冒険者とは思えない慌てぶりですね(笑)
まあ、異性に迫られるという経験がないので仕方がないのです。

さて、今回もお読みくださりありがとうございました。次回から加速していくかも…?
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