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ニヤニヤが止まらない

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俺は予定通り、飲み物を買って門へと走った。門へ行くと、サセルさんが門の前で立っていた。一際目につくその存在はやはり、そこでも目立っていた。


「サセルさん!すみません。お待たせしてしまいましたか?」

「いや、待ってはいない。俺も今さっき着いたところだ。」


う゛っ…!!……紳士な対応に惚れそう…!!
ーーーただ単に事実なだけかもしれないが。


「あの!サセルさんも飲み物は持ってないように見えたので、もう一つ買ってきたのですが……」

「ん?ああ、俺にか。すまない、ありがとう。今、金を…」

「いえ!これはボクからのお礼です。本当に今日、引き受けてくださった事が嬉しくて…それに、今日は暑いですし、サセルさんも必要だと思っただけですから…!」

「そうか。ありがとうな。」


そう言ってサセルさんは、俺の頭を撫でてきた。

…完全に子供扱いされてる……!
いや、確かに今までの俺の言動じゃ仕方ないけどさぁ…

ふっ…絶対にそんなことも考えられないくらいメロメロにしてやる……!
そんなことしてられるのも今のうちさ!


「よし、それじゃあ出発するか。」

「はい!」


俺たちは、王都の近くにある森に向かって出発した。

道中、サセルさんは色々なことを話してくれた。森での注意事項や冒険者達の日常、サセルさんが経験したことなど様々だ。俺は今まであまり外に出かけたことがなかったので、とても勉強になった。
ーーそしてなにより、サセルさんの話は面白い。途中に雑学や小ネタなどを挟んでいて、俺もついその話に夢中になってしまった。





「…なあ、ひとつ聞いてもいいか?」

「はい。なんですか?」

「なんでテオドアは冒険者になろうと思ったんだ?」

「うーん…そうですね……。理由は色々あるんですけど…
大まかな理由としては2つあるんです。

1つの目は、サセルさんはもう気がついていると思いますが、ボクは貴族です。だから、学園に入学しなければならないので、そのためっていうのが1つの理由ですかね。色々経験していた方が役立つかと思いまして。

2つ目に、色々な人を見てみたいと思ったからです。ボクは今まであまり人と交流してこなかったので、世の中にはどのような人がいるのか気になっていたんです。

大まかな理由としては、そんな感じです。」


ーーー嘘は言ってない。
学園のためというのも1つの理由だ。ただ、色々という言葉に本当に色々含まれているだけで。2つ目は、少し言い方を変えただけだ。俺の真の狙いなど見抜けまい。



こんな理由を、今まで生活のために冒険者として生きてきただろう彼にいうのは、少し躊躇われる。貴族と平民では、冒険者になる目的も変わってきてしまう。どうか、寛大な広い御心で理解してほしい。

そうやって俺が悶々と懸念していたが、サセルさんは特になにも思わなかったのかーそうか。と、ひとこと言って終わりにした。


「サセルさんは、なんで冒険者になろうと思ったんですか?」

「俺はだな、ただ単純にこの仕事が性に合ってる気がしたからだ。もともと体格に恵まれててな。よくある理由だ。まあ、その予感は当たって、俺も結構この仕事に満足しているんだがな。」

「確かに、サセルさん体格いいですもんね!ボクもそういう男らしい感じに憧れているんですけど、なかなか筋肉がつかなくて…。」

「まあ、人には個人差っていうものがあるんだ。お前にもお前なりのいいところがきっとあるさ。」

「そうですよね!向き不向きがありますからね…だからといって、男らしくなりたいという気持ちは諦めませんけどね…!」

「フッ…お前ならできるさ、頑張れ。」


っくぅ~サセルさんがいい人すぎる!!!

なんかもう舎弟とかいそうな感じで、頼れるアニキって感じ…。最高すぎる…。


「あっ、そういえば…サセルさんのランクを聞いてもいいですか?」


不意にちょっと気になっていたことを聞いてみた。


「ん?ああ、いいぞ。今の俺のランクはSだ。と言ってももういい年だし、引退を考えているところなんだがな。たいしたことないさ。」

「へ~Sなんですね~……









……。







えっ…?えす…?
えっ、ぅえええええぇぇ!???!」

「え、えすって、最高位のランクでしたよね!?!?しかも、この国に6人ほどしかいないっていう…

えっえっ?そんなサラッと言っちゃってますけど、全然たいしたことなくないですよ!



ほぇ~Sランクの冒険者さんって初めて見ました……。」


え、えすだとおおおおおおお!?

そんなの冒険者にとって英雄的存在じゃないか!!!!Sランクともなったら、緊急時には国からも召集がかかることがあるって聞いたことあるぞ!?

……え。まじ?

しょっぱなからすごい人に出会っちゃったな…。

そうすると、色々行動に移す時などはかなりの慎重を要することになる。絶対に舐めてかかったりしてはいけない相手だ。

うわーまじかーガードがキツそうだなー
バレた時の危険度えげつないでしょ、これ。





…。





…っふふ、ぐふふひひひっ


そういうこと言われちゃうと、俺さらにやる気出ちゃうなー!!!


つまりそれは、俺がこの人を落としたら、もうかなり落としのプロ並みってことはだよね!?

経歴に書けるレベルだよ!!!


いや~やっぱり難易度が高いと燃えるよね~!!!

…なんていうか、あまりにも高すぎて、見上げるのに首が痛くなるタイプは萎えるよ?でも、できるかできないかの瀬戸際を攻める感じがたまんないよな~。

はあ~もうこの人の全てが俺の心と体と股間を燻ってくるよ…。最高か…!


「お、おう。ありがとな。

さっきも言った通りもういい年なんだ。それまでずっと色々な仕事をこなしてたらいつのまにか、ランクが上がっててな。そしたら逆に、離れられなくなってたんだ。ギルド側もなかなか手強くてな。」

「確かに、そんな人材を早々に手放すのは、ギルド側も惜しいと考えるでしょうね。」

「ああ、俺も今後暮らすための金ももう十分にたまってるし、家もある。だからもう隠居して1人のんびりと過ごしたいんだけどな。」

「まだ、難しそうですね…。うん?サセルさんは、ご結婚されてないんですか?」

「っは、俺みたいな男のところに来たがる女なんか、いねえだろ。それに、今まで仕事一筋だったから、そんなことを考えたことはなくてな。今からじゃあ、もう遅いだろ。」

「うーん…サセルさんは普通にモテると思うんですが…。

だって、Sランク冒険者に家持ち、この条件だけでもうかなりモテると思いますよ。

確かに、最初は少し萎縮してしまうかもしれませんが、とても優しいですし、会話も上手い、微笑んだ顔も素敵です。顔も凛々しく、身体も引き締まっていて、とってもかっこいいです!

きっと陰ながらサセルさんのことを思ってる人は少なくないと思いますよ。

え?日の打ち所がなさすぎませんか?」


やべ…ちょっと喋りすぎたか?
これって、セクハラに入らないよな…??


「い、いや、俺はそんなんじゃねえ。

それに、そんな好意をもたれたことなんて一度も……。」


あまり褒められ慣れてないのか、少し頬が赤らんだ。照れてる。俺のストレートが効いたみたいだ。


…。

かわよ。破壊力えげつないな。
俺のHPの半分は削りれたぞ。
恐るべし、照れ顔。


っていうか…妻子とかはいないって言ったな!!いないって言ったな!!!!

この感じだと恋人もいなさそうだ。

よし!!よし!!
これでなんの心の憂いもない!!!
心置きなくヤれますねぇ!


「うーん…。周りは、見る目がないですね!こんなにも素敵な人なのに!ボクが女性だったら、絶対に放っておきませんよ!」


女性じゃなくとも、放ってはおかないが。


「なっ!…あまりそういうことを言うな…。大人を揶揄うもんじゃないぞ。まったく…。」

「揶揄ってなんていませんよ!事実です!」

「……わかったよ…。
わかったからその辺にしてくれ、あまりそう言うのは慣れてないんだ。だが、そういうふうに言ってくれて、ありがとな。

そうだな…
俺もお前が女だったら放って置かないな。」


おおっと…!これは脈アリととっていいのか!?どうなんだ!?微妙なところだな…。

そういうこと言われると、おじさん勘違いしちゃうぞ…?これから、ホテルに行くかい?



まあ、とにかく容姿に生理的嫌悪感などは抱かれてないと判断して良さそうだな。あとあまり悪い印象も持たれていないと考えてもいいだろう。

よし、初手は順調順調…。


そんな感じで、途中、照れ照れしつつも目的の森へ到着したということで、気を引き締め直し、俺たちは薬草採取のため森の中へ入っていった。


森に着いてから俺は薬草の生えやすい場所や、特徴、毒草の注意などのレクチャーを受けた。サセルさんと一緒に一通り採取し終え、一息着こうと言われた。


「薬草についてはこんなところだ。まあ、薬草なんて初期か緊急時くらいしか扱わないから、気に留めて置くくらいでいいだろう。お前は、多分魔物討伐とか戦闘系の講習の方がいいだろう?」

「そうですね。ボクも戦闘の方をどうにかしたいと思っていますから、できればそっちの講習も受けたいと思ってます。」

「そうか。今日の薬草採取についてはもう終わったから、午後から空いてるならそっちの講習も教えてやれるぞ。」

「本当ですか!?ありがとうございます!午後も特に予定はないのでお願いしたいです!」

「わかった。じゃあ午後からは、もう少しこの森の奥に入っていって、戦闘訓練をしてみよう。

まあ、その前にいったん休憩だ。日も昇ってきて、かなり暑いからな。脱水に気を付けろ。」


サセルさんが周囲の安全を確認した後、俺たちは近くの木陰に入った。









休憩となると、自ずと水分補給をするもので…

サセルさんは躊躇いもなく俺が渡した水を口にした。


「…ッ!?」


経験豊富なサセルさんは、きっと一口飲んだだけで気づいただろう。



っふふッあはははは!!!
……かかったなぁ?


俺が渡すものが普通な訳ないだろ~?

今日会ったばかりの人からもらったものなんて口にしたらいけないよ~???




さて、きっと変態‘ズな皆さんは飲み物に混入物というだけでもう想像がついてると思いますが。そうです。入れちゃいました。

皆さん大好き媚薬でございます。
しかもそれは俺のスキルで作った特別製。即効性があり、かつ、かなり強いものとなっている。そして時間が経つにつれて効力が強くなっていくという代物だ。

さらに特徴的なのが、大体1、2回も抜けば治るという、体に優しい設計仕様なところだ。というのも、媚薬は効果が強いとほとんどのものは持続力も増してしまうので、使ったら一連のコトが済むまでにかなり時間がかかってしまう。

今回は、あくまでこれから深~い関係を作っていくための布石でしかない。
そのためにも、俺について深く印象付けられ、特別に意識してもらわないといけない。肉体的接触もその一部に過ぎない。

濃厚な身体的接触から始まる愛というのも、よくある話だとは思わないか?

ということで、短時間に深~く関われるのにぴったりな媚薬をご用意しました!

ただ残念なことに、サセルさんは自分では抜くことができません!ちょぴーっと媚薬の他に体の自由が効かなくなる薬も盛っときました。



そんなかわいそうなサセルさんの側にちょうどいいところにいる俺!!




んふふ~さーて、どんな反応を見せてくれるかな~。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

っほんとうに、すみませんでした!!!!
こんな初めて早々に投稿が遅くなってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでございます。

というのも、9月に入ってからかなり忙しくなってしまい、執筆する時間が取れませんでした。

言い訳です!!はい!!

最近は一息つきましたので、これからたくさん筆を走らせていこうと思う所存であります!!

そして、今回も読んでくださり、ありがとうございます!

もうすぐエロ突入ですね!いやあ、疲れるとすぐエロいものを見たくなっちゃう体質なので、頑張ってエロくしていこと思います!

人類皆、変態である!以上です!



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