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六章
恋する娘と男の子 その2
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「…というわけなのです」
長い長いアンシーの説明が終わり、半ば呆れた様子の宗一であった。
場所は学校から少し離れた場所にある児童公園である。
周囲には子供はおらず、今はアンシーと宗一の二人だけである。
なんだか、寂しい貸し切り状態の公園のベンチに腰掛けたり、立ったりしながら、先ほどからアンシーの話を聞いていた宗一であった。
「というか、裏の裏まで全部話していないか、アンシー」
その問いかけに対し、アンシーは澄ました顔である。
確信犯的に全部話したのか、それとも天然なだけだろうか。
もしかしたら、嘘を吐くようなプログラミングが成されていないのかも知れないし、そこまで科学者たちの技術がたどり着いていないのか。
とにかく、アンシーは瀬戸田姉妹に伝言を頼まれたのだろうが、そのすべてを包み隠さず話していた。
「つまりは瀬戸田姉妹は俺に対して、謀略を巡らせているということかよ」
つまりはそういうことになろう。
あの二人もさすがにアンシーが全部話すと思わずに、計画の片棒を担がせようとしたのだ。
まあ、普通はなんとか上手く、宗一に聞かれてまずいことは言わないで、必要な情報だけを与えると思うだろう。
だが、現実は違う。
こうして、アンシーに訊ねると、なんの疑いもなく彼女は「はい」と答えるのだった。
そして、宗一はそんな彼女の反応を見て大きくため息を吐いていた。
「あの…」
「なんだよ…」
「一つよろしいでしょうか?」
「だめ…」
「そうですか…」
やや、がっかりしたような声色でアンシー。
「…なんだよ。やっぱり、聞いていいよ。言ってみろよ」
促すと、アンシーはこっくりと一つ頷いてから訊ねた。
「…宗一様はプリン様のことがお嫌いなのですか?」
「えっ?」
「…プリン様のことを拒否されたと聞いたもので…」
それを訊ねるアンシー。
そんな彼女はやや遠慮しがちな様子にも見えた。
宗一はアンシーから目線を外して、遠くを見て考える。
「…そういうわけじゃ…。あのときはたまたま虫の居所が…まあ、そういうときってあるだろ? 言葉がきつくなったりとか。そういうときに相手を傷つけたりとか、そして、そのこと後悔したりとか…」
そう自分で言ってからハッとなる。
やはり、自分は不本意なのだろう。
プリンとは仲良くしたいと思っているのだろうし、じゃなきゃ「後悔」という言葉が自分の口から出るはずもない言葉だと言うことに宗一は気付いた。
「…では、どうしてプリン様にそのことを伝えてあげないのでしょうか? プリン様は傷ついています。ゲジゲシのビデオが秘密結社に渡ってしまうよりも何よりも、宗一様とのことで悩んでいます。仲直りした方がいいと思います。喧嘩するのは良くないと、そうわたしは教わりました」
「参ったな」
ゲジゲジのビデオのくだりは何とのことか分からない。
しかし、彼女が言うとおりのような気がしてしまう宗一である。
よく考えれば、くだらないことだ。
確かに喧嘩しっぱなしの相手がいるというのもやるせない。
ましてや、相手は女の子だ。
女の子を傷つけたままというのは、男としても情けない気持ちになってしまう。
「確かに…そうかもしれないな」
「はい。宗一様とプリン様が喧嘩するのは好ましくありません。ということで…」
「えっ!?」
驚いてみせた次の瞬間、宗一の意識は暗闇に沈んでいったのだった。
長い長いアンシーの説明が終わり、半ば呆れた様子の宗一であった。
場所は学校から少し離れた場所にある児童公園である。
周囲には子供はおらず、今はアンシーと宗一の二人だけである。
なんだか、寂しい貸し切り状態の公園のベンチに腰掛けたり、立ったりしながら、先ほどからアンシーの話を聞いていた宗一であった。
「というか、裏の裏まで全部話していないか、アンシー」
その問いかけに対し、アンシーは澄ました顔である。
確信犯的に全部話したのか、それとも天然なだけだろうか。
もしかしたら、嘘を吐くようなプログラミングが成されていないのかも知れないし、そこまで科学者たちの技術がたどり着いていないのか。
とにかく、アンシーは瀬戸田姉妹に伝言を頼まれたのだろうが、そのすべてを包み隠さず話していた。
「つまりは瀬戸田姉妹は俺に対して、謀略を巡らせているということかよ」
つまりはそういうことになろう。
あの二人もさすがにアンシーが全部話すと思わずに、計画の片棒を担がせようとしたのだ。
まあ、普通はなんとか上手く、宗一に聞かれてまずいことは言わないで、必要な情報だけを与えると思うだろう。
だが、現実は違う。
こうして、アンシーに訊ねると、なんの疑いもなく彼女は「はい」と答えるのだった。
そして、宗一はそんな彼女の反応を見て大きくため息を吐いていた。
「あの…」
「なんだよ…」
「一つよろしいでしょうか?」
「だめ…」
「そうですか…」
やや、がっかりしたような声色でアンシー。
「…なんだよ。やっぱり、聞いていいよ。言ってみろよ」
促すと、アンシーはこっくりと一つ頷いてから訊ねた。
「…宗一様はプリン様のことがお嫌いなのですか?」
「えっ?」
「…プリン様のことを拒否されたと聞いたもので…」
それを訊ねるアンシー。
そんな彼女はやや遠慮しがちな様子にも見えた。
宗一はアンシーから目線を外して、遠くを見て考える。
「…そういうわけじゃ…。あのときはたまたま虫の居所が…まあ、そういうときってあるだろ? 言葉がきつくなったりとか。そういうときに相手を傷つけたりとか、そして、そのこと後悔したりとか…」
そう自分で言ってからハッとなる。
やはり、自分は不本意なのだろう。
プリンとは仲良くしたいと思っているのだろうし、じゃなきゃ「後悔」という言葉が自分の口から出るはずもない言葉だと言うことに宗一は気付いた。
「…では、どうしてプリン様にそのことを伝えてあげないのでしょうか? プリン様は傷ついています。ゲジゲシのビデオが秘密結社に渡ってしまうよりも何よりも、宗一様とのことで悩んでいます。仲直りした方がいいと思います。喧嘩するのは良くないと、そうわたしは教わりました」
「参ったな」
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しかし、彼女が言うとおりのような気がしてしまう宗一である。
よく考えれば、くだらないことだ。
確かに喧嘩しっぱなしの相手がいるというのもやるせない。
ましてや、相手は女の子だ。
女の子を傷つけたままというのは、男としても情けない気持ちになってしまう。
「確かに…そうかもしれないな」
「はい。宗一様とプリン様が喧嘩するのは好ましくありません。ということで…」
「えっ!?」
驚いてみせた次の瞬間、宗一の意識は暗闇に沈んでいったのだった。
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