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[第2部] 第8話 夜めぐりの祭り
8 夕闇の街で
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通路は、王宮から外の街へと続く橋のひとつに続いていた。
るりなみが普段、衛兵に挨拶をして通る、地上の橋の上ではない。
その一段下にひっそりともうけられた道があったのだ。
橋の下の道は、あまり整備もされておらず、じめじめして暗かった。
だが今はその暗さが、王宮を抜け出す二人の冒険者を、よく隠してくれた。
無事に橋を渡りきって、人々が行き交う街の通りに出ることができると、ゆめづきは「ふぅっ!」と大きく伸びをした。
「最高の気分です! なにもかもばっちりで、夢の中で遊び回っているみたい」
一方のるりなみは、はらはらするあまり、なにも言うことはできなかった。
夕暮れの最後の陽が橙色に染める街を、行き交うせわしない人々の姿を、そしてお祭りに向かうらしい二人連れの子どもたちを、きょろきょろと目で追ってしまう。
そうしていて、るりなみは白いテントを目にとめた。
「あれが、杖を配るテントかな」
橋のすぐそばに、今日だけ建てられたらしいテントがあった。
そこにはわいわいと、二人組になった子どもたちが並んでいる。
るりなみとゆめづきはうなずきあって、テントの列に並んだ。
テントの暗がりが、受付になっているようだ。頭をすっぽりとフードでおおった魔法使いの大人が三人、かわるがわる、やってきた子どもたちに光る杖を渡している。
杖をもらった子どもたちは、決められた地区に向かって、はしゃいだりおしゃべりしたりしながら出かけていく。
その様子を見送っていると、やがて、るりなみたちの番がやってきた。
目の前の魔法使いのフードの奥の顔をうかがって、るりなみは「あっ」と声をあげた。
「いかがいたしましたか」
魔法使いはそう言って、片手で少しだけ、フードを持ち上げてみせた。
そこには──いたずらの成功に満足したかのような、ゆいりの微笑みがあった。
るりなみが普段、衛兵に挨拶をして通る、地上の橋の上ではない。
その一段下にひっそりともうけられた道があったのだ。
橋の下の道は、あまり整備もされておらず、じめじめして暗かった。
だが今はその暗さが、王宮を抜け出す二人の冒険者を、よく隠してくれた。
無事に橋を渡りきって、人々が行き交う街の通りに出ることができると、ゆめづきは「ふぅっ!」と大きく伸びをした。
「最高の気分です! なにもかもばっちりで、夢の中で遊び回っているみたい」
一方のるりなみは、はらはらするあまり、なにも言うことはできなかった。
夕暮れの最後の陽が橙色に染める街を、行き交うせわしない人々の姿を、そしてお祭りに向かうらしい二人連れの子どもたちを、きょろきょろと目で追ってしまう。
そうしていて、るりなみは白いテントを目にとめた。
「あれが、杖を配るテントかな」
橋のすぐそばに、今日だけ建てられたらしいテントがあった。
そこにはわいわいと、二人組になった子どもたちが並んでいる。
るりなみとゆめづきはうなずきあって、テントの列に並んだ。
テントの暗がりが、受付になっているようだ。頭をすっぽりとフードでおおった魔法使いの大人が三人、かわるがわる、やってきた子どもたちに光る杖を渡している。
杖をもらった子どもたちは、決められた地区に向かって、はしゃいだりおしゃべりしたりしながら出かけていく。
その様子を見送っていると、やがて、るりなみたちの番がやってきた。
目の前の魔法使いのフードの奥の顔をうかがって、るりなみは「あっ」と声をあげた。
「いかがいたしましたか」
魔法使いはそう言って、片手で少しだけ、フードを持ち上げてみせた。
そこには──いたずらの成功に満足したかのような、ゆいりの微笑みがあった。
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