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第四章 窓辺のコッペリア
07 探し物
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――― どこにあるの? どこを探せば良いの? 私たちが幸せになる未来は……
◇ Real world ◇
リアルに戻って、俺(フランツ)とスワニーは手分けしてコッペルさん親子を探した。
まずはヘブンズ・ゲートの管理会社に問い合わせ、正攻法で探し始めた。
「すいません! その手の情報はプライバシーの問題になっていてお答えは出来ません」思った通りの回答が帰ってくる。
「でも! 確認ぐらいはしていただけないでしょうか? 安否確認です! 管理会社での安否確認なら可能ではないでしょうか?」
「安否確認ですか……」嫌そうな声でつぶやかれた。
「こちらには個人情報は一切漏れません! 元気にしていることが分かれば私たち隣人も安心ですから!」
もうひと押しと俺は丁重に頼み込んだ。
「分かりました。契約者に連絡を取ってみます」
「ついでに、隣人が連絡を欲しがっていることをお伝え願いたいのですが。よろしくお願いします!」
「そのぐらいなら、構わないでしょう。連絡してみます」
「ありがとうございました!」
どうにか、連絡をしてもらえることになったが……後は待つしかない。
スワニーはチームのメンバーの伝手を使って、「コッペル」もしくは「リア」が何かしらの活動をしていないか聞きまわった。
自分たちの他に、二人と接点がある個人を探して、そこからリアルに繋げる作戦だ。
結果……。
二人はアパートで項垂れていた。
「管理会社は連絡が取れないそうだよ! メールが全て戻って来たらしい」
「こっちも、ダメ! 誰もいないわ。全くゼロって……むしろ異常じゃない?」
万策尽きたと言う感じだった。
「ネット検索してみる?」
「……まさか……」
「他に思いつかないもん!」
「……ダメ元でするか……」
二人は藁をもつかむ思いで思いつくキーワードを検索エンジンに打ち込んだのだった。
☆☆ ☆☆
それから数時間後、都内の立ち入り禁止になった豪邸の前に俺たちは立っていた。
「ここなのか?」
「そうなんだけど……」
二人は異様な雰囲気の洋館をたたずんで見上げていた。
どうして、こうなったかと言うと……。
スワニーは検索窓に思いつくキーワードを入れた。「コッペル」「リア」「舞」「……」
結果、出て来たのは……。
「コッペリア、バレエ作品ね!」
「自動人形(オートマタ)、コッペリアに登場する人形ね!」
「都内の洋館で夜な夜な人形が動き出す……? 何これ都市伝説?」変なものまでヒットした!
記事をいい加減に飛ばして読もうとした時、「舞」の文字が目に入る!
「元大学教授・大久保新(おおくぼあらた)の失踪事件、妻『イレーネ』、娘『舞』」
「舞!」
二人は詳しくこの事件について検索していったのだった。
結果、十年前、娘の舞は十九歳の時病気で死亡。妻も三年前に死んでいた……。
この教授はその後、お手伝いさんと暮らしていたらしいがその後、失踪……それが、コッペルさんとリアの正体?
真相を知りたくてダメ元で洋館まで俺たちは足を運んだと言うわけだ。
☆☆ ☆☆
「あのーすいません」
俺は立ち入り禁止のテープの前に立っている警官に意を決して声をかけた。
「何ですか?」
一人の警官が話を聞いてくれた。
俺たちは二人と仮想空間(バーチャル)で知り合ったこと、失踪と何か関係があるかもしれないことなどを話した。警官二人はそれを聞いて少し相談をしてから、俺たちに言った。
「上の指示を仰ぎますから、しばらくここで待っていて下さい」そう言って連絡を取ってくれる。
少ししてからシルバーのセダンが止まり、中から刑事らしき男が降りて来る。
「警視庁電脳捜査課の黒岩だ! 君たちか仮想空間(バーチャル)で二人を見たと言うのは?」
ここで初めて、黒岩銀次郎とフランツたちが交わることになった。
「すまないな! 急ぎで移動中だったので、このまま話を聞かせてくれないか? うちの課長とはオンラインで繋がっているから」
四十歳前後のがっしりした強面の刑事さんが、運転しながら器用にスマホをスピーカーモードにする。
「初めまして、電脳捜査課の白河です。聞かせて下さい」
優しそうな女性の声がスピーカーから聞こえた。
俺たちは今まで仮想空間(バーチャル)での出来事を全て話した。この刑事さんがやっている捜査と、どこかでつながるのか分からないが、真剣に聞いてくれていることは確かだ。俺たちは来て良かったと思った。
話の最中、隣のスワニーが何故か肘で押してくる。俺は分からず彼女の方を見ると、目で助手席を差していた。
今まで、気が付かなかったが俺たちの他にもう一人車に乗っている人物が居た。ドレスを着た少女だ!?
「あの……こちらの方は?」
恐る恐る聞くと、強面の刑事さんは振り向きもせず言った。
「協力者です! 彼女のことは気にしないで結構ですから」と、取り付く島もない感じだ。
「課長どうしますか?二人を降ろして現地に行きますか。一旦、二人を連れてそちらまで戻りますか?」
「そうね、一旦戻ってください。もっと詳しく聞きたいわ」
「了解!」
車がUターンをするため大きく揺れた。
その瞬間、助手席の少女の髪の毛が一房、帽子から垂れ下がった。
「!」
少女の髪の毛は水色だった!
◇ Real world ◇
リアルに戻って、俺(フランツ)とスワニーは手分けしてコッペルさん親子を探した。
まずはヘブンズ・ゲートの管理会社に問い合わせ、正攻法で探し始めた。
「すいません! その手の情報はプライバシーの問題になっていてお答えは出来ません」思った通りの回答が帰ってくる。
「でも! 確認ぐらいはしていただけないでしょうか? 安否確認です! 管理会社での安否確認なら可能ではないでしょうか?」
「安否確認ですか……」嫌そうな声でつぶやかれた。
「こちらには個人情報は一切漏れません! 元気にしていることが分かれば私たち隣人も安心ですから!」
もうひと押しと俺は丁重に頼み込んだ。
「分かりました。契約者に連絡を取ってみます」
「ついでに、隣人が連絡を欲しがっていることをお伝え願いたいのですが。よろしくお願いします!」
「そのぐらいなら、構わないでしょう。連絡してみます」
「ありがとうございました!」
どうにか、連絡をしてもらえることになったが……後は待つしかない。
スワニーはチームのメンバーの伝手を使って、「コッペル」もしくは「リア」が何かしらの活動をしていないか聞きまわった。
自分たちの他に、二人と接点がある個人を探して、そこからリアルに繋げる作戦だ。
結果……。
二人はアパートで項垂れていた。
「管理会社は連絡が取れないそうだよ! メールが全て戻って来たらしい」
「こっちも、ダメ! 誰もいないわ。全くゼロって……むしろ異常じゃない?」
万策尽きたと言う感じだった。
「ネット検索してみる?」
「……まさか……」
「他に思いつかないもん!」
「……ダメ元でするか……」
二人は藁をもつかむ思いで思いつくキーワードを検索エンジンに打ち込んだのだった。
☆☆ ☆☆
それから数時間後、都内の立ち入り禁止になった豪邸の前に俺たちは立っていた。
「ここなのか?」
「そうなんだけど……」
二人は異様な雰囲気の洋館をたたずんで見上げていた。
どうして、こうなったかと言うと……。
スワニーは検索窓に思いつくキーワードを入れた。「コッペル」「リア」「舞」「……」
結果、出て来たのは……。
「コッペリア、バレエ作品ね!」
「自動人形(オートマタ)、コッペリアに登場する人形ね!」
「都内の洋館で夜な夜な人形が動き出す……? 何これ都市伝説?」変なものまでヒットした!
記事をいい加減に飛ばして読もうとした時、「舞」の文字が目に入る!
「元大学教授・大久保新(おおくぼあらた)の失踪事件、妻『イレーネ』、娘『舞』」
「舞!」
二人は詳しくこの事件について検索していったのだった。
結果、十年前、娘の舞は十九歳の時病気で死亡。妻も三年前に死んでいた……。
この教授はその後、お手伝いさんと暮らしていたらしいがその後、失踪……それが、コッペルさんとリアの正体?
真相を知りたくてダメ元で洋館まで俺たちは足を運んだと言うわけだ。
☆☆ ☆☆
「あのーすいません」
俺は立ち入り禁止のテープの前に立っている警官に意を決して声をかけた。
「何ですか?」
一人の警官が話を聞いてくれた。
俺たちは二人と仮想空間(バーチャル)で知り合ったこと、失踪と何か関係があるかもしれないことなどを話した。警官二人はそれを聞いて少し相談をしてから、俺たちに言った。
「上の指示を仰ぎますから、しばらくここで待っていて下さい」そう言って連絡を取ってくれる。
少ししてからシルバーのセダンが止まり、中から刑事らしき男が降りて来る。
「警視庁電脳捜査課の黒岩だ! 君たちか仮想空間(バーチャル)で二人を見たと言うのは?」
ここで初めて、黒岩銀次郎とフランツたちが交わることになった。
「すまないな! 急ぎで移動中だったので、このまま話を聞かせてくれないか? うちの課長とはオンラインで繋がっているから」
四十歳前後のがっしりした強面の刑事さんが、運転しながら器用にスマホをスピーカーモードにする。
「初めまして、電脳捜査課の白河です。聞かせて下さい」
優しそうな女性の声がスピーカーから聞こえた。
俺たちは今まで仮想空間(バーチャル)での出来事を全て話した。この刑事さんがやっている捜査と、どこかでつながるのか分からないが、真剣に聞いてくれていることは確かだ。俺たちは来て良かったと思った。
話の最中、隣のスワニーが何故か肘で押してくる。俺は分からず彼女の方を見ると、目で助手席を差していた。
今まで、気が付かなかったが俺たちの他にもう一人車に乗っている人物が居た。ドレスを着た少女だ!?
「あの……こちらの方は?」
恐る恐る聞くと、強面の刑事さんは振り向きもせず言った。
「協力者です! 彼女のことは気にしないで結構ですから」と、取り付く島もない感じだ。
「課長どうしますか?二人を降ろして現地に行きますか。一旦、二人を連れてそちらまで戻りますか?」
「そうね、一旦戻ってください。もっと詳しく聞きたいわ」
「了解!」
車がUターンをするため大きく揺れた。
その瞬間、助手席の少女の髪の毛が一房、帽子から垂れ下がった。
「!」
少女の髪の毛は水色だった!
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