電脳捜査課 黒岩銀次郎の受難

第三章 奈落のマリオネット

18 ドローン

 「これはスラエル製です！　自衛隊の方に納入されるものだったんですが、２台程こちらで頂きました」
　車で運んでくれたのは、電脳捜査課の佐久間さん。いつもテレワークなので対面では涼も初めて会った。
「機体の操作とアームの操作で二人必要ですが、飛ばすだけなら、通常のドローンと同じ操作です。簡単ですよ」
　にこやかに説明を受けたが、受け取った赤羽ですら困惑している。その時、テンションMAXの少年がいた。
「こ、これはイスラエル製ですよね！　日本に輸入出来たんですか？　すごい、すごすぎる」
　恵に近いテンションで、一郎はドローンに頬擦りをした。

　高校生三人組の一人、神田一郎がドローン操作の経験があったので助かった。早速、佐久間さんと組んでもらい飛ばしてもらった。ギアの記憶装置メモリチップはどこかにあるはずだ。これが見つかれば、大きな前進になるはず。

「すごい！　なんて安定性なんだ！　機動力もすごいし思ったように動く！　すごい、すごいよ！」
「ずるいよ！　いっちゃんだけ何で良いの？　私にも遊ばせてよ！　ちょっとで良いからさ、ちょっとで」
　子供のオモチャの取り合いになっているようであった。

　本当に大丈夫か？ 現実逃避したい涼であった。