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第一章 ヘブンズ・ゲート
06 暗号解読
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◇ Real world ◇
白河課長から暗号解読完了の連絡があったのは今さっきだった。内容は簡潔
「山梨」
「富士桜」
「スミレとヒナ」
「仁さん! 確か緑川の別荘はその辺りだったですよね」
涼の呼びかけに、阿吽の呼吸で仁は反応する。
「ここからなら、サイレンを鳴らして行けば一時間もかからないぞ」
課長はすでに県警に連絡してしてくれている。二人の安否は? それにバックドアの鍵は?
涼はすぐにでも飛び出して行きたかったのだが、約一名、力尽きて倒れている人間を引きずっていくのに時間がかかってしまった。
ドンマイ恵ちゃん!
お父さんと君は似たり寄ったりだよ……。
◇ Real world ◇
警視庁電脳捜査課課長 白河千明は子守りに疲れていた。
「どうしてこういう状況になっているの? ここは警視庁よね……」
白河の周りには三人の小学生が宿題をやりながらはしゃいでいた。
とりあえず、職員の家族で機転の利きそうな小学生を三人集めてもらった。
その結果がこれだ。まぁ、少なくとも成果は確実に上がっている。
黒岩以外が持っているプラカードは大方ブラフだと考えられる。あと、黒岩から提示された二枚のプラカードも難なく解析が終わっていた。
「クモ」
「同時にさす」だ!
クモはわからないが、同時には、たぶん鍵になるものリアルとバーチャルで両方同時に挿すことによって、バックドアが開くと考えられる。
「クモ」は鍵の場所を表してるのか? これだけでは、ヒントが少な過ぎる。白河は次のプラカード待った。
「それ俺のカードだよ」
「すごいじゃん! スーパーレアじゃん! どれどれ見せてよ」
気が付くと、白河のテーブルはカードゲーム場になっていた……。
白河千明は子守りに疲れていた。
◇ Real world ◇
課長との連絡で、キーワード「クモ」「同時にさす」が判明したことが伝えられた。「クモ、そうだクモクモくんだ!」恵の言っていたクモのキーホルダーの先に何が付いているのか、ヒナちゃん親子を保護すればわかることだ。
インターを降りて、もうすぐ別荘地に入る頃になって、ようやく恵は復活してきた。
「さて! そろそろ私達の出番だね」
楽しそうに仁さんに声をかけている。
付近を包囲した先着の県警の人達に涼が状況を聞き対策を検討しているところを、全く無視して……。
二人は即座に行動を開始した。
「中は三人だ、どうする恵?」
「正面から仁さん、一人お願い出来る?」
「ベランダから私、二人片付けるよ!」
「一人は拳銃(チャカ)持ってるぞ、大丈夫か?」
「うん、抜く前に片付ければ良いんでしょう?」
「ベランダ登りきるまで玄関騒がしくしといてね、お願いしまーす」
「わかった、じゃあ準備を始めようか」
ピクニックにでも行くのか、オイ! こいつら……自分は軽く突っ込みを入れるくらいしか出来なかった。
どうやら、仁さんは剣道の師範で、こっち(山梨県警)でも有名らしい。気が抜けるくらい話はスムーズに進んだ。
☆ Virtual ☆
「緑川、俺にも娘がいるんだよ。もう十七だけどな、かみさんにはだいぶ前に死に別れちまったけど、最近なんか似て来てよ。いいもんだな家族ってのは……」
隣に座った銀次郎は、きっと緑川に答えを求めてないんだろう、そう思いながらも緑川は相槌を打った。
「そうですね。離れると尚更分かります。やっぱり一緒にいたい。家族ですから……」
「これが終わったら暮らせるんだよな一緒に……」
そう言う銀次郎に、
「はい、一緒に暮らします!」
緑川は意思のある声で強く肯定した。
そして、クモのキーホルダーから抜き出したマイクロSDを見せる。
「やりましょう!」
「ああ! 一緒にやるんだぜ、相棒!」
「わかりました! やりましょう黒岩さん」
緑川も戦う意思を示すように強く言った。
「さあ、行くか!」
最後のプラカードを持って、二人はプレイヤー達と合流すべく広場に向かった。
白河課長から暗号解読完了の連絡があったのは今さっきだった。内容は簡潔
「山梨」
「富士桜」
「スミレとヒナ」
「仁さん! 確か緑川の別荘はその辺りだったですよね」
涼の呼びかけに、阿吽の呼吸で仁は反応する。
「ここからなら、サイレンを鳴らして行けば一時間もかからないぞ」
課長はすでに県警に連絡してしてくれている。二人の安否は? それにバックドアの鍵は?
涼はすぐにでも飛び出して行きたかったのだが、約一名、力尽きて倒れている人間を引きずっていくのに時間がかかってしまった。
ドンマイ恵ちゃん!
お父さんと君は似たり寄ったりだよ……。
◇ Real world ◇
警視庁電脳捜査課課長 白河千明は子守りに疲れていた。
「どうしてこういう状況になっているの? ここは警視庁よね……」
白河の周りには三人の小学生が宿題をやりながらはしゃいでいた。
とりあえず、職員の家族で機転の利きそうな小学生を三人集めてもらった。
その結果がこれだ。まぁ、少なくとも成果は確実に上がっている。
黒岩以外が持っているプラカードは大方ブラフだと考えられる。あと、黒岩から提示された二枚のプラカードも難なく解析が終わっていた。
「クモ」
「同時にさす」だ!
クモはわからないが、同時には、たぶん鍵になるものリアルとバーチャルで両方同時に挿すことによって、バックドアが開くと考えられる。
「クモ」は鍵の場所を表してるのか? これだけでは、ヒントが少な過ぎる。白河は次のプラカード待った。
「それ俺のカードだよ」
「すごいじゃん! スーパーレアじゃん! どれどれ見せてよ」
気が付くと、白河のテーブルはカードゲーム場になっていた……。
白河千明は子守りに疲れていた。
◇ Real world ◇
課長との連絡で、キーワード「クモ」「同時にさす」が判明したことが伝えられた。「クモ、そうだクモクモくんだ!」恵の言っていたクモのキーホルダーの先に何が付いているのか、ヒナちゃん親子を保護すればわかることだ。
インターを降りて、もうすぐ別荘地に入る頃になって、ようやく恵は復活してきた。
「さて! そろそろ私達の出番だね」
楽しそうに仁さんに声をかけている。
付近を包囲した先着の県警の人達に涼が状況を聞き対策を検討しているところを、全く無視して……。
二人は即座に行動を開始した。
「中は三人だ、どうする恵?」
「正面から仁さん、一人お願い出来る?」
「ベランダから私、二人片付けるよ!」
「一人は拳銃(チャカ)持ってるぞ、大丈夫か?」
「うん、抜く前に片付ければ良いんでしょう?」
「ベランダ登りきるまで玄関騒がしくしといてね、お願いしまーす」
「わかった、じゃあ準備を始めようか」
ピクニックにでも行くのか、オイ! こいつら……自分は軽く突っ込みを入れるくらいしか出来なかった。
どうやら、仁さんは剣道の師範で、こっち(山梨県警)でも有名らしい。気が抜けるくらい話はスムーズに進んだ。
☆ Virtual ☆
「緑川、俺にも娘がいるんだよ。もう十七だけどな、かみさんにはだいぶ前に死に別れちまったけど、最近なんか似て来てよ。いいもんだな家族ってのは……」
隣に座った銀次郎は、きっと緑川に答えを求めてないんだろう、そう思いながらも緑川は相槌を打った。
「そうですね。離れると尚更分かります。やっぱり一緒にいたい。家族ですから……」
「これが終わったら暮らせるんだよな一緒に……」
そう言う銀次郎に、
「はい、一緒に暮らします!」
緑川は意思のある声で強く肯定した。
そして、クモのキーホルダーから抜き出したマイクロSDを見せる。
「やりましょう!」
「ああ! 一緒にやるんだぜ、相棒!」
「わかりました! やりましょう黒岩さん」
緑川も戦う意思を示すように強く言った。
「さあ、行くか!」
最後のプラカードを持って、二人はプレイヤー達と合流すべく広場に向かった。
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