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第一章 ヘブンズ・ゲート
03 堕天使
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☆ Virtual ☆
ログアウトも出来ない。
緑川も見つからない。
涼にも合流できない。
もう詰んでないか? これ。
途方に暮れベンチに座り込んでる銀次郎の頭の上にAIナビのエンジェルが突然映し出された。
「皆さーん! ここで突然ですが、管理者グリーン様からの有難いお言葉がありまーす! エヘン、わたしが代わって読まさせていただきまーす」
緊張感のない間延びした口調のエンジェルが急に真面目に話し出す。
「ヘブンズゲートを現在ご利用のプレイヤーの皆さんへ、日本国内でのご利用の千人の皆様、皆様は現在『グリーンホライズン計画』の人質となっています。政府が我々の要求を飲む限り、皆様の安全は確保されておりますので、今しばらくはヘブンズゲートをお楽しみください。管理者グリーン」
真面目に管理者の言葉を代読したエンジェルはまた、コロリと口調を戻して楽し気に叫んだ。
「と言うことで、人質の皆さん! もうしばらくはエンジョイ! ヘブンズゲート!」
何と言うか……ここまで重たい内容を軽いノリで言われると現実味がないと言うか、周りの連中も理解が追いついていないという感じのようだ。
とんだ「堕天使」だな……銀次郎は一人つぶやいた。
◇ Real world ◇
涼は課長に報告を入れたが、会社側ではセキュリティが強くてロック解除はなかなか進んでいない様だ。どうやら通常仕様に加えて新たなセキュリティが追加されているようで、担当の人間も頭を抱えているらしい。
現在、涼たちは中央道を仁の運転するミニパトに乗って、緑川の別れた奥さんの住む日野万願寺のマンションに向かっている。涼は別方向からのアプローチを試みていたのだ。
「今日はどうしてここに? なぜ二人で?」
赤羽は道すがら二人に素朴な疑問をぶつけてみた。
「そりゃおめぇ。夜中にコソコソやってきて、今朝も早くから親父さんを連れ出すんじゃ、恵も心配になって、俺に相談に来たんだよ」
(なるほど……すいません、自分が原因でした。涼は何も言い返す言葉が無かった)
恵は高校三年生、仁は交通総務課で小学校を回ってるらしい。 高校生ミニパト乗ってていいのか? 元鬼教官だぞ、仁さんは! 小学生泣き出さないか? 楽しそうな仁の説明に涼は曖昧な返事をした。
☆ Virtual ☆
堕天使のめちゃくちゃな発言に対してフリーズしかかっていた連中に銀次郎は激を飛ばす。
「お前ら! このままやられっぱなしでいいのか? ゲーマーだろう! 立てよコラ、情けねえ奴らだな○○ついてるんだろう?」
強い口調で発破をかけ、強引に再起動させ、リーダーらしき連中を集めた。ゲームは全くわからないが対策を練って人を配置する、組へのガサ入れと大して変わりゃしない。銀次郎はまだまだ俺はここでやれると感じた。
リーダー連中はかなり情報を把握していた。横のつながりってヤツかキャッスル内ではモンスターがいて、どうやらコイツらにやられた連中は戻って来てないようだ。死んだのかリアルに戻ったのかこればっかりはわからない、考えても仕方ないことだ切り替える。
そこで黒岩はこいつらにこのゲームのキーパーソンになる緑川を探してもらうことにした。ローラー作戦だ! やっぱりデカは足で稼がないと……銀次郎自身も動き出す。聞き込み開始だ!
◇ Real world ◇
車で移動中の間に、涼は出来るタスクを可能な限りこなしていく。まず、所轄に連絡して二人の安否を確認するが、一週間前から連絡が取れず安否不明。先にマンションには向かってもらった。
次に子供の小学校に連絡、担任の先生に話が聞けることになったので、自分たちはまず最初に小学校に向かうことにする。
「旧姓に戻って川村すみれ二十八歳、子供はヒナちゃん六歳だね。三年前に離婚しているからお父さんの顔なんか覚えてないんじゃない?」
優秀な? アシスタントの恵はスマホでサクサクと検索してくれた。
「いないってことは連れ去られたってことじゃねえのか? 人質にとられて、緑川は犯行に及んだとかな」
仁さんの人質説である。
「やばいから隠れてろーとか、逃げたとかさ! むしろ、もう会いに来ないでー! とか言われて自暴自棄とかは? 」
恵は自暴自棄説である。
「でさぁ、でさぁ。涼さんはさぁ、どう推理するの?」
楽しげに恵は涼に聞いてくる。
「俺は推理をしない! 現場を冷静に見るだけだ」
そう言った涼を運転席の仁さんは横目で見てからニヤリと笑った。
ログアウトも出来ない。
緑川も見つからない。
涼にも合流できない。
もう詰んでないか? これ。
途方に暮れベンチに座り込んでる銀次郎の頭の上にAIナビのエンジェルが突然映し出された。
「皆さーん! ここで突然ですが、管理者グリーン様からの有難いお言葉がありまーす! エヘン、わたしが代わって読まさせていただきまーす」
緊張感のない間延びした口調のエンジェルが急に真面目に話し出す。
「ヘブンズゲートを現在ご利用のプレイヤーの皆さんへ、日本国内でのご利用の千人の皆様、皆様は現在『グリーンホライズン計画』の人質となっています。政府が我々の要求を飲む限り、皆様の安全は確保されておりますので、今しばらくはヘブンズゲートをお楽しみください。管理者グリーン」
真面目に管理者の言葉を代読したエンジェルはまた、コロリと口調を戻して楽し気に叫んだ。
「と言うことで、人質の皆さん! もうしばらくはエンジョイ! ヘブンズゲート!」
何と言うか……ここまで重たい内容を軽いノリで言われると現実味がないと言うか、周りの連中も理解が追いついていないという感じのようだ。
とんだ「堕天使」だな……銀次郎は一人つぶやいた。
◇ Real world ◇
涼は課長に報告を入れたが、会社側ではセキュリティが強くてロック解除はなかなか進んでいない様だ。どうやら通常仕様に加えて新たなセキュリティが追加されているようで、担当の人間も頭を抱えているらしい。
現在、涼たちは中央道を仁の運転するミニパトに乗って、緑川の別れた奥さんの住む日野万願寺のマンションに向かっている。涼は別方向からのアプローチを試みていたのだ。
「今日はどうしてここに? なぜ二人で?」
赤羽は道すがら二人に素朴な疑問をぶつけてみた。
「そりゃおめぇ。夜中にコソコソやってきて、今朝も早くから親父さんを連れ出すんじゃ、恵も心配になって、俺に相談に来たんだよ」
(なるほど……すいません、自分が原因でした。涼は何も言い返す言葉が無かった)
恵は高校三年生、仁は交通総務課で小学校を回ってるらしい。 高校生ミニパト乗ってていいのか? 元鬼教官だぞ、仁さんは! 小学生泣き出さないか? 楽しそうな仁の説明に涼は曖昧な返事をした。
☆ Virtual ☆
堕天使のめちゃくちゃな発言に対してフリーズしかかっていた連中に銀次郎は激を飛ばす。
「お前ら! このままやられっぱなしでいいのか? ゲーマーだろう! 立てよコラ、情けねえ奴らだな○○ついてるんだろう?」
強い口調で発破をかけ、強引に再起動させ、リーダーらしき連中を集めた。ゲームは全くわからないが対策を練って人を配置する、組へのガサ入れと大して変わりゃしない。銀次郎はまだまだ俺はここでやれると感じた。
リーダー連中はかなり情報を把握していた。横のつながりってヤツかキャッスル内ではモンスターがいて、どうやらコイツらにやられた連中は戻って来てないようだ。死んだのかリアルに戻ったのかこればっかりはわからない、考えても仕方ないことだ切り替える。
そこで黒岩はこいつらにこのゲームのキーパーソンになる緑川を探してもらうことにした。ローラー作戦だ! やっぱりデカは足で稼がないと……銀次郎自身も動き出す。聞き込み開始だ!
◇ Real world ◇
車で移動中の間に、涼は出来るタスクを可能な限りこなしていく。まず、所轄に連絡して二人の安否を確認するが、一週間前から連絡が取れず安否不明。先にマンションには向かってもらった。
次に子供の小学校に連絡、担任の先生に話が聞けることになったので、自分たちはまず最初に小学校に向かうことにする。
「旧姓に戻って川村すみれ二十八歳、子供はヒナちゃん六歳だね。三年前に離婚しているからお父さんの顔なんか覚えてないんじゃない?」
優秀な? アシスタントの恵はスマホでサクサクと検索してくれた。
「いないってことは連れ去られたってことじゃねえのか? 人質にとられて、緑川は犯行に及んだとかな」
仁さんの人質説である。
「やばいから隠れてろーとか、逃げたとかさ! むしろ、もう会いに来ないでー! とか言われて自暴自棄とかは? 」
恵は自暴自棄説である。
「でさぁ、でさぁ。涼さんはさぁ、どう推理するの?」
楽しげに恵は涼に聞いてくる。
「俺は推理をしない! 現場を冷静に見るだけだ」
そう言った涼を運転席の仁さんは横目で見てからニヤリと笑った。
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