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第八章 女帝とアイスコーヒー
Ⅰ
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サイバーセキュリティ対策課に珍しい人物が顔を出した。
「失礼しまーす。赤羽さんは、こちらでよろしいでしょうか?」
ふわっとした口調で赤羽を探す。
「ん? 赤羽か? 奴ならあっちの部屋だ」
以前の事件でちょっと顔見知りになった、
サイバーの石原が答えてくれる。
「まったく、赤羽には女しか来ないな……」
ひがみ半分、冗談半分に原田がボヤく。
佳子は気にもしないでとなりの部屋をノックして入っていった。
サーバー室には、黙々と機材の設定をする赤羽がいた。佳子に気付いた赤羽は作業を中断して立ち上がり、佳子に椅子をすすめる。
「結構です。用件が済めばすぐ帰りますから」
佳子にしては冷たい声でそう言った。
「わたしがここに来た理由は分かっていますよね」
「ああ」
「すぐ、フォローしました?」
なじるように言う。
「……どう言って良いのか、迷ってしまって……」
すまなそうに赤羽は頭をかく。
「……もう、ダメダメですね……」
ため息混じりに佳子は言った。
「そんな人はわたし、小雪の彼氏とは認めませんからね! 即、行動。考える前に動いて下さい!」
そう言って、佳子は赤羽を部屋から追い出した。
「小雪、わたしに出来ることはやったから、あとは自分たちでどうにかしなさいね……」
……親友とはありがたいものだ。
「失礼しまーす。赤羽さんは、こちらでよろしいでしょうか?」
ふわっとした口調で赤羽を探す。
「ん? 赤羽か? 奴ならあっちの部屋だ」
以前の事件でちょっと顔見知りになった、
サイバーの石原が答えてくれる。
「まったく、赤羽には女しか来ないな……」
ひがみ半分、冗談半分に原田がボヤく。
佳子は気にもしないでとなりの部屋をノックして入っていった。
サーバー室には、黙々と機材の設定をする赤羽がいた。佳子に気付いた赤羽は作業を中断して立ち上がり、佳子に椅子をすすめる。
「結構です。用件が済めばすぐ帰りますから」
佳子にしては冷たい声でそう言った。
「わたしがここに来た理由は分かっていますよね」
「ああ」
「すぐ、フォローしました?」
なじるように言う。
「……どう言って良いのか、迷ってしまって……」
すまなそうに赤羽は頭をかく。
「……もう、ダメダメですね……」
ため息混じりに佳子は言った。
「そんな人はわたし、小雪の彼氏とは認めませんからね! 即、行動。考える前に動いて下さい!」
そう言って、佳子は赤羽を部屋から追い出した。
「小雪、わたしに出来ることはやったから、あとは自分たちでどうにかしなさいね……」
……親友とはありがたいものだ。
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