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第三章 監視カメラとトカゲのしっぽ
Ⅴ
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小雪は横に置いておいたパターを取り出し、続けて説明を始める。
「言葉が足りず失礼しました」
軽く、頭を下げてから話し出した。
「犯人は前々日に監視カメラを下に向かせるためにこのパターを使いました。これはよろしいですね?」
「ああ、鑑識で調べてもらって、防犯カメラの塗料がパターのヘッドに付着していた」
石川がそう補足した。
「でも、指紋は出なかったんだよな」
そう池田が言う。
「確かに、指紋は綺麗に拭き取られていました。グリップの部分だけ! 他の部分はそのまま、色々な指紋がついたまま……」
「お前は何が言いたいんだ!」
再び、池田が強い口調で言った。それに対して小雪は微笑みながらこう返す。
「犯人が握ったグリップだけ指紋を拭きとったんです。つまり、犯人は監視カメラをこのパターでグリップを握りながら下を向かせたんですよ。そうですね、池田さん!」
「え! 何で俺なんだ」
怒りをぶつける様に池田は小雪を睨んだ。
「このパターは三十三インチ、約八十四センチです。これでは届かないんですよ。裕子さんには、あの監視カメラまではね!」
「長身の安藤さんにはこのパターは長すぎます。それでも可能と言われれば可能なので、影の証明でミッション・コンプリートだと喜んだんですけど……説明が足りませんでしたね。反省します」
しおらしく小雪は石川たちに謝った。
「良いよ。それよりも有難うな! これで原田さんたちにも胸をはって報告が出来る」
そう言って、意気揚々と池田を連れて帰って行った。
心地良い日差しが照り付けている。じきに梅雨の走りが来るだろう。いつまでもこんな穏やかな天気が続けば良いなと小雪は思った。
「言葉が足りず失礼しました」
軽く、頭を下げてから話し出した。
「犯人は前々日に監視カメラを下に向かせるためにこのパターを使いました。これはよろしいですね?」
「ああ、鑑識で調べてもらって、防犯カメラの塗料がパターのヘッドに付着していた」
石川がそう補足した。
「でも、指紋は出なかったんだよな」
そう池田が言う。
「確かに、指紋は綺麗に拭き取られていました。グリップの部分だけ! 他の部分はそのまま、色々な指紋がついたまま……」
「お前は何が言いたいんだ!」
再び、池田が強い口調で言った。それに対して小雪は微笑みながらこう返す。
「犯人が握ったグリップだけ指紋を拭きとったんです。つまり、犯人は監視カメラをこのパターでグリップを握りながら下を向かせたんですよ。そうですね、池田さん!」
「え! 何で俺なんだ」
怒りをぶつける様に池田は小雪を睨んだ。
「このパターは三十三インチ、約八十四センチです。これでは届かないんですよ。裕子さんには、あの監視カメラまではね!」
「長身の安藤さんにはこのパターは長すぎます。それでも可能と言われれば可能なので、影の証明でミッション・コンプリートだと喜んだんですけど……説明が足りませんでしたね。反省します」
しおらしく小雪は石川たちに謝った。
「良いよ。それよりも有難うな! これで原田さんたちにも胸をはって報告が出来る」
そう言って、意気揚々と池田を連れて帰って行った。
心地良い日差しが照り付けている。じきに梅雨の走りが来るだろう。いつまでもこんな穏やかな天気が続けば良いなと小雪は思った。
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