59 / 79
舞台裏
59.進み行く道①〈ブラッドリーside〉
しおりを挟む
〈ブラッドリーside〉
そのあと俺がどうしたのかというと。
特に何かしようとはしなかった。
騎士科と家政科は隣の建物だし『普通に友だちとして話せたら良いな』くらいにしか思ってなかった俺は『グイドの友だち』と『メルシー嬢の友だち』なんだから、そのうち会って話す機会もあるだろうと、呑気に構えていたのだ。
しかしその予想は裏切られる。
入学したてでも騎士科の訓練は厳しく、演習で学外の荒地や森に入る合宿が度々行われていた。
だから中々ほかの科と交流できず、疲れてるから休みの日に遊びに行くのも億劫で、グイドですらまともにメイシー嬢と逢えてない。
それがやっと落ち着いてきたのは、入学して半年くらい経った頃だった。
「なぁグイド。メイシー嬢の友だちで、子爵の五男でも良いって言ってくれる子、いない?」
サミュエルの言葉にグイドが顔を顰めた。
顔にデカデカと『こいつ何言ってやがる』って書いてある気がして、俺もさすがにサミュエルを憐れんだ。
「サミュエル。お前、ここの家政科って何習っている所か知ってて言ってるんだろうな?」
「家政……うーん。よく分かんないけど、屋敷の管理とかそういうのができるように成るんだろ?」
「ほう。話は変わるが……サミュエルは将来どうなるつもりなんだ?」
「えーと、どっかの騎士団に入って……そのうち騎士伯でも貰えたらラッキーな感じか?」
何を聞かれているか分からないサミュエルが、それでもボソボソと答える。
それを意に介さず、グイドは俺にも視線を寄越した。
これは俺も答えろって事か?
「俺は……そうだな。一番良いのは近衛に入って手柄を立てる事だろうけど、それは難しいだろ?」
「手柄を立てるのが難しいのか? ブラッドリーでも?」
サミュエルが不思議そうに聞いてきた。
そのあと俺がどうしたのかというと。
特に何かしようとはしなかった。
騎士科と家政科は隣の建物だし『普通に友だちとして話せたら良いな』くらいにしか思ってなかった俺は『グイドの友だち』と『メルシー嬢の友だち』なんだから、そのうち会って話す機会もあるだろうと、呑気に構えていたのだ。
しかしその予想は裏切られる。
入学したてでも騎士科の訓練は厳しく、演習で学外の荒地や森に入る合宿が度々行われていた。
だから中々ほかの科と交流できず、疲れてるから休みの日に遊びに行くのも億劫で、グイドですらまともにメイシー嬢と逢えてない。
それがやっと落ち着いてきたのは、入学して半年くらい経った頃だった。
「なぁグイド。メイシー嬢の友だちで、子爵の五男でも良いって言ってくれる子、いない?」
サミュエルの言葉にグイドが顔を顰めた。
顔にデカデカと『こいつ何言ってやがる』って書いてある気がして、俺もさすがにサミュエルを憐れんだ。
「サミュエル。お前、ここの家政科って何習っている所か知ってて言ってるんだろうな?」
「家政……うーん。よく分かんないけど、屋敷の管理とかそういうのができるように成るんだろ?」
「ほう。話は変わるが……サミュエルは将来どうなるつもりなんだ?」
「えーと、どっかの騎士団に入って……そのうち騎士伯でも貰えたらラッキーな感じか?」
何を聞かれているか分からないサミュエルが、それでもボソボソと答える。
それを意に介さず、グイドは俺にも視線を寄越した。
これは俺も答えろって事か?
「俺は……そうだな。一番良いのは近衛に入って手柄を立てる事だろうけど、それは難しいだろ?」
「手柄を立てるのが難しいのか? ブラッドリーでも?」
サミュエルが不思議そうに聞いてきた。
38
お気に入りに追加
3,572
あなたにおすすめの小説
義理姉がかわいそうと言われましても、私には関係の無い事です
渡辺 佐倉
恋愛
マーガレットは政略で伯爵家に嫁いだ。
愛の無い結婚であったがお互いに尊重し合って結婚生活をおくっていければいいと思っていたが、伯爵である夫はことあるごとに、離婚して実家である伯爵家に帰ってきているマーガレットにとっての義姉達を優先ばかりする。
そんな生活に耐えかねたマーガレットは…
結末は見方によって色々系だと思います。
なろうにも同じものを掲載しています。
【完結】あなたは知らなくていいのです
楽歩
恋愛
無知は不幸なのか、全てを知っていたら幸せなのか
セレナ・ホフマン伯爵令嬢は3人いた王太子の婚約者候補の一人だった。しかし王太子が選んだのは、ミレーナ・アヴリル伯爵令嬢。婚約者候補ではなくなったセレナは、王太子の従弟である公爵令息の婚約者になる。誰にも関心を持たないこの令息はある日階段から落ち…
え?転生者?私を非難している者たちに『ざまぁ』をする?この目がキラキラの人はいったい…
でも、婚約者様。ふふ、少し『ざまぁ』とやらが、甘いのではなくて?きっと私の方が上手ですわ。
知らないからー幸せか、不幸かーそれは、セレナ・ホフマン伯爵令嬢のみぞ知る
※誤字脱字、勉強不足、名前間違いなどなど、どうか温かい目でm(_ _"m)
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる