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本編

40.疑惑① 〈メイシー&シンシアside〉

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〈メイシー&シンシアside〉



 婚約発表が済んでからも、ブラッドリーはステファニーを絶対一人にしないようにしていた。

 ただでさえ男子に人気のあるステファニー。

 特に騎士科の生徒から見れば辺境騎士団を抱える辺境伯に婿入りなど、喉から手が出るほどの好物件だ。

 ステファニーと同じ一族の子爵家で幼なじみ、尚且なおかつ学園一の剣技を誇るデニスだったから、今まで誰も手出ししなかったのに……。

 まさか婚約目前で破局。

 しかも次は騎士伯の長男、ブラッドリーが婚約者である。

 これなら血縁関係がなくてもある程度剣が強くて勉強もできるなら、誰でも婿になれると誤解されてはかなわない。

 ステファニーを一人にして、もし襲われでもしたら大変だと、警戒しているのだろう。

 ブラッドリーがこれだけ警戒をしているのを一番よく分かっているのは、ここに居るシンシアとメイシーだった。



「全く、あの過保護っぷりはスゴイわね。グイドやサミュエルもだけど、従兄弟いとことか再従兄弟はとこまで使って、牽制けんせいしてるみたいよ」

「それはまた……みなさん学園で強いと噂されている方々ですわね」

「その従兄弟いとこたちだけど、ブラッドリーはその人たち全員潰して、ステファニーの婚約者になったって言ってたみたいだし、グイドが言うには、他家のご子息にも圧力掛けまくったらしいわよ?」

「あらあら……でも彼より格上の家はどうしたのかしら?」

「それは簡単よ。辺境伯の婿候補だもの、全員学園に通っているか、卒業生でしょう?」



 そこでメイシーは意味ありげな視線をシンシアに向ける。



「ステファニーの婚約者を決めていた時期は、夏でしたしら? あの頃に何かありました?」

「夏は毎年恒例の剣技大会があるでしょ?」

「そう言えば……ありましたね。確かあれは騎士や士官学校の生徒が出るのでしたか?」

「あの時のブラットリーは学生の部で三位に入って、一般の部でもベスト・エイトまで行ったのよ」

「そうでしたか……」

「ちなみにデニスは一般の部でもベスト・フォーまで行ってるわ」

「そこでもブラッドリーは悔しい思いをしたということですね?」



 それが本当なら、ブラッドリーはきっとデニスに並々ならぬ気持ちをかかえていたことになる。
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