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本編

24.ブリトニーの提案②

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 正妻と第二夫人が仲良く?

 この人なんて事を考えてるの?



「ブリトニーさんは……デニスが好きなんじゃなかったの?」

「好きよ」

「だったら、ほかの人と共有なんて嫌でしょう?」

「うーん。私といる時は、うんと私を愛してくれて、気前よく何でも買ってくれて、美味しいものも食べられて、好きに遊ばせてくれたら、それで良いわ」

「正妻が居るのに?」

「だって、例えばステファニーが正妻で、私が第二夫人お妾さんなら、デニスはまさか『三人で一緒に過ごそう』だなんて言わないでしょう?」

「いや、言われても困るけど……」

「私から見えない場所でデニスとあなたがどう過ごそうと、私は構わないわよ? 私が自由にできるなら、そんなの些細ささいな事だわ」

「私は嫌よ。それに私はブラッドと結婚するんだから、もしもなんてないわ」

「ふーん。そうか、ローマン様が勝つ事もあるのよね……」



 その言い方が気にさわった。

 そしてブラッドを紹介した時の色香の乗った視線も思い出してしまう。

 とっても嫌な予感がして、眉間にシワが寄った。



「そうだ。ローマン様が勝ったら、私を彼の愛人にしてもらうわ」

「ちょっと、何言ってるの?」

「まぁまぁ、どうせあなたの産んだ子が辺境伯を継ぐんだから良いじゃない。デニスなら第二夫人お妾さんとして別館に住まわせて面倒見てくれると思うけど、ローマン様はきっとそういうの無理よね? でもあなたが頼んでくれたら、愛人くらいにはしてもらえそうでしょ?」

「そんなのブラッドが良いって言うわけないじゃない。私だってお断りよ」

「あら、ステファニーって本当に箱入りのご令嬢なのね。世間ではこんなの普通で、私みたいに聞き分けの良い女って少ないのよ? ほかの嫉妬深い人と比べたら、私を選んだほうがずーっと良いのに」



 私に理解できないことをベラベラ話されて、ショックで何も言えなくなった。

 言葉の通じない外国人と話すほうがまだ意思の疎通ができそうだった。



「まぁ、気が変わったら教えて?」



 言いたいことだけ言ってブリトニーは行ってしまう。

 私はブリトニーのゆるい倫理観と、私の知らない世界の話に頭を悩ませるのだった。
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