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本編

21.止められない闘い①

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「きゃあ~! 決闘デュエル!? すご~い! デニス頑張って!」



 ブリトニーだけが喜んではしゃぎはじめた。

 デニスとブラッドは睨み合っている。

 きっと私は蒼白だろう。

 決闘デュエルは、この国にかつて存在した貴族間の争いを解消するための崇高すうこうな解決方法だ。

 多くの死人が出るため禁止された今も、名誉を賭けて競うとか、侮辱された時や妻や婚約者に手を出された時は、暗黙の了解みたいな感じでおこなわれている。

 現在の王国としては禁止にしているので、一応『現行犯』で見つかった場合、喧嘩両成敗で最低でも罰金プラス百叩きが課せられ、悪質と見做みなされれば毒杯で死刑の可能性まである。

 そしてこれだけ大々的に取り締まっても決闘デュエルがなくならないのは、家や個人の威信いしんに関わるからなのだ。

 今では魔法禁止で剣技による形式になっているが、それでも危ない事に変わりはない。

 だからみんな見つからないようにやるのだけど……。



「待って、決闘デュエルは禁止でしょう? ブリトニーさん、あなたも止めてよ」

「え? 次期辺境伯の座を賭けた決闘デュエルだなんて素敵じゃない。何で止めなきゃならないの?」



 ダメだ……。

 この人の頭には、本当にお花畑が入ってるのかもしれない。



「ブラッド、あなただってダメって知っているでしょう?」

「ごめん。ステフィーのお願いでも、これは譲れない」



 まさかブラッドが決闘デュエルを受けるなんて思ってなかった。



「デニス! お、おじい様に叱られるわよ? 良いの?」

「お前はバカか? 決闘デュエルを中止なんてできるわけないだろ。男めろって言ってるようなもんだぞ!?」



 言い出しっぺのデニスは、やっぱりめるとは言わない。

 あぁ、もう止める手立てが無い……。

 そして二人は睨み合ったまま部屋を出て、人目に付きにくい裏庭へと歩いて行こうとしている。

 私はどうすることも出来ず、せめて大ごとにならないように裏庭付近の人祓ひとばらいを命じるしかなくなっていた。
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感想 36

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