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本編

13.辺境伯は誰が継ぐ?①

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 セボスがお茶を持って来てくれたので、みんなが少し飲んで落ち着いたのを見計らい仕切り直す。



「それで。デニスの部屋がなぜここかだけど……。前回までデニスが使っていた部屋が、本家のプライベートエリアだったのは……知っているわよね?」

「そんなの知ってるよ」

「それで。デニスと私は婚約しない事にしたでしょう? だから今回、あなたはご家族のアンバー子爵家と一緒のフロアなのよ」

「は?」



 結構丁寧に説明したつもりなんだけど、ものすごく変な顔されたわ。



「ステファニーと婚約しないと、なんでここなんだよ?」

「え?」

「だから、なんでステファニーとの婚約が関係あるんだ?」

「は?」



 今度は私よりブラッドのほうが反応が早かった。

 しかも氷のような冷たく鋭い視線を送っている。

 私は思わず息を詰めてしまったけど、デニスは何にも感じてないのかしら?

 これで分からないとかどんか……オホン、豪胆ね。

 っていうか、これ以上どう噛み砕けば良いのか分からないわ。

 どうしよう。



「えーと、デニスはブリトニーさんと結婚するんでしょう?」

「あぁ」



 仏頂面で当然とばかりに頷かれた。



「それなら、次の辺境伯は名乗れないじゃない」

「え?」



 思いっきり驚かれた。

 なんで?



「デニスはグランデ家へお婿むこに来るはずだったのよ?」

「うん。アンバーを出て、グランデの子になるんだろ?」

「うん?」

「ガキか……?」



 隣からボソッと本音が聞こえた気がするけど、聞こえなかったことにしよう。

 だって冷気が漂ってる気がするから。



「デニス? 婿入りと養子は別のものよ?」

「え? 違うのか?」

「私と結婚しなかったら、次の辺境伯の父親にはなれないじゃない」

「「え?」」



 異口同音に驚かれた。

 デニスたちは勘違いしているみたい。

 あぁ、そう言えばこの人たちお馬鹿さんだったわ。

 忘れてた……。

 私はため息を飲み込んで、デニスにも分かるように説明を始めることにした。



「だから。今の辺境伯はおじい様でしょう? それで、本当なら私のお父様が継ぐはずだったのに、前回の戦で亡くなってしまったわよね?」

「あぁ」



 ここまでは理解ができてるらしい。
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