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67.最大のチャンス(アデラ視点)
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「はぁ~~……こいつも大したことないわ」
釣書に次々と目を通していくけど、私の心をときめかせる物件はいまだゼロ。
いい感じの男は結構多いわよ?
流石に公爵クラスはいなくても、侯爵家や伯爵家の子息、若しくは当主本人が私に見合いを申し込んできている。
だけどフィリヌ家の後だと、どうしても見劣りしてしまうというかね。
魔導工芸品店で大成功をおさめて、王族からの信頼も厚かったっていうのはやっぱり大きかった。
そう考えるとトールは本人がどうしようもないゴミ野郎だったけど、それを除けば最高の物件だった。
「しかも店がぐちゃぐちゃになった理由が、リザリアが辞めたからってどういうことよ……」
フィリヌ魔導店の内情を知る者は、どいつもこいつも口を揃えて「リザリアを手放したのは、フィリヌ侯爵最大の失態」とか言っている。
そりゃ何年もあの店に勤めていた女が急にいなくなったら、多少は混乱すると思うわよ?
だけど、たった一人いなくなったからって店があそこまで傾くって有り得ない!
独立店を持ったと思ったらあのザマだったハーライト。あいつも実は全然すごくなくて、リザリアのおかげですごかっただけみたいに言われ始めているし。
どうせいい気になって、適当に作っても売れると思っていたとかでしょ。
フィリヌ魔導店の駄目っぷりもそれが原因。
それに比べて、黒い魔法使い様はきっと毎日真面目に工芸品を作っているのよ。
リザリアにあれこれ言われて、こき使われているのでしょうね。
ハーライトがラ・ロシェリーのレストランで問題を起こした時も、びじ……ブスが陰が薄いのにものすごいイケメンの魔法使いを連れていたっていうし。
ああもう、早く私も黒い魔法使い様と一緒にお出かけしたい~。
そのためにも、旦那を早く捕まえないと。
釣書を読むのをやめて身支度を始める。
今夜は素敵な舞踏会。独身貴族が多く集まっている、まさに私向けのパーティー。
気合いを入れていくわよ。
そうしたら嬉しい誤算。
何と今夜の舞踏会には、ルシロワール王太子殿下が参加していたの!
あの人見知り王子がどうして? って思っていたんだけど、国王陛下の命令で急遽参加が決まったんですって。
女たちの目がギラギラしているのは、そのせいね。
だけど王子は、隅っこでおっさんたちとずっと話している。
おい王子! こっちに来いよ!
会場にいる独り身の女全員がそう思っているんじゃない?
まさかとは思うけど、おっさん趣味……? って身構えていると、どうもおっさんたちは商人もやっている貴族。
王子はあいつらにいい魔導工芸品店がないか、聞いているんですってね。
フィリヌ魔導店と結んでいた契約を破棄したから、新しい店を探しているんだとか。
だからおっさんたちは、自分が贔屓にしている工芸品のアピールを頑張っている。
正直ウザい。同じ女ならまだしも、あんな小太り中年どもに王子を独占されるなんて……。
ん? でもよく考えてみると、これって最高のチャンスなんじゃない?
王子はいい魔導工芸品店を探していて、私は一軒いい魔導工芸品店を知っている。
「ごきげんよう、ルシロワール様」
どけぇ中年!
私はおっさんたちを押し退けて王子の前で、優雅なカーテシーを決めてからこう切り出した。
「ルシロワール様は今、首都で大人気の魔導工芸品店をご存知でしょうか?」
釣書に次々と目を通していくけど、私の心をときめかせる物件はいまだゼロ。
いい感じの男は結構多いわよ?
流石に公爵クラスはいなくても、侯爵家や伯爵家の子息、若しくは当主本人が私に見合いを申し込んできている。
だけどフィリヌ家の後だと、どうしても見劣りしてしまうというかね。
魔導工芸品店で大成功をおさめて、王族からの信頼も厚かったっていうのはやっぱり大きかった。
そう考えるとトールは本人がどうしようもないゴミ野郎だったけど、それを除けば最高の物件だった。
「しかも店がぐちゃぐちゃになった理由が、リザリアが辞めたからってどういうことよ……」
フィリヌ魔導店の内情を知る者は、どいつもこいつも口を揃えて「リザリアを手放したのは、フィリヌ侯爵最大の失態」とか言っている。
そりゃ何年もあの店に勤めていた女が急にいなくなったら、多少は混乱すると思うわよ?
だけど、たった一人いなくなったからって店があそこまで傾くって有り得ない!
独立店を持ったと思ったらあのザマだったハーライト。あいつも実は全然すごくなくて、リザリアのおかげですごかっただけみたいに言われ始めているし。
どうせいい気になって、適当に作っても売れると思っていたとかでしょ。
フィリヌ魔導店の駄目っぷりもそれが原因。
それに比べて、黒い魔法使い様はきっと毎日真面目に工芸品を作っているのよ。
リザリアにあれこれ言われて、こき使われているのでしょうね。
ハーライトがラ・ロシェリーのレストランで問題を起こした時も、びじ……ブスが陰が薄いのにものすごいイケメンの魔法使いを連れていたっていうし。
ああもう、早く私も黒い魔法使い様と一緒にお出かけしたい~。
そのためにも、旦那を早く捕まえないと。
釣書を読むのをやめて身支度を始める。
今夜は素敵な舞踏会。独身貴族が多く集まっている、まさに私向けのパーティー。
気合いを入れていくわよ。
そうしたら嬉しい誤算。
何と今夜の舞踏会には、ルシロワール王太子殿下が参加していたの!
あの人見知り王子がどうして? って思っていたんだけど、国王陛下の命令で急遽参加が決まったんですって。
女たちの目がギラギラしているのは、そのせいね。
だけど王子は、隅っこでおっさんたちとずっと話している。
おい王子! こっちに来いよ!
会場にいる独り身の女全員がそう思っているんじゃない?
まさかとは思うけど、おっさん趣味……? って身構えていると、どうもおっさんたちは商人もやっている貴族。
王子はあいつらにいい魔導工芸品店がないか、聞いているんですってね。
フィリヌ魔導店と結んでいた契約を破棄したから、新しい店を探しているんだとか。
だからおっさんたちは、自分が贔屓にしている工芸品のアピールを頑張っている。
正直ウザい。同じ女ならまだしも、あんな小太り中年どもに王子を独占されるなんて……。
ん? でもよく考えてみると、これって最高のチャンスなんじゃない?
王子はいい魔導工芸品店を探していて、私は一軒いい魔導工芸品店を知っている。
「ごきげんよう、ルシロワール様」
どけぇ中年!
私はおっさんたちを押し退けて王子の前で、優雅なカーテシーを決めてからこう切り出した。
「ルシロワール様は今、首都で大人気の魔導工芸品店をご存知でしょうか?」
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