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47.アレルギー

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 私の言葉に、その場にいた全員が驚いた顔で私を見た。
 どうせレイスのアレルギーに気づいた理由だけなら、「日誌を見てそう思った」で済ませられる。
 だがここからは、それが通用しない。
 なので、私も神のお告げパワーをフルに活用する。

「私が受けた本当の神託は、サセランがレイス様のお命を奪うかもしれないこと。そして好き嫌い病は心ではなく、身体に起因するものであるやもしれぬとのことでした」
「身体に起因する……? そんな馬鹿な……」
「レイモンド様、好き嫌い病というのは完治が非常に難しい病だそうですね。それはつまり現在の認識、治療法が誤っているのでは?」
「それは……そうかもしれませんが」

 もっと強く反論するものかと思いきや、レイモンドの声は弱々しい。

「もしその説があっているとすれば、今まで俺たち医者がやって来た治療法は……」
「無意味、いえむしろ患者を苦しめるだけの行為だったのかもしれません」

 私が言うと、レイモンドの顔からは血の気が引いていった。
 この人も内心では、他に原因があるんじゃないかと考えていたのだろう。
 ただそれを認めて、自分たちの無知さを自覚するのを避けたかったのか。
 もしくは父親のように独自の理論を唱えて、周囲から攻撃されるのを恐れたか。

 しまった、怖がらせすぎた。フォロータイムに入らなければ。

「か、神はあなた方を決して責めたりはしません。それに好き嫌い病の原因に関しても、あくまで可能性の一つ。偏った思考を捨てて、新たに研究し直す機会程度に考えていただければ……」
「リグレット嬢……」
「そうだな。どこかの国の医者も先日、その修道女のように好き嫌い病は免疫が過剰に反応することで引き起こされるのでは、と論文を発表したそうだ。多くの医者は食材でそんなことは起こらないと否定的らしいが……研究を進める価値はあるんじゃないのか?」

 これまで沈黙していたテオドールの言葉に、レイモンドは何も言い返せなかった。葛藤しているのだろう。
 しかし私からはこれ以上何も言えない。情報を出しすぎると、逆に怪しまれてしまう。

「だが、神託とは便利なものだな。そんなことまで知られてくれるとは」

 前言撤回。テオドールからは既に怪しまれている。

「と、当然です。エメリーア様は素晴らしい神ですもの。いつだって私たちを優しく見守っておられます。多くの人々を救うため、私に神託を下されたのでしょう」

 けれど、私もしらばっくれるだけだ。笑顔でエメリーア神を推しまくった。
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