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強盗

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「店長ー」
「どしたの田中君?なんかあった?」
「人間ってなんで生きてるんですかね?」
「質問が重いよ!バイトが店長にする質問じゃないよ!」
「まぁ冗談ですよ、店長なんかにそんな質問はしませんよ。計算できないし」
「計算だけが全てじゃないだろ!」
「でもそのおかげで俺は普通よりちょっと多く給料貰えましたから」
「あ、あれは君を試したんだよ?」
「本当ですか?」
「・・・ひゅ、ひゅふーふー」
「できもしないのに口笛吹かないでくださいよ」
「ビュービューブー」
「いや、唾飛んでますから!店長菌感染しちゃから!」
「な、失礼だぞ!」
ガラガラガラ
「おい、強盗だ金を出せ!」
「あ、お客さん来ましたよ店長」
「いらっしゃいませー」
「強盗だって言ってんだろ!早く金を出せ!」
「えぇ!?田中君、強盗だって!ヤバいよ!」
「ヤバいっすね!」 
「僕初めて見たよ強盗!」
「僕もっすよ!今時いるんすね強盗!」
「舐めてんだろ!ぶち殺すぞ!」
「え、素手で?」
「あ、包丁忘れた」
「なにやってんだよ強盗さんよぉ?もっと準備してから来いよ?」
「ちっ、店員に強盗の指摘をされた...」
「あ、店に包丁売ってるけど買ってく?」
「買うのをオススメするよ?」
「・・・包丁1つ」
「1200円になりまーす」
「ほらよ・・・なんで強盗にきてんのに金を払わなくちゃいけねーんだよ」 
「当店のポイントカードはお持ちですか?」
「ねーよ」
「レジ袋はお使いになりますか?」
「使わねーよ、持ち帰らねーんだから」
「お釣を募金なさいますか?」
「しねーよ!どんな質問だよ!」
「田中君、営業上手くなったね」
「今言うことじゃねーだろ!」
「ありがとうございましたー」
「ありがとうございました?さっさと金をだせ!」
「あ!強盗らしいことしてるよ田中君!」
「そうですね!店長!・・・まぁ」
「警察だ!強盗の容疑で現行犯逮捕する!」
「通報しといたんですけどね!」
「なんだってぇ!?くそが!」
「田中君優秀すぎー」
「どうです店長?時給増やすべきじゃないですか?」
「それはない」
「ちっ」
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