短編集

短編集

この一球に全てをかけて！

「どーしたの？秋山くん、私を体育館に呼び出したりして？」

「・・・分かってるくせに、すぅ、はぁ、南先輩！このシュートが入ったら俺と付き合ってください。」

「・・・分かったよ」

シュン！

バスケ部の１年生秋山が放ったシュートは綺麗な弧を描き誰もが美しいと思える素晴らしいシュートだった

ボトン、ドン、ドン 

届いていれば

「あぁ！」

「あちゃー」

「そんなぁ」

「なんでスリーポイントの位置からシュートしちゃうかなぁ」

「だ、だってそっちの方がカッコいいじゃないですか！」

「はぁ、じゃあカッコよさとか捨てて良いから近くでやってよ」

「え！？もう１回やって良いんすか！？」

「私はなにも見てなかったです」

「ありがとうございます。じゃあ先輩、このシュートが入ったら俺と付き合ってください！」

シュン！

秋山が放ったシュートはそれはもう他の先輩も羨む程のシュートでそのボールには彼女に告白するまでにどれ程の練習を積み重ねたのかが分かるシュートだった

がこん！ドン、ドン 

入っていれば

「うわ！」

「ちょっとぉ！？真面目にやってる？」

「す、すみません！」

「まったく、これが最後だからね？」

「わ、分かりました。この一球に全てをかけます！」

しゅん！

彼が投げた一球（正確には三球目）はどんなプロのバスケットボール選手でもなしえなかった軌道を持ち、それは今まで彼が過ごした思い出がなんか良い感じに蘇る気がしなくもない放物線を描いてた。さらにそのボールの回転と言ったらもうなんか凄いとしか言い様のないくらいの回転で触れたら最後ケガしちゃうくらいのやつだった。

ドン、ガシャン、ドン、ドン...

ま、入んないんですけどね

「もう、めんどくさいから付き合いましょう」

「あ、お願いします」

めでたしめでたし