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「ぐあぁ……あ……」
化け物と周りの人が言った。赤に赤を塗り込めたようにテラリと光る刀身が……周りを写して剣を振るう。埒があかないと認識した私は、ちょっと無理をして空間転移を行い後ろの兵士達を片付けた。やっと一つの魔術大砲を無効に出来た。そうやって胸をなで下ろすと、別の主砲が私に向けて放たれた。ソレを避けると大砲の後ろに隠れている兵士が顔を出して笑い。
「かかったな、ばけものおおおおおおおおおおッッッ!」
避けた先に戦うマーベラストが居ることを認識して、慌てて私は空間転移で自らの身体を盾にして庇う。足底の鉄がすり切れるような軋む音を立てどうにか受け止める。
「あぁぁぁぁ!」
どうにか玉を空の上に軌道をずらすことが出来た。軋む肩と腕の震えを無視して、良くもやってくれたなと転移の準備をして足を踏み込めば。
「最初から一対一なんてするわけない」
冷淡な声が耳の後ろへ聞こえたと思ったら。さらりと筆を滑らすようになめらかに自分の背中が切られた。そして、襲ってくる痛みと急激な吐き気。即効性の毒薬だと気付いた時にはすでに奴は離れていた。咄嗟に振った剣は空を切り身体は地に叩き付けられる。
(リエルちゃん、毒の解毒できそう?)
【やってる。けど、死なないように遅らせながらだから時間かかっちゃう】
確かに吐き気以外には症状がない。毒が巡らないようにリエルちゃんが頑張ってくれているお陰だろう。けど、戦闘不能であることは確実だ。こうして横たわっている間にも背中から血が流れている。
「そっか」
それならば仕方ない。そう思って、マーベラストを見れば。これ以上無いまでに絶望したような顔だった。顔は真っ青、目には恨みや復讐を背負ったような濁った顔で、私と私の背中の傷を交互に見て居る。そして、その様子を一緒に見て居たあの男は、マーベラストを見て面白そうに笑いながら巨大な大砲の元へと行き。
「全員、撃て」
その言葉にいち早く反応したマーベラストが、私の元へ駆け寄り守るように覆い被さった。まだ、私が倒し切れていなかった大砲の兵士が一斉に私達へと砲撃を開始した。城の損壊よりも……私達を今此処で殺すことが先決らしい。マーベラストが震える手で「申し訳ありません」と今までをどうしたんだ? と問いたくなるような塩らしい声で謝罪した。
「いいよ」
良いんだ。私達は頑張った……。
「カペル……」
ごめんね……。迫り来る雷の砲弾を眺めながら言えたのは名前だけだった。謝らないといけないのに……。
「カペル」
名前しか言えなかった。迫り来る砲丸に覚悟を決めて目を瞑り最後まで。
「カペル」
名前を呼んだ。
「すみません。閉じ込められている人を助けていたら遅れました」
風魔法で私とマーベラスト君の身体を中へあげ咄嗟で避けたカペル。夜ぶりなのに久々に見たカペルは……。
「カペル」
どこか地獄を見るような瞳で砲台を見て居た。男の居る方向へと着地をすると私とマーベラストを降ろして男へと対峙した。男は勝ち誇ったように笑う。それをぼんやりと眺めるカペルは……本当に静寂のように静かな雰囲気を漂わせていた。
「市民を逃がした所で砲台は止められない。この砲台の中に詰めた亡骸の残量はまだある」
「ざん、りょう」
その言葉に慌てて巨大な大砲を見ると……。一つだけガラス窓の部分があって、そこに真っ白な人の手が力なく横たわっていた。指の先が血にまみれていてよほどの苦痛の中絶命したことが窺える。本当に……本末転倒だ。人が苦しいのが嫌ならば。それこそ苦しみを抱かせて死なせることは最高に矛盾している。
「お前は、お前は本当に人かよッッッ!」
「人の心を持っているからやっているんだッッ!」
立ち上がったマーベラストが吠えれば、同じかそれ以上に大きな声で男は吠えた。どちらも血を吐くような叫びが鼓膜を揺らし、辺りに木霊する。男はさらに激高して血を吐くような叫びを上げた。
「人の心を持っているからこそ。醜い非道なことをしているんだ。人のッッ! この心があるからこそだッッ!!
我が名はクロージス……。シャルリエールが望んだ第二の人生を背負わされし者だ! クロージス様が敗れ去った最後の聖女だというならば。それになってやっただけのことだ。
この汚らしいくて穢れた心も命も、世界も全て自分の責任で終止符を討つ。それだけだ……。この世界に神など居たら、お前の行動は不完全で独善的な世界を作ったお遊戯を嬉々とする餓鬼だと、抵抗してやる為にな」
確かに居る。第二の人生または自分の夢を叶えさせる為に名前を付けてそのために教育をして。そして、その道から一歩から外れれば怒鳴られる。百合ルートのシャルリエールは理想主義者だから、それが顕著にでてしまったのだろう。男はいつもタクシードのようなピッチリとした両手と両足の包む衣服に包まれている。
激高して腕を振り上げたさいに、見えてしまった。無数の鞭打ちの腫れた後が……。
【終わったよ。解毒】
激高の最中にリエルちゃんが言った。そこで、私は立ち上がると。ずっとクロージスを見て居たマーベラストが、ギョッとしたような顔になった。
「毒は?」
「解毒した。流石に用意なしで、私が突っ込むわけないでしょう」
そういえば、納得したようにマーベラストはまた男へと前を向いた。さて、同人誌の結末を知っているリエルちゃんは……どうやってカペル君が大砲を止めるのかを聞きたい。と思って居たら。
【ん、やだ】
(この状況でやだって……)
【やんやん!】
(リエルちゃん……)
【教えない、ぷい】
わざわざ、セルフでぷい! なんて言わなくて良いからと精神世界でツッコミを入れてもそれ以降リエルちゃんは……。
【お兄ちゃんがもう知ってる】
答えてくれないと思ったら答えてくれた。カペルがすでに知っている? どういうことだと、カペルの顔を見てみれば。いつものような太陽の笑顔はなりを潜め。元のクールな顔立ち通りの無表情で男を見るのみ。あのときの激高も、何もかも反応がない。
【「すみません。閉じ込められている人を助けていたら遅れました」】
(本当にそれだけなの?)
私は再度カペルの顔を見て。本当に人を助けていただけ? カペルは一体何を見たの? 心の中でその問いかけと疑問が声にならずに降り積もった。
ー小話【メイドの出来る事】ー
「こんな時はメイドってのは歯がゆいね」
「それでも、私達がやることはリエル様の帰りをお待ちしていることです。手を動かしなさい」
口元に皺がよったヌファンは最近は口うるさい。なんか、生き急いでいるような感じで……。いつ何時、ふっと居なくなってしまうような儚い雰囲気と。
「けほ、ごほ」
「あー。だから埃が積もっている所は私がやるってば~。ヌファン!」
乾いた咳が命を狩る足音に聞こえる。日に日に体力と力が無くなっていくヌファンは……本当に人のようになってしまった。今や、私の方が長くお仕事できるようになった。ヌファンは普段の半分行くか行かないかで息切れしてしまうようになった。
(もし、ヌファンが完全に妖精族の血をひいて。私が人間なら……)
私はひとりぼっちにならないで居られたのだろうか。あれだけ好きだったヌファンも……私を一人にしてしまうと考えると。見るだけで悲しくなってくる。
「ソーラ」
「ヌファン」
いつの間にか私の手が止まっていたようで、ヌファンが私の名前を呼んで。
「え」
抱きしめてくれた。正直、ヌファンに新しい家族ができてからご無沙汰だったから驚いて素っ頓狂な声を上げてしまった。ヌファンは何も言わずにゆるゆると私の背中を擦って。
「ソーラ、私達は家族よ」
だから、私が死んだら息子と旦那をお願いと。ヌファンは申し訳なさそうに私に呪いをかけました。
化け物と周りの人が言った。赤に赤を塗り込めたようにテラリと光る刀身が……周りを写して剣を振るう。埒があかないと認識した私は、ちょっと無理をして空間転移を行い後ろの兵士達を片付けた。やっと一つの魔術大砲を無効に出来た。そうやって胸をなで下ろすと、別の主砲が私に向けて放たれた。ソレを避けると大砲の後ろに隠れている兵士が顔を出して笑い。
「かかったな、ばけものおおおおおおおおおおッッッ!」
避けた先に戦うマーベラストが居ることを認識して、慌てて私は空間転移で自らの身体を盾にして庇う。足底の鉄がすり切れるような軋む音を立てどうにか受け止める。
「あぁぁぁぁ!」
どうにか玉を空の上に軌道をずらすことが出来た。軋む肩と腕の震えを無視して、良くもやってくれたなと転移の準備をして足を踏み込めば。
「最初から一対一なんてするわけない」
冷淡な声が耳の後ろへ聞こえたと思ったら。さらりと筆を滑らすようになめらかに自分の背中が切られた。そして、襲ってくる痛みと急激な吐き気。即効性の毒薬だと気付いた時にはすでに奴は離れていた。咄嗟に振った剣は空を切り身体は地に叩き付けられる。
(リエルちゃん、毒の解毒できそう?)
【やってる。けど、死なないように遅らせながらだから時間かかっちゃう】
確かに吐き気以外には症状がない。毒が巡らないようにリエルちゃんが頑張ってくれているお陰だろう。けど、戦闘不能であることは確実だ。こうして横たわっている間にも背中から血が流れている。
「そっか」
それならば仕方ない。そう思って、マーベラストを見れば。これ以上無いまでに絶望したような顔だった。顔は真っ青、目には恨みや復讐を背負ったような濁った顔で、私と私の背中の傷を交互に見て居る。そして、その様子を一緒に見て居たあの男は、マーベラストを見て面白そうに笑いながら巨大な大砲の元へと行き。
「全員、撃て」
その言葉にいち早く反応したマーベラストが、私の元へ駆け寄り守るように覆い被さった。まだ、私が倒し切れていなかった大砲の兵士が一斉に私達へと砲撃を開始した。城の損壊よりも……私達を今此処で殺すことが先決らしい。マーベラストが震える手で「申し訳ありません」と今までをどうしたんだ? と問いたくなるような塩らしい声で謝罪した。
「いいよ」
良いんだ。私達は頑張った……。
「カペル……」
ごめんね……。迫り来る雷の砲弾を眺めながら言えたのは名前だけだった。謝らないといけないのに……。
「カペル」
名前しか言えなかった。迫り来る砲丸に覚悟を決めて目を瞑り最後まで。
「カペル」
名前を呼んだ。
「すみません。閉じ込められている人を助けていたら遅れました」
風魔法で私とマーベラスト君の身体を中へあげ咄嗟で避けたカペル。夜ぶりなのに久々に見たカペルは……。
「カペル」
どこか地獄を見るような瞳で砲台を見て居た。男の居る方向へと着地をすると私とマーベラストを降ろして男へと対峙した。男は勝ち誇ったように笑う。それをぼんやりと眺めるカペルは……本当に静寂のように静かな雰囲気を漂わせていた。
「市民を逃がした所で砲台は止められない。この砲台の中に詰めた亡骸の残量はまだある」
「ざん、りょう」
その言葉に慌てて巨大な大砲を見ると……。一つだけガラス窓の部分があって、そこに真っ白な人の手が力なく横たわっていた。指の先が血にまみれていてよほどの苦痛の中絶命したことが窺える。本当に……本末転倒だ。人が苦しいのが嫌ならば。それこそ苦しみを抱かせて死なせることは最高に矛盾している。
「お前は、お前は本当に人かよッッッ!」
「人の心を持っているからやっているんだッッ!」
立ち上がったマーベラストが吠えれば、同じかそれ以上に大きな声で男は吠えた。どちらも血を吐くような叫びが鼓膜を揺らし、辺りに木霊する。男はさらに激高して血を吐くような叫びを上げた。
「人の心を持っているからこそ。醜い非道なことをしているんだ。人のッッ! この心があるからこそだッッ!!
我が名はクロージス……。シャルリエールが望んだ第二の人生を背負わされし者だ! クロージス様が敗れ去った最後の聖女だというならば。それになってやっただけのことだ。
この汚らしいくて穢れた心も命も、世界も全て自分の責任で終止符を討つ。それだけだ……。この世界に神など居たら、お前の行動は不完全で独善的な世界を作ったお遊戯を嬉々とする餓鬼だと、抵抗してやる為にな」
確かに居る。第二の人生または自分の夢を叶えさせる為に名前を付けてそのために教育をして。そして、その道から一歩から外れれば怒鳴られる。百合ルートのシャルリエールは理想主義者だから、それが顕著にでてしまったのだろう。男はいつもタクシードのようなピッチリとした両手と両足の包む衣服に包まれている。
激高して腕を振り上げたさいに、見えてしまった。無数の鞭打ちの腫れた後が……。
【終わったよ。解毒】
激高の最中にリエルちゃんが言った。そこで、私は立ち上がると。ずっとクロージスを見て居たマーベラストが、ギョッとしたような顔になった。
「毒は?」
「解毒した。流石に用意なしで、私が突っ込むわけないでしょう」
そういえば、納得したようにマーベラストはまた男へと前を向いた。さて、同人誌の結末を知っているリエルちゃんは……どうやってカペル君が大砲を止めるのかを聞きたい。と思って居たら。
【ん、やだ】
(この状況でやだって……)
【やんやん!】
(リエルちゃん……)
【教えない、ぷい】
わざわざ、セルフでぷい! なんて言わなくて良いからと精神世界でツッコミを入れてもそれ以降リエルちゃんは……。
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答えてくれないと思ったら答えてくれた。カペルがすでに知っている? どういうことだと、カペルの顔を見てみれば。いつものような太陽の笑顔はなりを潜め。元のクールな顔立ち通りの無表情で男を見るのみ。あのときの激高も、何もかも反応がない。
【「すみません。閉じ込められている人を助けていたら遅れました」】
(本当にそれだけなの?)
私は再度カペルの顔を見て。本当に人を助けていただけ? カペルは一体何を見たの? 心の中でその問いかけと疑問が声にならずに降り積もった。
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「それでも、私達がやることはリエル様の帰りをお待ちしていることです。手を動かしなさい」
口元に皺がよったヌファンは最近は口うるさい。なんか、生き急いでいるような感じで……。いつ何時、ふっと居なくなってしまうような儚い雰囲気と。
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「あー。だから埃が積もっている所は私がやるってば~。ヌファン!」
乾いた咳が命を狩る足音に聞こえる。日に日に体力と力が無くなっていくヌファンは……本当に人のようになってしまった。今や、私の方が長くお仕事できるようになった。ヌファンは普段の半分行くか行かないかで息切れしてしまうようになった。
(もし、ヌファンが完全に妖精族の血をひいて。私が人間なら……)
私はひとりぼっちにならないで居られたのだろうか。あれだけ好きだったヌファンも……私を一人にしてしまうと考えると。見るだけで悲しくなってくる。
「ソーラ」
「ヌファン」
いつの間にか私の手が止まっていたようで、ヌファンが私の名前を呼んで。
「え」
抱きしめてくれた。正直、ヌファンに新しい家族ができてからご無沙汰だったから驚いて素っ頓狂な声を上げてしまった。ヌファンは何も言わずにゆるゆると私の背中を擦って。
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