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尻も拭けないこんな幼女じゃ

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 おそら……きれい……。今見えてるのはすっころんで激突した城の床だけど。

 【輪廻とロンドの果て】5人の攻略対象+αの中世恋愛ファンタジーの悪役の孫……第三王女としてすくすく育ちまして現在6歳……。六歳を持ちまして廊下で転んだ拍子に自分が好きだった乙女ゲームの世界に転生のちにBADENDを迎えた世界ということが判明したという……、もし、私がシナリオ構成だったら絶対にしないいい加減な方法で私は前世の記憶を取り戻しました。

ここで簡単に【私の為に】この乙女ゲームの詳細をまとめましょう。

題名は先ほどの【輪廻とロンドの果て】第二王女が主人公の攻略対象5人+α構成

姉である第一王女の権力を笠に着て主人公と攻略対象を虐め蔑み、BADENDで女王に君臨してしまえば自身の余りある才能を使い他国を攻め滅ぼし、世界の厄災となりどん底に落とす悪役第一王女のテニク・メーカー・アンドール

国の為に攻略対象と共に姉の首を跳ねアンドール大国の女王として君臨して国を世界を救うはずだった。クロージス・メーカー・アンドール

 今は私に関係ある中心人物だけでいいわ、どうせ攻略対象死んでるか、もうじいさんになってるし。

 そんなことは置いておいて、私が転生したのはそのBADENDの世界を恐怖のどん底におとしめて甘い蜜を吸い、終いには自国も他国も満身創痍になってしまった恐ろしいBADENDの世界に、ただのプレイヤーだった私が

リエル・メーカー・アンドールとして

その悪役女王の三番目の孫として産まれてしまったのが大問題! なのです。その大問題では終わらずにこの子前作プレイの記憶を覗くかぎりある問題が……。


「お嬢様……お怪我はございませんか」

「あっ、ごめんさい。大丈夫です」

 この、前世の記憶が急に呼び起こされてワナワナ震えている私を心配して助け起こしてくれるのは専属侍女のヌファン、ごめんなさいの言葉に驚いて固まってしまったが、すぐに溶けて私を助け起こしてくれた。注意深く私のドレスに塵や汚れが付いていないのを確認して、ヌファンがほっと一息ついてメガネに手をやって「汚れ、塵、埃、ほつれ、ございませんでした」下賤なわたくしめがお体に触れてしまい申し訳ございませんと、深々謝罪としてくれた。
そんなに謝ってくれなくても大丈夫です、ありがとうございますと言うとなんか失礼だけどキツそうな顔の人が思わず喉がつっかえて、目を潤ませるものだからギョッとしてまった。

「いえ、さぁ行きましょう。国王陛下がお待ちになられております」

「はい」

 今日はこのクソみたいな国にとっての大事な日なのです。前世の記憶を取り戻した私は憂鬱の日なのだけれども。
元のリエルの記憶の通りならば、今日はお付きの奴隷を貰える日……。ただの奴隷ではなく王族のサンドバッグになるためだけに、買われた奴隷達なのである。

 私からすると胸くそ悪いものだけれども、BADENDの果ての世界なのだからこれだけ国と世界が歪んでてもしかたないのか、すでに当たり前のように市民も王族も貴族も受け入れてるのだその……異常を。ただ……その異常は続かない、いつかこんな国は市民の怒りを爆発させて、崩壊するだろうということが容易に想像できるからだ。

(それに、巻き込まれないために……私は安全に勉強かつ前世の記憶と性格を使って生き延びます)

 どんどん近づいてくる現国王の座る玉座に恐れおののきながらも、覚悟を決めて喉をならし醜悪な豚と形容しても過言ではない父上の前に来てひれ伏す。両脇には有力な貴族や警備兵、城の重役がそれぞれ脇に控えていてちょっと空気が重苦しすぎて、私お腹痛くなりそう。あと、この玉座への道のりのためのカーペットと部屋無駄に馬鹿でかいこんなんいらんだろ。愚痴しかでてこない。

「よく来たのうぅ……。愛しい我が子よ、母親ににて純白の髪と肌、アメジストを思わす深い紫の瞳……暫く見ない間に綺麗になったの~ひゃひゃひゃ」

(四年間この子……今は私か、私に会いもしないでよく愛しいなんてほざけるなこの豚!)

 歪みそうになる口をなんとか保って「私もお父様にお会いできて嬉しいですわ! 早速お父様がお選びになった奴隷を見てみたいの、お父様、お ね が い」

「うふふはっはっは! そうじゃのう、こんなに可愛くお願いされてしまっては……形式などいらん、とっとと奴隷をここに並べろ! 薄鈍ども!」

 流石ストライクゾーン1歳から500歳人外可能の狂人にして、民のことを顧みず作った黄金の玉座とその数多の宝石のあしらわれた指輪で乱暴に音をならす幼稚園児のがまだ大人と思えるほどの幼稚な情緒なお父様だこと。実の娘の私にすら、女ってだけで性的な目線を向ける父親に言い表しようもない嫌悪感で、多少口が歪むも、玉座の下で傅く私からは距離が離れてるおかげで気づかれずに笑みを戻すことができた。

「とっとと並べ!奴隷共、お待たせいたしました国王様とリエル第三王女様……。こちらが選りすぐりの美を兼ね備えた奴隷でございます」

 奴隷商人だろう、狐目の男が鞭を持って地面をならすと怯えた奴隷がこの玉座の間へと怯えて入ってくる。数は3人で、奴隷であるから薄汚れてはいるが三人とも美男という言葉も役不足になりそうなほど、息を飲む顔立ちであることは分かった……全員恐怖で目が死にかけているけど、目の中に思って居ることが浮かび上がるならば恐怖の二文字が浮かび上がることでしょう。

「エー、まず最初に」

奴隷ナンバー11号

髪 赤色

瞳 赤色

適正魔術 火

年齢 10歳

特筆

ガタイが中々良いために拷問するさいに気絶しにくい
体術を習わせて捨て駒のボディーガードにするのも可

 最初の説明からして、拷問ありきとか人権を無視した使い方をする前提であることが嫌悪感をなによりも煽ってくる。勿論ここで顔をかしげてしまってはいけないので、表情は固定して笑って耐える。頑張れ私の表情筋、負けるな表情筋、私が付いてる表情筋!!!

 お前が表情筋に付いてるのではなく、表情筋がお前に付いてるんだよなんて現実逃避のくだらない一人突っ込みを済ませて「次をお願いします」と奴隷商人に言う。畏まりましたと奴隷商人が一礼してから高々とまた説明が始まる。

奴隷ナンバー62号

髪 なし

瞳 白色

適正魔術 土 光

年齢 10歳

特筆

どんな髪型でも似合う顔立ちですので、お好みの髪型にできるように髪を一度全部そり上げました。

魔術適正がございますのでこちらも捨て身のボディーガードにするのがよろしい。

「……次」

奴隷ナンバー2号

髪 翡翠色

瞳 翡翠色

適正魔術 闇 風

特筆

細身で拷問の耐久力は皆無に等しいです

ですが覚えがとてもよく、理解力がございますので公務をやらせるには丁度よろしいかと。

今回で、この奴隷は売れ残り処分とされます。


「奴隷ナンバー2号でお願いします」
 
 その単語で、ドクリと心臓が圧迫されるように苦しくなって咄嗟に奴隷商人にそう言った。後悔はない後悔はないけれど選ばれた彼は……絶望の二文字を瞳に宿した目で無機質に私の前にでて傅き。

「お選びくださってありがたき幸せ。この身をもって貴女のご期待に添えるように全力を尽くします」

 絶望を乗せた平坦な抑揚のない声音で私にそういった。

自分の尻も満足に拭けないような子供だけれども、貴方の想像する恐怖を訪れさせやしない。こんな子供にこんな目をさせたくない。絶望の目を見つめ返し、心の中でそう誓った。






「なんと、第三王女様は慈悲深い肩であらせられる。処分されるくらいならば自らの手で有終の美を飾らんと……宰相の私めに涙が堪ります」

 慈悲深い、少なくともこの光景になんも疑問を抱かない人物の口からは聞きたくない言葉だ。正直、逃げ出したいしなんで転生したのかも分からない、けれど……なってしまったのはしょうが無い。生きるためになにより……こんなクズ共と一緒になってなってやるもんか! 睨み付けそうになるからと目をつむり顔を少し俯かせると、これまた宰相と他のイカレタ重役どもが「まるで聖女のようだ」と拍手喝采をこちらに向けてくる。

(私は前世の記憶があるからいいけど……他のお姉様方はちょっと期待できなさそうかな)

 多分、私も事前知識なしのシラフの状態で此処にきたら普通に此奴らに染まりそう。いや、染まる。とりあえず味方を増やそう、幸い? この世界の常識はある程度頭に6歳分入ってるから多少なりとも立ち回れるはずだ。にしても……ある意味ここまで、常識と逸脱してたら、焦りとり嫌悪感が勝って逆に冷静になってくるよ……あぁ……ため息でそう。

「私なんかに、勿体ないご評価でございます。お父様ありがとうございます。国王様の慈悲に感服いたします」

「よい、よい、では愛しき娘よ猶予六年間ゆっくりしていくと良い」

「はい、ありがとうございます」

 
 猶予六年、第三王女である私は六年で王位継承権を剥奪されて、元エヴァ王国の領地丸々与えられその土地を運営する領主になるのだ。攻め滅ぼした国をこうやって元王族に管理させることによって威圧をかけると同時に反乱を抑圧するとかなんとか、けど……これにはもの凄い弱点がある。

(王族であるその私が反旗を翻せばいいもんね。確かゲームのBADENDだと今の私の父様は結構な色欲馬鹿だってかいてあったから、多分気づかない。あっかんべーだ!)

 私はこの世界のこの乙女ゲームを大好きで、大好きで、とりあえず大好きなんだ。BADENDも嫌いなわけでなはないけれど、私はこの世界にハッピーエンドを迎えて欲しい。なにより……傲慢な考えだけれども、ゲームを作ってくれた人達にそれで感謝の気持ちをしめせればなおよし。異世界だから一方通行だけど。

(それにこの、テニク・メーカー・アンドールの孫だから……エンディングで孫にもその才能を継承されて人々を恐怖に落とし込んだとかあったような……そんな記憶が正しければ)

 私は頭良い、魔法できる、体術いける、スーパー超人!!!   

 おぼろげな記憶が正しければ、私は頭がよく魔法もできて体術も才能があるのだけど……。オブラートに包みましてやっぱりこんな環境で居たら普通に性格歪むと思うんですよぉー。だからね、普通にこんな超人が性格破綻者だっやらまぁ、面倒だね。ある意味ハッピーエンドって奇跡だったとか……一応主人公は普通の凡才だったはず……。それで勝ったのはやっぱ奇跡だった。

「リエル様、お部屋に付きました」

「ひゃい! じゃなくてはーい。行きましょうか」

「え?」

 色々くだらないこと含め考えて居たらいつの間にか部屋の前へ、連れてきたエー……二号君が凄いフラフラなのでよろめいて転ばないように、背中に手を添えて支えると、二号君から奇っ怪な者を見る目で綺麗な翡翠のお目々かっぴかれて、周りのヌファンと部屋に待機してたもう一人の侍女ソーラも、狐憑きを目撃したようにギョッとしてこちらを見てくる。まぁーそりゃ、もう、このエンディング後じゃ非常識な行動だわな。

 こんなガリガリで細い身体に憐れみも、なにも感じないやつは人間じゃない。

「ヌファン、私のご飯持って来て丁度お昼だからね。ソーラ、彼に湯浴みと服を新調してあげて。そうだわ、無駄に私の部屋のテーブル広いのだから、二人も此処で済ませても大丈夫よ」

「は、はい、ただいま!今すぐに持って参ります」

「湯浴みと服の新調畏まりました! あのー服に関してリクエストってございますでしょうか?」

「うーん、そうねぇ……。彼に似合うもので貴女に任せるわ! いつも素敵なドレスを選んでくれるから」

「あ、ありがとうございます!」

 ソーラに至ってはびっくりを通りこして、顔を真っ赤にして照れくさそうに笑いながらも2号君を俵のように担いで、私の部屋の浴場へと消えてゆく。本当に顎で使って申し訳ないと同時に、驚かせてしまって申し訳ない。

(暴力沙汰をおこしはしないけど、王族と貴族などとしか会話しない子がここまで豹変したらそりゃ驚くわ)

 高級な等身大の鏡を見てため息をつく、無駄に顔のいい純白の肌と白銀の髪……それに浮かび上がる紫の瞳は大きく目千両といったところか、けど色彩のせいかどこか覚めて冷たい氷の女王のような雰囲気である。これで差別的だったら可愛くて綺麗な顔台無しよ~まったく、おばちゃん心配になっちゃうよリエルちゃん! 今は自分がリエルだけど。

「いー あー いー うー あっかんべー」

「リエル様おま、たせ……しま、っぷ」

「わー見られちゃったわ」

 こんな女王みたいな顔をどうにかできないものか、鏡の前で色々変顔と笑顔の練習をしていたら、魔がさしてあっかんべーしたところに丁度ヌファンが帰ってきて、あっかんべーを鏡の前でする滑稽な姿に思わず吹き出してしまったようだ。恥ずかしいけど、私も笑えてきて自分の醜態と滑稽さに笑う。ひとしきりわらったあとに、何事もなかったとうにヌファンが、メガネに手をやって「お待たせ致しました。今回料理を運ぶのは私一人でやりました故に大変お待たせしました。毒味は済ませてありますのでいつでも頂けます」キリッとして言うもだからまた吹き出しそうになった。

「じゃあ、私も手伝うよー」

「え、いやリエル様」

「お願い、六年間で私は管理する民の為に学ばないといけないから」

「……ッッ! 承知、致しました。でしたらこちらをお願いします」

 感激と言わんばかりに目に涙をためて、フォークとナイフなどが入ったカトラリーケースを机に運ぶことをお願いされた。ヌファンは人数分……2号君のがたりないな、まぁ、私のソファーのとなりに座ってもらえばいいか。
イスを私の部屋のテーブルに運んでくれてから料理を運び、ソーラが2号君の仕立てと湯浴みが終わる頃には……無駄に多い料理を運び終えることができた。

 侍女のヌファンは、前世の記憶が戻る前のリエルに領地を貰うことを約束されたらやりたいことがあると聞いていた為にリエス様のやりたいこととは、民を慈しむ善良なる統治者となることとだと、100段飛び解釈をキツそうなつり目の内側でしたあげくに「一生……ついて行きます」と小さくリエルに聞こえない程度に呟いた。

(まさかこの六人分を私一人……しかも、一口食べたら捨てるとかどこの大奥だよ!!! 食べきれないからみんなにも食べてもーらお)

 本当に聞こえなかったリエルはのんきにそんなことを考えて、顎に手を当ててどっさりとテーブルに鎮座する数々の料理を見て頭を抱えそうになっていた。

「リエル様! 仕立て終わりましたー!」

「失礼します」

 ソーラと共に出てきたのは……。奴隷生活のせいで伸ばしっぱなしだった髪は適度に切られて、油を引かれ痛んだ髪は艶を取り戻し三つ編みに束ねられて、まさに翡翠色の髪だ。服は目立った装飾はないにしても、髪と瞳の色を基準にした落ち着いた服装になっていた。すごく動き安そうだから、私のドレスとその服をトレードしたいなぁ。

 あまりの出来の良さとまぶしさに、2号君の後ろに光が現れそうだ。湯浴みで意識がはっきりしたのか死にそうな目に生気が戻ってきて余計に美形っぷりが際立つ。

「おおー似合う似合う! じゃあ、ご飯食べましょ2号君もお腹空いたでしょ? ここ ここ」

「…………」

 てっきり自分の分はないと思って居たのだろう、絶句しながらも、空腹が勝ったのか断る方が失礼だと思ったのか恐る恐る座ってくれる。緊張しているのかもの凄くカチカチだし、空腹の余りにクール面なのによだれが出ている。

「貴方も好きに食べて大丈夫よ。ヌファンもソーラもどうぞ」

 いただきます。前世の癖で手を合せそうになるけれど、なんとかそれを抑えて礼儀正しい貴族の作法で頂く、三人には気にしないように言ったのだけど、ソーラもちょっと堅くなりながら食べてる。ある意味真面目に忠実なのかヌファンは、緊張なく自然に食べたいように食べてる。

「しいよ……おいしい……おい、ひゅ……おいしいよぉ……。ひっぐうっ、うぁ」

「急いで食べなくてもなくならないし誰も取らないわ。安心して食べてね」

 泣きながら必死に、美味しい美味しいと食べる姿に涙が浮かび上がりそうになるけれど必死にせき止める。時折思い出したように怯えた目で私を見るけど、そのたびに大丈夫だからお食べなさい。そう微笑むとまた泣きながら美味しい美味しいと言う中で、ありがとう、ありがとう、という感謝の言葉も混じるようになった。

「ヌファンもソーラも食べて? 私一人じゃ食べきれなくて勿体ないもの」

「ありがとうございます。ではいただきます」

「え、ヌファン。失礼じゃ……えっといただきます。あっこれ美味しい!」

 おどおどとしていたソーラも美味しいと分かると両手を頬にあてて目を輝かせていて、ヌファンはやっぱり真面目なようで命令厳守の性格なのだと思う。取りあえず腹ごしらえしてからこの人達を味方に巻き込んで……。


(BADEND後の立て直しと行こうじゃないの…………死にたくないし)

 
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