96 / 175
諸刃の根回し
しおりを挟む
「ってなわけで、わては肉体派やないんでーいってこーい!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!! 投げるなんてサイテぇぇぇぇぇ!!!」
本当に最低!!! 魔術で強化した腕力でローブの怪しいやつとボロボロの男の中に投げ入れるなんて。羽を広げて風圧に抗ってなんとか、ボロボロとローブの間に着地をする。愛しのウィーンの身体がギシギシと悲鳴を上げる感覚がして、思わず舌打ちしてしまう。あのガイコツ覚えておきなさい……。
不機嫌のままに自分の口の周りを舐め続ける男が、身の丈をとうに超した斧を軽く持ち上げながらこちらの方へと近づいてくる。『狂犬』と呼ばれている人物だというのは予め生臭元法王によって聞いている。でっかい岩に柄をさしたような歪な重量と大きさの斧を持ち、その上とてつもない速さと身体の柔軟さをもつ近接距離に偏った戦闘スタイルの人物。
「これはこれは、ご契約通りにそのゴミの……命をぶっ潰してやりますのでお退きください」
「うん、良いわよ。ちゃんとその首をその立派な斧で木っ端微塵にする姿を見せて」
「えぇ、ご契約通りに」
契約には私も立ち会っていたので顔を覚えていたみたいだ。狂犬は斧を持ちながら立ち止まり退けというので素直に退いてやった。私自身はこのボロボロ男がどうなろうと知ったことではないし、カリスティアちゃんやグラス君を悲しませる人物なのだから、そのまま死ねば良い。そう思って居る……だけど。
「これは、どういうおつもりだぁ?」
私が一歩引いて開けた道を通る狂犬の首に、鋭い爪を立てた一撃を振りかざした。少し擦っただけで交されてしまった。けれど、それによって顔を覆っていたローブが切れて隠れていた顔が見える。
「あら、弓と魔法を信条とするエルフが……ねぇ」
「どいうつもりだって聞いてんだよこっちは、糞悪魔が」
「どういうつもり? その男もお前も……此処で死になさいということよ」
相手が殺しに来るならば、同じく殺す気で反撃をして、相手が利用する気で来るならばこちらも利用する。別におかしいことではないと、ボロボロ男を見てから、口をなめ回す狂犬を見る。目が血走って今にも飛びかかりそうな気配がする。身体を余り傷つけたくはないから、私は身体に魔属性の魔力を纏わせる。結界とか守るのは性に合わないからできないけれど、無いよりはいいだろうと。
「ぁぁぁぁ……。あ? あぁぁぁぁ……」
すぐに飛びかかって来たのをすぐに後ろに退く形で避ける。斧から放たれる魔力の斬撃は、技名詠唱もされずに討ち放たれるものだから、読みにくいったらありゃしない。技名すらも言わないのだから魔力の練り上げが甘いおかげでスピードも威力も無いが。
「あ、うー。ああああああああああ」
狂犬の方にワンとも人語ともならない言葉を吐いて猪突猛進にこちらに突っ込んでくる。エルフの綺麗な髪と魔力を持っていながらこの戦い、まさにとち狂った者の相手だ。あたりをボコボコに穴を開けながら突っ込んでくるものだから、段々と気が引けて避ける気力がなくなってくる。斧を振るときの隙が大きいから一発だけ槌で攻撃してやろうと、懐に入ると。
「攻撃したらあっかん!!!」
遅れてここまで到着したスケイスが、攻撃のために槌を振り下ろしてから言われたせいで、そのまま狂犬の懐に槌をお見舞いしてしまった。骨にヒビが入る音と共に狂犬が吹っ飛ばされていく、変に勢いを殺したせいで骨にヒビだけで済ませてしまった。良くも邪魔したなと、スケイスに向けて文句を言おうとしたが。
「わてのことは良いからはよ、その槌はなしぃ! 死ぬぞ」
「何を……ヒッ」
槌を見るとポロポロと、ガラスのように崩れていく慌てて手を放したけれど少し間に合わなかったようで人差し指も一緒にガラスのように割れて壊れてしまった。指からダラダラと流れる愛しい人の血が、背筋を凍らせるとどうじに、自分の中に押しとどめている何かがずるりと顔を出す気がした。
「私のウィーン、私のウィーン私のウィーン私のウィーン私の私のわ、私の私の私の私自身のウィーンが……。カリスティアちゃんに作って貰ったプレゼントがぁ……」
「落ち着け、その程度なら主はんの上級ポーションで治る。魔力の動きをちゃんとみい」
今すぐ恋人の身体を脱ぎ捨てて、八つ裂きにしようと思った思考に待ったがかかる。カタカタと震え、怒りで無くなった人差し指からボタボタと流れる血を振りまく。魔力を込めて見ると、狂犬の周りに堕ちた精霊の紫の光が浮かんでいるのが見える。生命を育む自然の意思の使いが堕ちたら、反転して全てを腐らせ砕き破壊するものに。
「堕ちた精霊の動きはわてが止める。あんさんは本体頼むで」
・
・
数刻前
「てな、わけでカリスティアはんに居ないこと聞かれてもごまかしといてや」
『わかりました。気をつけてください……呼んでくださればすぐにいきます』
「ええよ、主はんとグラスはんは楽しんどきぃ……これから先ほんまに楽しく遊べる時はないんやからな」
通信用水晶でグラスはんだけでも今回の事を伝えて、主はんは今回の事をバレないようにとお願いしたら案外あっさりと了承してくれた。拍子抜けだったがそうか……。グラスはんは自分の中の天秤をしっかりと見極めているからな。
グラスはんに取ってはわてもウィーンも全てがカリスティアという人間を幸せにする道具の一つ。仲間として、友として、家族として……愛情も、友情も、親愛も持ち合わせて通わせて大事に思って居るが、そこにカリスティアの存在があれば容易に利用して切り捨てる。場合によっては一番大切に思っているカリスティアに、鋭利な刃物を突きつけているような危うい愛。
カリスティアを守ること第一にしながら、カリスティア本人が死ぬことを望めば喜んでカリスティア自身の命を奪う諸刃の愛
(どいつもコイツも、普通の恋愛できんのかいな)
この度で何度目だろうため息をついて、瞼も目玉もないが感覚的には瞼の裏に浮かぶという表現に近い感じで見れる予知を見る。狂犬の周りに堕ちた精霊がふよふよと浮かんでいるところが見える。よっこらしょっと腰を掛けていた岩から立ち上がって走る。肉体労働は苦手だけれど急がなければならない。
「走るたび、カッコン、カコン……うるさー!!! なんで、わて魔物化して手に入れてんのが生命探知なん? 大判振る舞いで転移よこせや!!!」
走る度に響く騒音を響かせながら、よいせよいせと老体に鞭を打って現場に向かう元法王様。たまたまその場に居合わせた冒険者に「きゃーおばけー」と怖がられながら通り過ぎざまに「誰がお化けやナイスミドルガイコツ様や」っと、魔物と思って魔法を撃って斬りかかってきた六人を容易に交しながらウィーンの元へと向かった。
「わぁぁぁぁぁぁ!!! 投げるなんてサイテぇぇぇぇぇ!!!」
本当に最低!!! 魔術で強化した腕力でローブの怪しいやつとボロボロの男の中に投げ入れるなんて。羽を広げて風圧に抗ってなんとか、ボロボロとローブの間に着地をする。愛しのウィーンの身体がギシギシと悲鳴を上げる感覚がして、思わず舌打ちしてしまう。あのガイコツ覚えておきなさい……。
不機嫌のままに自分の口の周りを舐め続ける男が、身の丈をとうに超した斧を軽く持ち上げながらこちらの方へと近づいてくる。『狂犬』と呼ばれている人物だというのは予め生臭元法王によって聞いている。でっかい岩に柄をさしたような歪な重量と大きさの斧を持ち、その上とてつもない速さと身体の柔軟さをもつ近接距離に偏った戦闘スタイルの人物。
「これはこれは、ご契約通りにそのゴミの……命をぶっ潰してやりますのでお退きください」
「うん、良いわよ。ちゃんとその首をその立派な斧で木っ端微塵にする姿を見せて」
「えぇ、ご契約通りに」
契約には私も立ち会っていたので顔を覚えていたみたいだ。狂犬は斧を持ちながら立ち止まり退けというので素直に退いてやった。私自身はこのボロボロ男がどうなろうと知ったことではないし、カリスティアちゃんやグラス君を悲しませる人物なのだから、そのまま死ねば良い。そう思って居る……だけど。
「これは、どういうおつもりだぁ?」
私が一歩引いて開けた道を通る狂犬の首に、鋭い爪を立てた一撃を振りかざした。少し擦っただけで交されてしまった。けれど、それによって顔を覆っていたローブが切れて隠れていた顔が見える。
「あら、弓と魔法を信条とするエルフが……ねぇ」
「どいうつもりだって聞いてんだよこっちは、糞悪魔が」
「どういうつもり? その男もお前も……此処で死になさいということよ」
相手が殺しに来るならば、同じく殺す気で反撃をして、相手が利用する気で来るならばこちらも利用する。別におかしいことではないと、ボロボロ男を見てから、口をなめ回す狂犬を見る。目が血走って今にも飛びかかりそうな気配がする。身体を余り傷つけたくはないから、私は身体に魔属性の魔力を纏わせる。結界とか守るのは性に合わないからできないけれど、無いよりはいいだろうと。
「ぁぁぁぁ……。あ? あぁぁぁぁ……」
すぐに飛びかかって来たのをすぐに後ろに退く形で避ける。斧から放たれる魔力の斬撃は、技名詠唱もされずに討ち放たれるものだから、読みにくいったらありゃしない。技名すらも言わないのだから魔力の練り上げが甘いおかげでスピードも威力も無いが。
「あ、うー。ああああああああああ」
狂犬の方にワンとも人語ともならない言葉を吐いて猪突猛進にこちらに突っ込んでくる。エルフの綺麗な髪と魔力を持っていながらこの戦い、まさにとち狂った者の相手だ。あたりをボコボコに穴を開けながら突っ込んでくるものだから、段々と気が引けて避ける気力がなくなってくる。斧を振るときの隙が大きいから一発だけ槌で攻撃してやろうと、懐に入ると。
「攻撃したらあっかん!!!」
遅れてここまで到着したスケイスが、攻撃のために槌を振り下ろしてから言われたせいで、そのまま狂犬の懐に槌をお見舞いしてしまった。骨にヒビが入る音と共に狂犬が吹っ飛ばされていく、変に勢いを殺したせいで骨にヒビだけで済ませてしまった。良くも邪魔したなと、スケイスに向けて文句を言おうとしたが。
「わてのことは良いからはよ、その槌はなしぃ! 死ぬぞ」
「何を……ヒッ」
槌を見るとポロポロと、ガラスのように崩れていく慌てて手を放したけれど少し間に合わなかったようで人差し指も一緒にガラスのように割れて壊れてしまった。指からダラダラと流れる愛しい人の血が、背筋を凍らせるとどうじに、自分の中に押しとどめている何かがずるりと顔を出す気がした。
「私のウィーン、私のウィーン私のウィーン私のウィーン私の私のわ、私の私の私の私自身のウィーンが……。カリスティアちゃんに作って貰ったプレゼントがぁ……」
「落ち着け、その程度なら主はんの上級ポーションで治る。魔力の動きをちゃんとみい」
今すぐ恋人の身体を脱ぎ捨てて、八つ裂きにしようと思った思考に待ったがかかる。カタカタと震え、怒りで無くなった人差し指からボタボタと流れる血を振りまく。魔力を込めて見ると、狂犬の周りに堕ちた精霊の紫の光が浮かんでいるのが見える。生命を育む自然の意思の使いが堕ちたら、反転して全てを腐らせ砕き破壊するものに。
「堕ちた精霊の動きはわてが止める。あんさんは本体頼むで」
・
・
数刻前
「てな、わけでカリスティアはんに居ないこと聞かれてもごまかしといてや」
『わかりました。気をつけてください……呼んでくださればすぐにいきます』
「ええよ、主はんとグラスはんは楽しんどきぃ……これから先ほんまに楽しく遊べる時はないんやからな」
通信用水晶でグラスはんだけでも今回の事を伝えて、主はんは今回の事をバレないようにとお願いしたら案外あっさりと了承してくれた。拍子抜けだったがそうか……。グラスはんは自分の中の天秤をしっかりと見極めているからな。
グラスはんに取ってはわてもウィーンも全てがカリスティアという人間を幸せにする道具の一つ。仲間として、友として、家族として……愛情も、友情も、親愛も持ち合わせて通わせて大事に思って居るが、そこにカリスティアの存在があれば容易に利用して切り捨てる。場合によっては一番大切に思っているカリスティアに、鋭利な刃物を突きつけているような危うい愛。
カリスティアを守ること第一にしながら、カリスティア本人が死ぬことを望めば喜んでカリスティア自身の命を奪う諸刃の愛
(どいつもコイツも、普通の恋愛できんのかいな)
この度で何度目だろうため息をついて、瞼も目玉もないが感覚的には瞼の裏に浮かぶという表現に近い感じで見れる予知を見る。狂犬の周りに堕ちた精霊がふよふよと浮かんでいるところが見える。よっこらしょっと腰を掛けていた岩から立ち上がって走る。肉体労働は苦手だけれど急がなければならない。
「走るたび、カッコン、カコン……うるさー!!! なんで、わて魔物化して手に入れてんのが生命探知なん? 大判振る舞いで転移よこせや!!!」
走る度に響く騒音を響かせながら、よいせよいせと老体に鞭を打って現場に向かう元法王様。たまたまその場に居合わせた冒険者に「きゃーおばけー」と怖がられながら通り過ぎざまに「誰がお化けやナイスミドルガイコツ様や」っと、魔物と思って魔法を撃って斬りかかってきた六人を容易に交しながらウィーンの元へと向かった。
0
お気に入りに追加
381
あなたにおすすめの小説
【完結】浮気者と婚約破棄をして幼馴染と白い結婚をしたはずなのに溺愛してくる
ユユ
恋愛
私の婚約者と幼馴染の婚約者が浮気をしていた。
私も幼馴染も婚約破棄をして、醜聞付きの売れ残り状態に。
浮気された者同士の婚姻が決まり直ぐに夫婦に。
白い結婚という条件だったのに幼馴染が変わっていく。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
物語のようにはいかない
わらびもち
恋愛
転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。
そう、言われる方ではなく『言う』方。
しかも言ってしまってから一年は経過している。
そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。
え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?
いや、そもそも修復可能なの?
発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?
せめて失言『前』に転生していればよかったのに!
自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。
夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。
婚約破棄するぐらいならっ!もっとよく調べてからにしたら?転生令嬢がそう言ってましたよ。
ぽんぽこ❤︎たぬき
恋愛
山里奥深く人知れずに国がその存在を隠し保護してきた「神月流」と呼ばれる忍者の里があった。その里一番の使い手おりん。里長率いる殺人集団の中で唯一の女性であり里が始まって以来の天才とその名を欲しいままにしていた。その胸には修二郎と言う初恋相手への恋心を封印して。
同僚たちの中でその抜きんでた才能を開花させて上忍へ一番に昇格し村を治めていたが修二郎の裏切りに会いおりん自身と里の秘密を守るため自決を余儀なくされる。
燃え盛る炎の中で修二郎に別れを告げるおりん。亡骸も残らない程の高熱に身をやつし彼女の魂と体は何者かの手違いで時空を超えた。
まさに幼い頃からの婚約者に大衆の面前で暴力を受け気を失ったリンダと言う少女に転生をしてしまうのだった。早速覇気で婚約者を吹っ飛ばし友人のキャサリンにこちらの世界の情報を求めて少しずつ理解していくのだが。。。。
転生少女の奴隷生活は主人が可愛くて割としあわせなようです
みのりすい
ファンタジー
主従百合バトルファンタジー。
前世は最強の特級呪術師、今世で憐れな売れ残り…。
やっと買ってくれた人は可愛い女の子。まあ、どうせ奴隷なんだけど。
でもなんか優しくしてくれるし……。あれ、これ、当たり……?
呪術も魔法も妖魔もいる世界で、固く結びあわされた二人の魂の絆の物語。
欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします
ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、
王太子からは拒絶されてしまった。
欲情しない?
ならば白い結婚で。
同伴公務も拒否します。
だけど王太子が何故か付き纏い出す。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!
緑牙
ファンタジー
植物が好きで園芸店の店長をしている 志田良太。
ゲーム世界に飛び込んで遊べるVRMMORPGのゲームを入手して、成り行きでおこなった生産に徐々にハマっていく。
製薬・鍛冶・料理・栽培などの生産を通じて、AI搭載のNPCや他のプレイヤーと交流していく。
時には他プレイヤーに絡まれたり、
時にはNPCを助けたり、
時には仲良くなったNPCや動物達と一緒に作業したり、
周囲に流されながらも、毎日を楽しく過ごしていきます。
その中で「生産者のリョウ」として徐々に名が知れていってしまうが、そんなことはお構いなしにマイペースに突き進んでいくお話です!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
本格的に生産を始めるのは二章からになります!
タイトルに※印が付いていたら、乱暴な表現や台詞があります。
話はかなりスローペースに進んでいきます!
体の不調が続いてるため、不定期更新になります。
投稿できそうな日は、近況にてご報告致します。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜
高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。
フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。
湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。
夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる