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第10章 嘘つき猫の一生
第70話 君は百合営業を感じたことがあるか?(後編)
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はたして私は金装備でエンドに戻って来た。
黒い空を『エンダードラゴン』が舞う死地へと――。
「みなさん! お待たせしました! 川崎ばにらただいま戻りました!」
「ばにらちゃん! ばにらちゃんが、黄金聖衣を装備して帰ってきた!」
「ネタにのってこないでください、すず先輩!」
「ばにら! 金ぴかじゃねえか! あと、さっきからりんごとずんだが言ってる――なんちゃら聖衣がどうとかって、どういう意味?」
「あひる先輩! オタクじゃない貴女のままでいて!」
『(インドネシア語)ばにら社長! まさか黄金聖衣を身に纏って帰ってくるなんて! 流石は私の敬愛する社長です! とてもとても似合っています! エンドラ討伐が終ったら、ぜひ一緒に写真を撮らせてください! あぁ、本当に素敵!』
「ニーナちゃん! なにを言ってるのかさっぱり分からないけど――これだけは聞かせて! ドゥユーノウ、セイントセイヤ?」
「イエスアイドゥ! アイライクイット!」
「オッケー! セイントセイヤイズ、グローバルコンテンツ!」
まったく緊張感のない再会だなぁ。
ただ、今はなにも言うまい。
まずは『エンドラ討伐』だ。(現実逃避)
私の戦線離脱で攻撃の手が緩んだのだろう、未だ『エンダードラゴン』のライフは満タン状態。塔の上にも幾つか『エンドクリスタル』が残っている。
はやく『エンドクリスタル』を破壊しなくては。
とはいえ、「ないよりはマシ」の金装備。
できればダイヤ装備と交換したい。
私の装備はあひる先輩が集めてくれていたが――。
「ばにらすまん! まだ、『逆バニ刀』しか回収できてない!」
「オッケーですバニ! あとは自分で回収しますんで、あひる先輩は『エンドクリスタル』の破壊に向かってください!」
「それなんだけど――もう、『低速落下のポーション』の効果が切れちゃって!」
わちゃわちゃとやっている間にあひる先輩のポーションの効果が切れていた。
塔を『低速落下のポーション』を飲まずに登るなんて自殺行為だ。
翻訳要員とはいえ、あひる先輩は私よりマシな装備をしている。
彼女が抜けてしまえば、さらに討伐は難しくなる。
戻ってきたが絶体絶命。
あひる先輩から『逆バニ刀』を受け取った私は唸った――。
「塔の上の『エンドクリスタル』は残り二つ! どちらも弓で狙えない高さだ! これはもう、回復されるのを承知で『エンダードラゴン』に挑むしか!」
「なるほど……あと二つ『エンドクリスタル』をどうにかすればいいんだでな!」
「どうやら……ギリギリ出番に間に合ったようだね!」
「そ、その声はまさか!」
そんなシリアス展開をブチ壊す声が二つ。
さらにその声に、ノリノリで合せる声が一つ。
流石は特待生同士。
息ぴったりでいいですね。
まーた茶番がはじまる。(白目)
「黄金聖闘士――イヌ座の青葉ずんだ!!!! 見参!!!!」
「同じく! 黄金聖闘士――ネコ座の津軽りんご!!!! 参上!!!!」
「黄金聖闘士だ! 黄金聖闘士が来てくれたぞ! やったこれで勝つる!!!!」
「スズちゃん! 『エンドクリスタル』の破壊は、僕たちに任せて!」
「殴ってボコってくればいいんだでな! 大丈夫! ブランチマイッチングで、土と丸石はいっぱい持ってるでな! どこまででも登ってあげるから!」
「頼もしいぞ! さすが黄金聖闘士! 生駒も今から金装備にしようかな!」
すず先輩、惑わされないで。
アンタまで紙装備にしてどうするんや。
なんと私を追っかけて、美月さんとりんご先輩がエンドにやって来た。
ちょうど破壊しなくてはいけない『エンドクリスタル』は二つ。素手攻撃が危険を伴うことは身をもって知っているが――ここは二人にお任せするしかない。
「ずんさん! りんご先輩! お願いできますか!」
「「まかセロリ!!!!」」
息ぴったりで返答すると、二人は塔を登り始める。
流石は「ゲーム特化型VTuber」の特待生。
美月さんもりんご先輩も、あっという間に塔の頂上へと到達し、『エンドクリスタル』へと肉薄する。こちらがダイヤ装備を集める方が遅いくらいだった。
「喰らうでな――鳳凰幻魔拳!」
「なんでフェニックス一輝! 主人公じゃないですやん!」
「いくよー! オーロラエクスキューション!」
「こっちも! いや、黄金聖闘士の技だけれども!」
そこは『ペガサス流星拳』じゃろがい。
こっちは必死になってエンドラ討伐してるのに――楽しそうでなんかずるい!
「あべし!!!!」
「ひでぶ!!!!」
「やられ方が違う漫画!!!!」
二人の尊い犠牲により『エンドクリスタル』が破壊された。
回復手段を失った『エンダードラゴン』。
空飛ぶ黒竜に向かい、すず先輩とニーナちゃんの神AIMが炸裂する。
二人はライフゲージをすごい勢いで削っていく。なんていうか「『エンドクリスタル』を破壊する意味あった?」と思うほどの、それはそれは恐ろしい矢の雨だった。
そんな味方の猛攻の中、ようやく私は金装備からダイヤ装備に換装する。
その時だった。
「あぁ! エンダードラゴンが止まり木に!」
『(英語)今がチャンスです! 全員で近接武器でたたみかけましょう!』
「待ってたぜェ!! この”瞬間”をよォ!!」
「あひる先輩! ツルハシ持ってそれ言うのは反則ですバニ!」
空を飛んでいた『エンダードラゴン』が止まり木に着地する。
これで近接攻撃が届く。
無限弓からネザライトの剣に切り替え、すず先輩とニーナちゃんが殴りかかる。
あひる先輩が鉄ツルハシで特攻する。
そんな中を、私は『エンダードランゴン』に向かって一直線に疾駆すると、えるふから預けられた武器をその頭蓋に向かって振り下ろした。
ありがとうえるふ。
お前にもらったダイヤの剣。
ちゃんと見せ場があったよ。
だから――この技はお前に捧げる。
お前の大好きな漫画の技で、この『エンドラ討伐』を終わらせるバニ。
「喰らえぇぇ!!!! 飛天御剣流九頭龍閃バニィ!!!!」
「きちゃぁあああああ!!!! 飛天御剣流だぁあああああ!!!!」
「もうどうにでもなれバニ!!!! インドネシアのリスナーのみなさん、ごめんなさいバニ!!!! けど、これがDStarsなんじゃぁああああ!!!!」
往年の名作剣客漫画の必殺技が『エンダードラゴン』の頭を砕く。
ジャンプ斬りでダメージ増加。
さらに、殺意マシマシのエンチャント効果。
その一打で『エンダードラゴン』の残りライフは削り取られた。
止まり木から飛び立ち暗黒の空を飛び回る『エンダードラゴン』。
その身体から白い光が漏れ出すと――マインクラフトの世界を支配する暗黒竜は、爆発四散してついに息絶えたのだった。
私たちが囲っていた止まり木の下にワープホールができあがる。
それは、最後の戦いが終った証拠――。
「……か、勝った! 勝ったよ、すずちゃん! ばにら! ニーナちゃん!」
「第三部完! ビシィッ!」
「いや、もうパロディはええですやん! 集英社から怒られますって!」
『(インドネシア語)かっこよかったですばにら社長! 最後の飛天御剣流、本当にサイコーでしたよ! クールです! 一生着いて行きます!』
私たちはついにマインクラフトをクリアした――。
『進捗達成! エンドの解放!』
画面に表示される進捗達成のメッセージ。
それと共に、世界の支配者の断末魔が、サーバー全体に響き渡った。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そしてタイトル回収。
ピンチに仲間が駆けつける展開は王道ですよね。(おめめぐるぐる)
ノリノリでずんだとりんごに即座にあわせるすずちゃんも流石。VTuberは、これくらいの応用力が無いと務まらないのであった。
それにしても、ジャンプネタはやっぱり便利ですね――。
聖闘士星矢はグローバルコンテンツ! コスモが燃えた方は――ぜひぜひ評価のほどよろしくお願いいたします。m(__)m
黒い空を『エンダードラゴン』が舞う死地へと――。
「みなさん! お待たせしました! 川崎ばにらただいま戻りました!」
「ばにらちゃん! ばにらちゃんが、黄金聖衣を装備して帰ってきた!」
「ネタにのってこないでください、すず先輩!」
「ばにら! 金ぴかじゃねえか! あと、さっきからりんごとずんだが言ってる――なんちゃら聖衣がどうとかって、どういう意味?」
「あひる先輩! オタクじゃない貴女のままでいて!」
『(インドネシア語)ばにら社長! まさか黄金聖衣を身に纏って帰ってくるなんて! 流石は私の敬愛する社長です! とてもとても似合っています! エンドラ討伐が終ったら、ぜひ一緒に写真を撮らせてください! あぁ、本当に素敵!』
「ニーナちゃん! なにを言ってるのかさっぱり分からないけど――これだけは聞かせて! ドゥユーノウ、セイントセイヤ?」
「イエスアイドゥ! アイライクイット!」
「オッケー! セイントセイヤイズ、グローバルコンテンツ!」
まったく緊張感のない再会だなぁ。
ただ、今はなにも言うまい。
まずは『エンドラ討伐』だ。(現実逃避)
私の戦線離脱で攻撃の手が緩んだのだろう、未だ『エンダードラゴン』のライフは満タン状態。塔の上にも幾つか『エンドクリスタル』が残っている。
はやく『エンドクリスタル』を破壊しなくては。
とはいえ、「ないよりはマシ」の金装備。
できればダイヤ装備と交換したい。
私の装備はあひる先輩が集めてくれていたが――。
「ばにらすまん! まだ、『逆バニ刀』しか回収できてない!」
「オッケーですバニ! あとは自分で回収しますんで、あひる先輩は『エンドクリスタル』の破壊に向かってください!」
「それなんだけど――もう、『低速落下のポーション』の効果が切れちゃって!」
わちゃわちゃとやっている間にあひる先輩のポーションの効果が切れていた。
塔を『低速落下のポーション』を飲まずに登るなんて自殺行為だ。
翻訳要員とはいえ、あひる先輩は私よりマシな装備をしている。
彼女が抜けてしまえば、さらに討伐は難しくなる。
戻ってきたが絶体絶命。
あひる先輩から『逆バニ刀』を受け取った私は唸った――。
「塔の上の『エンドクリスタル』は残り二つ! どちらも弓で狙えない高さだ! これはもう、回復されるのを承知で『エンダードラゴン』に挑むしか!」
「なるほど……あと二つ『エンドクリスタル』をどうにかすればいいんだでな!」
「どうやら……ギリギリ出番に間に合ったようだね!」
「そ、その声はまさか!」
そんなシリアス展開をブチ壊す声が二つ。
さらにその声に、ノリノリで合せる声が一つ。
流石は特待生同士。
息ぴったりでいいですね。
まーた茶番がはじまる。(白目)
「黄金聖闘士――イヌ座の青葉ずんだ!!!! 見参!!!!」
「同じく! 黄金聖闘士――ネコ座の津軽りんご!!!! 参上!!!!」
「黄金聖闘士だ! 黄金聖闘士が来てくれたぞ! やったこれで勝つる!!!!」
「スズちゃん! 『エンドクリスタル』の破壊は、僕たちに任せて!」
「殴ってボコってくればいいんだでな! 大丈夫! ブランチマイッチングで、土と丸石はいっぱい持ってるでな! どこまででも登ってあげるから!」
「頼もしいぞ! さすが黄金聖闘士! 生駒も今から金装備にしようかな!」
すず先輩、惑わされないで。
アンタまで紙装備にしてどうするんや。
なんと私を追っかけて、美月さんとりんご先輩がエンドにやって来た。
ちょうど破壊しなくてはいけない『エンドクリスタル』は二つ。素手攻撃が危険を伴うことは身をもって知っているが――ここは二人にお任せするしかない。
「ずんさん! りんご先輩! お願いできますか!」
「「まかセロリ!!!!」」
息ぴったりで返答すると、二人は塔を登り始める。
流石は「ゲーム特化型VTuber」の特待生。
美月さんもりんご先輩も、あっという間に塔の頂上へと到達し、『エンドクリスタル』へと肉薄する。こちらがダイヤ装備を集める方が遅いくらいだった。
「喰らうでな――鳳凰幻魔拳!」
「なんでフェニックス一輝! 主人公じゃないですやん!」
「いくよー! オーロラエクスキューション!」
「こっちも! いや、黄金聖闘士の技だけれども!」
そこは『ペガサス流星拳』じゃろがい。
こっちは必死になってエンドラ討伐してるのに――楽しそうでなんかずるい!
「あべし!!!!」
「ひでぶ!!!!」
「やられ方が違う漫画!!!!」
二人の尊い犠牲により『エンドクリスタル』が破壊された。
回復手段を失った『エンダードラゴン』。
空飛ぶ黒竜に向かい、すず先輩とニーナちゃんの神AIMが炸裂する。
二人はライフゲージをすごい勢いで削っていく。なんていうか「『エンドクリスタル』を破壊する意味あった?」と思うほどの、それはそれは恐ろしい矢の雨だった。
そんな味方の猛攻の中、ようやく私は金装備からダイヤ装備に換装する。
その時だった。
「あぁ! エンダードラゴンが止まり木に!」
『(英語)今がチャンスです! 全員で近接武器でたたみかけましょう!』
「待ってたぜェ!! この”瞬間”をよォ!!」
「あひる先輩! ツルハシ持ってそれ言うのは反則ですバニ!」
空を飛んでいた『エンダードラゴン』が止まり木に着地する。
これで近接攻撃が届く。
無限弓からネザライトの剣に切り替え、すず先輩とニーナちゃんが殴りかかる。
あひる先輩が鉄ツルハシで特攻する。
そんな中を、私は『エンダードランゴン』に向かって一直線に疾駆すると、えるふから預けられた武器をその頭蓋に向かって振り下ろした。
ありがとうえるふ。
お前にもらったダイヤの剣。
ちゃんと見せ場があったよ。
だから――この技はお前に捧げる。
お前の大好きな漫画の技で、この『エンドラ討伐』を終わらせるバニ。
「喰らえぇぇ!!!! 飛天御剣流九頭龍閃バニィ!!!!」
「きちゃぁあああああ!!!! 飛天御剣流だぁあああああ!!!!」
「もうどうにでもなれバニ!!!! インドネシアのリスナーのみなさん、ごめんなさいバニ!!!! けど、これがDStarsなんじゃぁああああ!!!!」
往年の名作剣客漫画の必殺技が『エンダードラゴン』の頭を砕く。
ジャンプ斬りでダメージ増加。
さらに、殺意マシマシのエンチャント効果。
その一打で『エンダードラゴン』の残りライフは削り取られた。
止まり木から飛び立ち暗黒の空を飛び回る『エンダードラゴン』。
その身体から白い光が漏れ出すと――マインクラフトの世界を支配する暗黒竜は、爆発四散してついに息絶えたのだった。
私たちが囲っていた止まり木の下にワープホールができあがる。
それは、最後の戦いが終った証拠――。
「……か、勝った! 勝ったよ、すずちゃん! ばにら! ニーナちゃん!」
「第三部完! ビシィッ!」
「いや、もうパロディはええですやん! 集英社から怒られますって!」
『(インドネシア語)かっこよかったですばにら社長! 最後の飛天御剣流、本当にサイコーでしたよ! クールです! 一生着いて行きます!』
私たちはついにマインクラフトをクリアした――。
『進捗達成! エンドの解放!』
画面に表示される進捗達成のメッセージ。
それと共に、世界の支配者の断末魔が、サーバー全体に響き渡った。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そしてタイトル回収。
ピンチに仲間が駆けつける展開は王道ですよね。(おめめぐるぐる)
ノリノリでずんだとりんごに即座にあわせるすずちゃんも流石。VTuberは、これくらいの応用力が無いと務まらないのであった。
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